「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンの葉酸の欠乏回避の「耐容上限量の策定方法」を紹介します。
〔耐容上限量の策定方法〕
*成人・高齢者・小児(耐容上限量)
アメリカ・カナダの食事摂取基準によると、5mg/日以上では神経症状の発現または悪化が100例以上報告されているのに対して、5mg/日未満では8例の報告に留まっています。そこで最低健康被害発現量を5mg/日としました。
他方、神経管閉鎖障害の発症と再発を予防するために、妊娠可能な女性が受胎前後の3か月以上にわたって0.36〜5mg/日の葉酸(folic acid)を摂取したり投与されたりした9つの研究からは特筆すべき悪影響は報告されていません(アメリカ・カナダの食事摂取基準にまとめられている)。
しかしながら、これらは副作用の発現や耐容上限量を探るために計画された研究ではなく、副作用発現の情報の収集方法も十分ではありません。したがって、過小申告のおそれを払拭できないと考えられ、この結果を健康障害非発現量として用いるのは困難と判断しました。
以上より、最低健康障害発現量5mg/日として、女性(19〜30歳)の参照体重(57kg)の値をこれに乗じて88μg/kg体重/日として、不確実性因子を5として、耐容上限量算定の参照値を18μg/kg体重/日としました。
しかし、この値は最低健康障害発現量のみに基づいており、健康障害非発現量は参照されていません。
そのために、耐容上限量の再考を促す意見もあるものの、現時点で新たな最低健康障害発現量や健康障害非発現量を採用するのは困難と判断して、食事摂取基準では、この方法を踏襲することとしました。
この値に各年齢区分の参照体重を乗じて、性別と年齢区分ごとの耐容上限量を算出して、平滑化しました。
葉酸(folic acid)の耐容上限量に関する情報は、その多くが女性に限られています。そのため、男性においても女性の値を採用しました。
*乳児(耐容上限量)
サプリメント等による摂取はないため、耐容上限量は策定されていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






