「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の欠乏回避の「推定平均摂取量、推奨量、目安量の算定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均摂取量、推奨量、目安量の算定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均摂取量、推奨量)
妊娠期に必要な鉄には、基本的鉄損失に加えて、胎児の成長に伴う鉄所蔵、臍帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加に伴う赤血球量の増加による鉄需要の増加があり、それぞれ妊娠の初期、中期、後期によって異なります。
胎児の成長に伴う鉄貯蔵と臍帯・胎盤中への鉄貯蔵は、報告値を採用しました。
循環血液量増加による鉄需要の増加は、18〜29歳と30〜49歳女性の参照体重の年齢区分別人口比による重み付け平均値(52.6kg)、体重当たり血液量(0.075L/kg)、妊娠中の血液増加量(30〜50%)、妊娠女性のヘモグロビン濃度の目安(妊娠貧血の基準値である11g/dL未満に基づき110g/L)、成人女性のヘモグロビン濃度(135g/L)、ヘモグロビン中の鉄濃度(3.39mg/g)を基に算定しました。
すなわち、体重52.6kgの女性の場合、非妊娠児のヘモグロビン鉄量(52.6×0.075×135×3.39=1805mg)と、妊娠貧血を起こさずに分娩を迎えた場合のヘモグロビン鉄量の最低値(52.6×0.075×1.3〜1.5×110×3.39=1912〜2207mg)との差が107〜402mgであるため、全妊娠期間の鉄需要増加を合計で300mgと仮定しました。
さらに、その需要のほとんどが、中期と後期に集中して、両期間における差はないと考えました。
以上より、妊娠に伴う鉄の必要量の合計値については、妊娠初期0.32mg/日、中期2.68mg/日、後期3.64mg/日と算定しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






