発達公益支援5 将来の活躍の場2〔IT業界のメリット〕

産業人材の確保のためには、現段階では充分に働けていない人材の活躍機会を生み出すことが重要との考えから、その人材として発達障害がある人が着目されています。

野村総合研究所の約10万人を対象とした調査結果によると、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害の診断を受けた18〜65歳の生産労働人口は約140万人が存在していると推計されています。

アメリカでは自閉症スペクトラム障害のある人を活用しないことによる年間経済損失は、円換算で19兆〜21兆円、注意欠陥・多動性障害では11兆〜21兆円と推計されています。

海外の大手企業では発達障害人材の職務適性に着目して、IT、金融、製造などの分野で高度IT専門職として採用・育成を積極的に進めています。

日本の1年間の経済損失は自閉症スペクトラム障害で1兆3000億円、注意欠陥・多動性障害で1兆円とされていて、少子・高齢化による生産労働人口が少ないことを考慮しても、まだまだ少ない数値です。

この事実をIT業界の知人に伝えたいと考えて、六本木の業界関係者に話したことがあります。また、たまたまIT業界の雄(東証マザーズ上場第1号)の代表が親戚であったことから、東京にいたときから岡山に移住してからも多くの関係者に自由に発言できる関係を保ってきました。

そんなIT業界の数社と話す機会があり、数字をあげて説明をしようとしたら、「すでに活かしている」という声があり、中には「技術者の半分ほどは発達障害」との返答をする会社もありました。

自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害はIT業界では対応しやすい特性があるものの、もう一つの発達障害の学習障害では認知機能の問題がなくても読み書きが苦手という特性があり、前出の調査では調査対象とされていません。

しかし、学習障害を補う新たなソフトの登場やAIの急速な普及のおかげで、学習障害であっても活躍できる場が大きく広がっています。
〔小林正人〕