金言の真理65「唯我独尊」4

「唯我独尊」のお題で金言の観点から書いてきましたが、3回目にして第三の目の話に進みました。これを受けて、第三の目について書いて、唯我独尊の締めくくりにします。

第三の目というと、今では自動運転システムとして車両に搭載される先進的なセンサーの説明に使われるようになっています。人間の目や通常のカメラだけでは認知できない情報を察知するセンサー技術を指しています。

安全性と信頼性を高めるために不可欠であり、人間の感覚を凌駕する認知・判断能力ということで、このことは元々の第三の目の意味と通じるところがあります。

では、元々の第三の目とは何かということですが、インドのヒンドゥー教の最高神のシヴァ神の額にある目です。シヴァ神は創造と破壊の神で、宇宙の真実を見通す力があり、第三の目が開かれると世界の真理を知ることができると説明されています。

神ではない人間には外から確認できるような目はないのですが、第三の目についてわかりやすく(?)教えてくれたのはペマ・ギャルポさんでした。同じ作家団体に所属していて、年齢が近かったので気軽な感じで「ペマさん」と呼んでいました。

ペマさんは、知り合ったときにはダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当代表で、ダライ・ラマ十四世の代弁者のような立場でした。

ダライ・ラマはチベット仏教の化身ラマとして、衆生を涅槃に導いて救い終わるまで、何度でも輪廻転生を繰り返して生まれてくる最高位の僧侶とされています。

世俗の人間は輪廻転生をして魂が再び新たな生命として生まれ変わったとしても、人間に生まれ変わるとは限らないところですが、化身ラマは最高位の僧侶として生まれ変わり、救いのための生涯を送ります。

ペマさんからは第三の目は「もう一人の自分であり、導師でもある」とのダライ・ラマ十四世の言葉を聞きましたが、化身ラマであるので、これはダライ・ラマ一世(ゲンドゥン・ドゥプパ)の言葉でもあるとして、集中と語りかけに心を傾けることを繰り返すことを教えてもらいました。

まだ、修行の途中の身としては、何をすべきかを知るところまでは到底行き着くことはないのでしょうが、仏陀の「天上天下唯我独尊」の本来の意味である「ただ一人、誰とも代わることがない尊い存在」に近づくことを願って、日々を過ごしています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕