食事摂取基準321 鉄10

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の欠乏回避の「推定平均摂取量、推奨量、目安量の算定方法」の続きを紹介します。

〔推定平均摂取量、推奨量、目安量の算定方法〕
*乳児(0〜5か月)(目安量)
日本人女性の母乳中鉄濃度の代表値を推定できる信頼性の高い論文は見当たりません。

しかし、アメリカ・カナダの食事摂取基準が採用している母乳中鉄濃度の値(0.35mg/L)は、貧血有病率が30%を超えるベトナム女性59名の母乳中鉄濃度(平均値±標準偏差)0.43±0.15mg/Lと大差がありません。

すなわち、母乳中鉄濃度は母親の鉄栄養状態や分娩後日数に関わらず、ほぼ一定とみなすことができます。

以上より、複数の論文に基づいているアメリカ・カナダの食事摂取基準の採用値(0.35mg/L)に基準哺乳量(0.78L/日)を乗じて得られる0.273mg/日を丸めた0.5mg/日を、0〜5か月児の目安量としました。

*乳児(6〜11か月)(推定平均摂取量、推奨量)
鉄欠乏性貧血は、乳児期の後期(離乳期)に好発します。

このことから、6〜11か月児の目安量を0〜5か月児の目安量から外挿によって算定した場合、貧血の予防には不十分な値になる危険性が高くなっています。

6〜11か月については、基本的鉄損失と成長に伴う鉄蓄積を1歳以上と同様に見積もることが可能であり、鉄の推定平均必要量と推奨量を算定できると判断しました。

そこで、6〜11か月については、小児(月経による鉄損失がない場合)と同様に、「推定平均必要量=〔基本的鉄損失+ヘモグロビン中の鉄蓄積量+非貯蔵性組織鉄の増加量+貯蔵鉄の増加量〕÷吸収率(0.16)」の式で推定平均必要量を算定しました。

推奨量は、個人間の変動係数を20%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数1.4を乗じた値としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕