「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の「活用に当たっての留意事項」を紹介します。
〔活用に当たっての留意事項〕
月経のある成人女性および女児に対する推定平均必要量と推奨量は、過多月経でない者(月経分泌物量140g/回未満)を対象とした値です。
過多月経者11名について、月経分泌物量(平均値±標準偏差)を214.2±56.7とする報告があります。
この数値に基づいて鉄の推定平均必要量と推奨量を算定すると、それぞれ12.9mg/日と18.4mg/日となります。
この量の鉄を食事から摂取することは難しいため、過多月経者は必要に応じて医療機関を受診して、基礎疾患の有無を確認した上で、鉄補給を受ける必要があります。
乳児は母体から供給された鉄で必要量を賄っていますが、母乳中の鉄濃度が低いことから、6〜11か月児は母乳以外からの鉄摂取が必要です。
非ヘム鉄はヘム鉄に比較して吸収率が低いため、鉄の摂取源として動物性食品を優先すべきとされてきました。
しかし、非ヘム鉄の吸収率は鉄の栄養状態に伴って大きく変動して、特に鉄栄養状態が低い場合や鉄の要求性が高い場合、その吸収率はヘム鉄を上回ると考えられます。
したがって、食事からの鉄の摂取において、摂取源としてヘム鉄の多い動物性食品を優先する必要はなく、大半が非ヘム鉄である植物性食品も積極的に利用すべきです。
胃腸症状を除き、鉄の過剰摂取と健康障害との定量的な関係が明確でないため、いずれの年齢層においても耐容上限量の設定を見合わせました。
しかし、鉄貧血の治療等の場合を除いて、推奨量を大きく超える鉄の補給は、合理性がなく、健康被害を生じる可能性があります。
また、鉄欠乏でない人が鉄の摂取量を増やしても貧血の予防にはつながりません。
鉄欠乏または鉄欠乏性貧血の場合の鉄補給は必要ですが、医師の指示に従って実施する者であり、個人の判断でサプリメント等を用いて鉄補給を行うことは控えるべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






