「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのナイアシンの欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはありません。
ナイアシン必要量がエネルギー要求量に応じて増大するという代謝特性を考慮して、エネルギー付加量に基づいて算定する方法が考えられますが、妊婦ではトリプトファン-ニコチンアミド転換率が非妊娠時に比べて増大するため、エネルギー要求量の増大に伴う必要量の増大をまかなっています。
したがって、付加量は設定していません。
*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊娠期に高くなったトリプトファン-ニコチンアミド転換率は、出産後、速やかに非妊娠時の値に戻ります。
したがって、授乳婦には沁乳量を補う量の負荷が必要です。
授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中のナイアシン濃度(2.0mg/L)に0〜5か月の乳児の基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて、相対生体利用率60%を考慮して算出すると2.6mg/日となり、丸め処理を行って3mg/日としました。
推奨量の付加量は、丸める前の推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると3.1mg/日となり、これを丸め処理を行って3mg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






