食事摂取基準373 ヨウ素9

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのヨウ素の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定方法」を紹介します。

〔耐容上限量の策定方法〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
日常的に要素を過剰摂取すると、甲状腺でのヨウ素の有機化反応が阻害されますが、甲状腺へのヨウ素輸送が低下する“脱出(escape)”現象が起こり、甲状腺ホルモンの生成量は基準範囲に維持されます。

しかし、脱出現象が長期にわたれば、甲状腺ホルモンの合成に必要なヨウ素が不足するために甲状腺ホルモン合成量は低下して、軽度の場合には甲状腺機能低下、重度の場合には甲状腺腫が発生します。

連日1.7mg/日のヨウ素(ヨウ化物)を摂取した人に甲状腺機能低下が生じることから、アメリカ・カナダの食事摂取基準は成人のヨウ素の耐容上限量を1.1mg/日としています。

実際、中国やアフリカでは、飲料水からの1.5mg/日を超えるヨウ素摂取が甲状腺腫のリスクを高めています。

しかし、日本人のヨウ素摂取源である昆布に含まれるヨウ素の吸収率がヨウ化物よりも低いとする報告があること、さらに動物実験の段階ではあるものの、大豆製品がヨウ素の利用を妨げていることが確認されていることから、この値は日本人のヨウ素の耐容上限量に適用できないと判断しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕