食事摂取基準236 葉酸5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンの葉酸の欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊娠の初期には赤血球葉酸濃度は適正に維持されていることから、妊娠の初期には付加量は設定されていません。

一方、妊娠の中期と後期において、赤血球葉酸濃度が減少して、葉酸代謝産物の尿中排泄量が増大します。

通常の適正な食事摂取下で100μg/日の葉酸(folic acid)を補足すると、妊婦の赤血球中葉酸濃度を400nmol/L以上にすることができたとする報告があります。

この報告によると、約70%の妊婦が305nmol/L以上の赤血球中葉酸濃度を示しました。

100μg/日の葉酸(folic acid)を補足は、半数以上の妊婦の葉酸栄養状態を適正に維持できましたが、ほとんどの妊婦を満たすには至らなかったため、推奨量ではなく、推定平均必要量に該当するとみなしました。

上述の相対生体利用率(50%)を考慮すると、葉酸(folic acid)100μg/日は葉酸(folate)200μg/日に換算されます。

この200μg/日を妊婦(中期、後期)の推定平均必要量の付加量としました。推奨量の付加量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じて、240μg/日としました。

*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中の葉酸濃度(54μg/L)に0〜5か月の乳児の基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて、上述の相対生体利用率(50%)を考慮して算定(54μg/L×0.78L/日÷0.5)すると84μg/日となり、丸め処理を行って80μg/日としました。

推奨量の付加量は推奨量算定係数1.2を乗じると、101μg/となり、丸め処理を行って100μg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕