「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から多量ミネラルのリンの生活習慣病の発症予防の「主な生活習慣病との関連」を紹介します。
〔主な生活習慣病との関連〕
*糖尿病
一般に、インスリンが作用するとグルコースとともにリンも細胞内に取り込まれるとされています。
一方で、血清リン濃度やリン摂取量が血糖値やインスリン分泌に及ぼす影響については十分な知見が得られていません。
近年の研究では、ApoE欠損マウスを用いた検討で、リン摂取量が多いほど動脈硬化は進行しますが、インスリン感受性が亢進して、耐糖能が改善することが報告されています。
実際、ギリシャでの研究では、メタボリックシンドロームの者は、健康な者に比べて有意に血清リン濃度が低く、メタボリックシンドロームの該当項目が多いほど、血清リン濃度が低かったことが報告されています。
また、韓国の研究では、血清リン濃度は心血管疾患の発症リスクと正の関連、BMI、空腹時血糖値、HOMA-IR、血清トリグリセライド値、血圧との負の関連が認められ、血清リン濃度が低いことはメタボリックシンドロームの発症リスクを高めることが示唆されています。
一方で、健康な人と糖尿病患者を比較すると、糖尿病患者で血清リン濃度が高く、血清リン濃度が高いことは糖尿病や心血管疾患のリスクではないかとの報告もあります。
糖尿病の発症予防あるいは重症化予防に対するリン摂取の影響については十分なデータがなく、疾患予防のためのリン摂取量を設定することは、現時点では困難です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






