食事摂取基準240 葉酸9

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンの葉酸の「神経管閉鎖障害発症の予防」を紹介します。

〔神経管閉鎖障害発症の予防〕
胎児の神経管閉鎖障害は、受胎後およそ28日で閉鎖する神経管の形成異常であり、臨床的には無脳症、二分脊椎、髄膜瘤などの異常を呈します。

神経管閉鎖障害の発症率は、2011〜2015年において1万出生(死産を含む)当たり6程度で推移していると報告されています。
しかし、妊娠中絶も含めると、その発生率は1.5倍程度になるのではないかとする報告もあります。

受胎前後に葉酸(folic acid)のサプリメントを投与することによって神経管閉鎖障害のリスクが低減することは数多くの介入試験で明らかにされています。

また、神経管閉鎖障害の発症予防に有効な赤血球中葉酸濃度を達成するために必要なサプリメントからの葉酸(folic acid)の摂取量の増加は、葉酸(folate)として400μg/日であるとした研究があります。

そこで、食品からの葉酸(folate)の摂取に加えて、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸、すなわち、いわゆる栄養補助食品から400μg/日の葉酸(folic acid)を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクが集団としてみた場合に低減することが期待できて、これを神経管閉鎖障害の発症予防のために望まれる量としました。

多くの場合、妊娠を知るのは神経管の形成に重要な時期(受胎後およそ28日間)よりも遅くなっています。

したがって、妊娠初期だけでなく、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、上記の値を摂取することが神経管閉鎖障害発症の予防に重要です。

しかしながら、この障害の葉酸(folate)の不足だけでなく複合的なものであるため、葉酸(folic acid)のサプリメントまたは葉酸(folate)を強化した食品の利用だけで、その発症を予防できるものではないこと、上記の量を摂取すれば必ず予防できるというわけではないこと、また葉酸(folic acid)のサプリメントまたは葉酸(folate)を含む食品を摂取しなくてよいという意味では全くないこと(他の栄養素の摂取不足につながり得るため)に十分に留意すべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕