負の歴史23 喉元過ぎればメタボ忘れる

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に焦点を当てた特定健診・特定保健指導が始まった2008年は幸か不幸か、日本メディカルダイエット支援機構が特定非営利活動法人(NPO法人)として内閣府に認証された年で、「メディカルダイエット=メタボリックシンドローム対策」の印象を持って、多くの方々が対応してくれました。

私たちとしてみれば、メディカルダイエットはメタボリックシンドロームの対策が目的ではないものの、活動に弾みをつけるためには役立つだろうということで、特に異論を述べるわけでもなくて、メタボ関連の仕事は受け入れていました。

メタボリックシンドロームは、霞が関のお役所も医学系学会も医療機関も「内臓脂肪症候群」という訳語を使っているのですが、それは正しくはない、というのが私たちの考えで、それは事あるごとに主張してきました。

メタボリック(metabolic)は、代謝を意味しています。シンドローム(syndrome)は症候群のことで、複数の症状や兆候が同時に起こる状態を指しています。

ということで、メタボリックシンドロームは代謝の異常(低下)によって起こる、さまざまな状態ということになります。そこで我々の訳語としては「代謝低下症候群」を使い続けてきました。

代謝が低下することによって、血圧、血糖値、中性脂肪値、コレステロール値などに影響が現れるということで、その対策は代謝を高めることだ、というのは当たり前に理解できそうなものです。

ところが、食事を減らすことや糖質制限をすすめる医療関係者もいて、それでは根本的な解決にはなりません。そして、メタボ対策によって痩せてきたら(内臓脂肪が減ってきたら)、それで成功したと勘違いする人が多くなってしまいます。

年齢を重ねて代謝が低下してくると、食事制限をしても太ってくるということになります。代謝を高めるために何をすべきかということですが、それはエネルギー源を充分に摂取して、それを的確にエネルギー化して、体内(細胞内)で作り出したエネルギーを使って、全身の細胞を的確に働くことができる身体づくりをすることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕