怖い話!? 1 見えない人にはわからない閃輝暗点

「他の人には見えないものが見える!」などと言うと、なんだか怖い話をしているように思われることがあるのですが、私の場合は実際に“他の人には見えない”ものが見えています。

それは医学の世界では普通に知られている閃輝暗点(せんきあんてん)で、これは医学教育(医師養成大学の授業)の中で学ぶべき項目に入っています。少なくとも学ぶべきことを全て学び、試験にも合格した医師になら知らないはずはありません。

その知らないはずはないことを、医師に告げても理解してもらえないことがあります。“あります”というよりも、これまでの経験では「理解してもらえないことが多かった」というのが実際のところです。

閃輝暗点は、同じ原因によって起こる2つの状態を結合した病名で、視界に輝きのようなチカチカが現れるような症状が閃輝、視界の一部が暗く感じるようになる症状が暗点です。

主に現れる症状は閃輝のほうで、頭をぶつけると視界に星が飛んでいるように見えるのと同じメカニズムで起こっています。そのメカニズムというのは、目で見たものを脳の中で画像にする後頭葉に送られる血液が一時的に低下して、目で見たのと同じようには再現されなくなっていることを指しています。

閃輝が「視界に輝きのようなチカチカが現れる」というのは一般的な表現で、実際には人によって状態は様々です。そのために、どんなに説明をしても自分(私)が見えている状態がわかってもらえないのが、もどかしいところです。

私の場合は、頭にショックが与えられたわけではなくて、ジッとしていても閃輝暗点が起こります。

「眼の使いすぎではないか」と言われることが多いのですが、目を酷使していなくても、場合によっては歩いていて血流がよくなっているはずなのに、血流低下で閃輝暗点が起こって、視界の一部がモザイク状になって、通常に見ることができなくなります。

視界で起こっていることは実際に見えているのは本人だけで、他の人は想像するしかないので、これを説明するのは大変なことです。

交流をしている医師や研究者の中には閃輝暗点を経験している方もいるのですが、専門家であっても困難さはわかってもらえません。

なかなかわかってもらえないだけでなく、本人が経験していることを前提として診察・診断しがちなので、私が見えていることが、見えていない(理解できない)という状態は大きくは変わらないからです。
〔小林正人〕