日本人は、かつては糖尿病が極めて少ない民族でした。今から80年前の終戦直後に医薬や栄養学を学んだ専門家の方々からは、糖尿病の追跡調査をするために患者を集めるように言われたときに「砂浜で一粒のゴマを探すようなもの」と感じたという話を聞いて、糖尿病患者の推移を調べてみました。
探しても見つからなかった糖尿病患者が、まさか成人の10人に1人もいて、その予備群(食べ過ぎや太っているということではなくて明らかに血糖値が糖尿病域のギリギリにある人)も同数という状況になるとは想像すらできなかったことです。
日本人は歴史的には食事からのエネルギー摂取量が極めて少なくて、“低栄養民族”と言われていたところから、飽食の時代を経て、今では「終戦直後と変わらないエネルギー摂取量なのに糖尿病は増え続けている」という、不思議にも思える状態です。
生理学の専門家からすれば、不思議でもなくて、そのことは以前(40年以上前)から訴えてきたのに、「今ごろ気づいたのか」という感覚です。
エネルギー摂取量が少なかったということは、それだけブドウ糖を全身の細胞に取り込むためのインスリンの分泌量が少なくても生きていけるということです。
また、インスリンには余ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を肝臓で脂肪合成する作用もあるので、それも少なくて済んでいました。
インスリンを分泌するのは膵臓で、多くのエネルギー摂取をしてきた民族は膵臓の働きも強く、インスリンも必要に応じて多く分泌されます。だから、肉食民族は、脂肪を多く蓄積して、“まるでカボチャのように”太ることができるのです。
それに対して、日本人は歴史的にエネルギー摂取量が少なくて、インスリンの分泌量が少ないので、エネルギー摂取量が増えると膵臓に負担がかかりすぎて、限界に達しやすいのです。
そして、膵臓は限界を超えると急にインスリンの分泌量が少なくなり、元の状態に戻ることはありません。
脂肪のエネルギー量は、同じ重量で比較すると糖質よりも2倍以上も高くなっています(1gあたり、糖質は約4kcal、脂質は約9kcal)。
脂肪の摂りすぎに限らず、エネルギーの過剰摂取が糖尿病の原因であって、民族的な弱点を改善することは難しいということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






