「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定」の続きを紹介します。
〔耐容上限量の策定〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
南アフリカのバンツー族では、鉄を大量に含むビールの常習的な飲用や鉄鍋からの鉄の混入によって1日当たりの鉄摂取量が50〜100mgとなり、中年男性にバンツー鉄沈着症が発生しました。
この鉄沈着症は、当初、単純な鉄の大量摂取によって生じたと考えられ、1日当たりの鉄摂取量がおよそ100mgを超えた場合に発生すると推定されました。
しかし、現在は、この鉄沈着症にも鉄吸収制御に関わる遺伝子の異常が関わっており、ヘプシジンを中心とした制御機構が十分に機能しなかったために鉄吸収量が増加して、臓器への鉄の蓄積が生じた可能性が高いとする説が妥当とされています。
アメリカ・カナダの食事摂取基準は、貧血治療を目的とした鉄剤投与に伴う便秘や胃腸症状等を健康障害と位置づけ、成人の鉄の耐容上限量を男女一律に45mg/日としています。
一方、EFSAは、鉄剤摂取に伴う急性の胃腸症状等を鉄の耐容上限量設定のための健康障害として用いることを不適切として、耐容上限量を定めていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






