食事摂取基準232 葉酸1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンの葉酸の基本的事項の「定義と分類」と「機能」を紹介します。

〔定義と分類〕
葉酸活性をもつ化合物の総称を葉酸(folate)といいます。
体内には異なる構造を持った葉酸(folate)が複数存在していて、その大半は5-メチルテトラヒドロ葉酸(分子量は459.3)です。

また、これらは複数のグルタミン酸が結合したポリグルタミン酸型として存在します。
主な補酵素型は、5-メチルテトラヒドロ葉酸、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸、10-ホルミルテトラヒドロ葉酸です。

一方、葉酸(folic acid)は、プテロイルモノグルタミン酸(分子量は441.4)だけを指します。

葉酸(folic acid)は自然界には稀にしか存在せず、ヒトが摂取する葉酸(folic acid)はサプリメントや強化食品など、通常の食品以外の食品に含まれるものに限られ、人為的に合成されたものです。

以下、上述の定義に基づき、総称を指す場合は「葉酸(folate)」、プテロイルモノグルタミン酸を指す場合は「葉酸(folic acid)」と呼ぶこととします。

日本食品標準成分表(七訂)と日本食品標準成分表(八訂)は、葉酸(folate)の含有量を葉酸(folic acid)相当量として記載しています。

そこで、食品摂取基準でも葉酸(folic acid)相当量として数値を示しました。

〔機能〕
葉酸(folate)はメチル基やホルミル基など1つの炭素を有する官能基(一炭素単位)を転移させる酵素の補酵素として機能します。

葉酸(folate)は、メチル化反応、アミノ酸代謝、DNAとRNAの合成に必要なプリンヌクレオチドとデオキシピリミジンヌクレオチドの合成において重要な役割を果たします。

葉酸(folate)の欠乏により、DNA合成が抑制され、巨赤芽球性貧血が起こります。

また、葉酸(folate)の不足は、動脈硬化の引き金などになる血清ホモシステイン値を高くします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕