「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の「生活習慣病等の発症予防」を紹介します。
〔生活習慣病等の発症予防〕
スペインの若年女性を対象とした研究では、鉄欠乏状態では、カルシウム摂取量が適正であっても骨吸収が抑制されることが示されており、慢性的な鉄欠乏が骨粗鬆症のリスクを高める可能性が指摘されています。
しかし、これは鉄欠乏の回避で対応できるものと考えられ、生活習慣病等の発症予防のための目標量(下限値)を設定する必要はないと判断しました。
一方、体内に蓄積した鉄は、酸化促進剤として作用して組織や器官をして、肝臓がん等の発症リスクを高めます。
また、血清フェリチン濃度を指標にした研究は、健康な集団において、総体的な鉄貯蔵量の増加が骨量減少を加速させる独立した危険因子となることを示しています。
鉄摂取量と生活習慣病発症リスクに関する研究において、特にヘム鉄については、その過剰摂取がメタボリックシンドロームや心血管系疾患のリスクを上昇させるという報告や、総鉄摂取量と非ヘム鉄摂取量は2型糖尿病発症に影響しないものの、ヘム鉄の摂取量の増加が2型糖尿病の発症リスクを高めるとするメタ・アナリシスがあります。
また、高齢女性を対象にした研究では、鉄サプリメントの使用者では全死亡率が上昇することが認められています。
生活習慣病予防のための目標量(上限値)を設定するための定量的な情報は不十分ですが、鉄欠乏でない人が食事からの摂取に加えて、サプリメント等から鉄を付加的に継続摂取することは控えるべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






