「覚悟はよいか」は、経営の神様と称された松下幸之助さんの言葉です。
仕事や人生のあらゆる場面で、真剣に生きているか、腹を括っているかを問う警鐘であり、困難を乗り越えて道を開く(新たな旅に出立する)ために、日々決断する覚悟を持つことの重要性を説いています。
ここで言うのは並の覚悟ではなくて、「死ねるほどの真剣さ」を指しています。
松下幸之助さんが「死ねるほどの真剣さ」と機会があるごとに話していたのは、経営者や責任者が失敗してもいいというような中途半端な姿勢では事業を成功させられないとの考えがあるからで、命をかけるほどの覚悟があるのかとの厳しい問いかけです。
この「覚悟はよいか」と「死ねるほどの真剣さ」は、松下さんが設立したPHP研究所で何度となく見聞きした言葉であり、また15年間で150冊の書籍に関わったときに何度も文章の一部に使ってきました。
パナソニックグループの前身の松下電器産業の躍進は、戦後の逆境の時代を乗り越え、経済復興に成功した日本の代表的な企業と称されていました。
平和に慣れ始めたときに、中途半端な甘えを捨てて、一人ひとりが自らの責任を果たして“生き抜く覚悟”を持たなければならないという警鐘を鳴らしました。
この考えは、「失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい」との金言につながります。
「覚悟はよいか」と「死ねるほどの真剣さ」は、「死ねる覚悟」という言葉を生み出しました。これは現場の社員に対して発したことではなく、責任者に対して「部下のために死ねる覚悟があるか」を問う言葉として今も伝えられています。
どんな金言であっても都合よく解釈したのでは、正しく伝えることができません。
一緒に活動する人に覚悟をさせて、すでに行動に移させているのに、大事なところでひっくり返すリーダーがいるのは事実です。
受け入れる側に覚悟がないのに、相手に覚悟を求めるのは正しい姿(美しい状態)とは言えません。
このことは「任せて任さず」との金言と通じるところがあるのですが、これも松下幸之助さんの言葉です。
〔小林正人〕






