負の歴史21 宇治茶のブランド定義

宇治抹茶は「京都府内の業者が府内で仕上げ加工をしたもの」ということで、その製法は宇治地域の伝統的な加工法ということは前回(負の歴史20)紹介しました。

これを、そのまま読むと、どこで栽培された茶葉を使ってもよいというようになってしまいますが、現実的には宇治茶と定義される範囲で栽培された茶葉というのが原則となっています。

では、宇治茶(うじちゃ)は京都府内で栽培された茶葉が使われているのかというと、そうではありません。宇治茶と名乗ることができるのは、京都府、奈良県、滋賀県、三重県の4府県で栽培された茶葉を加工したものです。

京都府と隣接しているのは奈良県、滋賀県、三重県の他に、大阪府、兵庫県、福井県の6府県ですが、茶葉の栽培が盛んなところということで、奈良県、滋賀県、三重県が加えられているということです。

宇治茶も宇治抹茶と同様に、「京都府内の業者が京都府内で仕上げ加工をしたもの」という条件があり、その仕上げ加工は宇治地域の伝統的な製法ということが定められています。

宇治茶というと煎茶と抹茶がイメージされますが、宇治茶の定義からすると、ほうじ茶も玄米茶もあります。緑茶としてイメージされるお茶の全てが含まれているのですが、これも長年の歴史と技術の伝承のおかげで、宇治茶といえば緑茶、抹茶と認識されることが多くなっています。

ちなみに、江戸時代の御茶壺道中(宇治採茶使)は、宇治の最高級の緑茶が献上品として運ばれたわけですが、そのスタート地点の店舗は明らかになっていて、宇治平等院に向かう参道の途中にある店舗です。

この店舗は御茶壺道中の責任者である代官の上林家の子孫の茶師が、今も伝統の製法を守り続けています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕