「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₁₂の基本的事項の「消化、吸収、代謝」を紹介します。
〔消化、吸収、代謝〕
食品中のビタミンB₁₂は、たんぱく質と結合しており、胃酸やペプシンの作用で遊離します。
遊離したビタミンB₁₂は唾液腺由来のハプトコリンに結合して、次いで十二指腸においてハプトコリンが膵液中のたんぱく質分解酵素によって部分的に消化されます。
ハプトコリンから遊離したビタミンB₁₂は、胃の壁細胞から分泌された内因子と結合します。
内因子-ビタミンB₁₂複合体は主として回腸下部の刷子縁膜微絨毛に分布する受容体に結合した後に、腸管上皮細胞に取り込まれます。
消化過程は食品ごとに異なり、同時に摂取する食品の影響も受けます。
正常な胃の機能を有した健康な成人において、食品中のビタミンB₁₂の吸収率はおよそ50%とされています。
食事当たり2μg程度のビタミンB₁₂で内因子を介した吸収機構が飽和するため、それ以上のビタミンB₁₂を摂取しても生理的には吸収されません。
よって、ビタミンB₁₂を豊富に含む食品を多量に摂取した場合、吸収率は顕著に減少します。
また、胆汁中には多量のビタミンB₁₂化合物が排泄されますが(平均排泄量2.5μg/日)、約45%は内因子と結合できない未同定のビタミンB₁₂類縁化合物です。
胆汁中に排泄される真のビタミンB₁₂の半数は腸肝循環によって再吸収され、残りは糞便に排泄されます。
なお、健康な成人の平均的なビタミンB₁₂貯蔵量は2〜3mgです。
そして、1日当たり体内ビタミンB₁₂貯蔵量の0.1から0.2%が損失します。
また、食品中には、ヒトがビタミンB₁₂として利用できないシュードビタミンB₁₂が存在します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






