「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₆の基本的事項の「消化、吸収、代謝」を紹介します。
〔消化、吸収、代謝〕
生細胞中に含まれるビタミンB₆の多くは、リン酸化体のピリドキサール5-リン酸(PLP)やピリドキサミン5-リン酸(PMP)として酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。
食品を調理・加工する過程と胃酸環境下で、ほとんどのPLPとPMPは遊離します。
遊離したPLPとPMPのほとんどは、消化管内の酵素のホスファターゼによって加水分解されて、ピリドキサール(PL)とピリドキサミン(PM)となった後に吸収されます。
一方、植物の生細胞中には、ピリキドシン(PN)とグルコースが共有結合したピリドキシン5β-グルコシド(PNG)が存在します。
PNGはそのまま、あるいは消化管内で一部が加水分解を受けて、PNとなった後に吸収されます。
PNGの相対生体利用率は、人においては50%と見積もられています。
消化過程は食品ごとに異なり、同時に摂取する食品の影響も受けると推測されます。
アメリカの平均的な食事におけるビタミンB₆の遊離型ビタミンB₆に対する相対生体利用率は75%と報告されています。
一方、我が国で食されている平均的な食事の場合には、相対生体利用率は73%と報告されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






