言い違い10 煮詰まる

「煮詰まる」というのは、よい意味があるはずなのに、悪い意味で使われることが多くなっています。辞書で調べてみると、語源的には「長時間煮て、水分がなくなった状態」で、このことから「充分に議論・相談をして結論が出る状態」にも使われています。

ところが、「時間が経過するばかりで新たな展開が望めない状態」としても使われています。以前の辞書には3番目は載っていなかったのですが、2番目のプラスの意味よりも3番目のマイナスの意味だと認識している人のほうが多くなっています。

辞書の中には「煮詰まる」を行き詰まるの意味で使うのは誤りだと断じているものもあります。数ある辞書の中には、誤りではないものの、“若い世代では主流の用法”と明記している例もあります。

文化庁の『国語に関する世論調査』では、七日間に及ぶ議論で計画が煮詰まったという例文をあげて、解釈の違いを尋ねた結果を掲載しています。

「(議論や意見が十分に出尽くして)結論の出る状態になること」は51.8%、「(議論が行き詰まってしまって)結論が出せない状態になること」は40.0%と、大きな差ではないものの、本体の意味での使い方が主流となっています。

年齢が高いほど「結果の出る状態」が多く、40代以下では「結論が出せない状態」が多くなっています。

世代によって、正反対の意味で用いられているだけに、相手の言っていることが、どちらの意味なのかを確認しておかないと、とんでもないことになりかねない危険な言葉ということができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕