食事摂取基準392 クロム1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのクロムの基本的事項の「定義と分類」、「機能」、「消化、吸収、代謝」を紹介します。

〔定義と分類〕
クロム(chromium)は原子番号24、元素記号Crのクロム族元素の1つです。

クロムは遷移元素であるため、様々な価数をとりますが、主要なものは0、+3、+6価です。

食品に含まれるのは3価クロムであるので、食事摂取基準が対象とするのは3価クロムです。

〔機能〕
耐糖能異常を起こしたラットやヒトの糖尿病の症例に薬理量の3価クロム化合物を投与すると、症状の改善が認められます。

3価クロムによる糖代謝改善の機構については様々なモデルが提示されていますが、結論は得られていません。

糖代謝改善に関わるクロムを含む画分や分子を耐糖因子(GTF)、低分子性クロム化合物(LMWCr)、クロモデュリンと呼んだこともありますが、この呼称も使われなくなっています。

一方、実験動物に低クロム飼料を投与しても糖代謝異常は全く観察されていません。

また、クロム含有量は加工食品で高く、生鮮食品でクロムを多く含むものは見当たりません。

これらのことから、3価クロムによる糖代謝の改善は薬理作用にすぎず、クロムを必須の栄養素とする根拠はないとする説が有力です。

〔消化、吸収、代謝〕
食事中の3価クロムは1%未満が受動拡散によって吸収されます。

吸収されたクロムは、血液中をトランスフェリンに結合した状態で輸送され、トランスフェリン受容体を介して細胞内に取り込まれます。

尿は3価クロムの主な排泄経路です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕