講話のまくら1 講話だけのまくら話

講師の依頼を受けたときに、必ず確認しなければならないことは、話す内容が講話なのか講演なのか講義なのかということで、これは話をする内容や時間、対象者よりも重要なことだと認識しています。

そのことを確認してから話し方を決めて、指定された会場に出向くのですが、聞いていたことと違うということは、これまでに何度もありました。それは連絡をしてきた方の対応の悪さということは少ないので、単に謝られても困ってしまうことがあります。

そもそも依頼をしてくる方が講話と講演、講義の違いがわかっていなくて、対象者の前で話すことを講話だと思っている人もいれば講演だと思っている人もいるからです。

講義は講話とも講演とも違うのは当たり前のことだと思ってはいても、発注者が理解していないと、せっかく話をしたのに聞いてもらった人に充分に伝わらなかったということもあります。

講話は、テーマについてわかりやすく説明することを指しています。

講演は、テーマについて話すことまでは同じでも、有識者による説法のような感覚で、“わかりやすく”ということは重視されていません。講演は、元々は「経典を通じて仏法を説く」ことを意味していて、聞くほうには難しくても話す側が伝えたいことを話す機会となっています。

講義は、専門家や講師などが知識を伝える方法で、教育や講習会、研修会などで実施されています。

この連載コラムのテーマの「講話のまくら」のは、わかりやすく伝えるために、本筋とは違った印象があることから話し始めることで、まくらは本編の前の導入トークです。

落語のまくらは、本題の落語の前にする世間話や小噺のことで、話の頭の部分につくことから枕(まくら)と呼ばれています。

いわゆる“つかみ”(興味を引きつけること)で、本筋と関わる話をして、楽しい雰囲気で講話を聞いてもらいたいということで用意しています。その準備が不要になること(講話のつもりでいたのに講演や講義であった)も何度がありました。

そこで、これまで使ってきた講話のまくらや、実際には使うことなくお蔵入りになった話について残しておきたいという気持ちで書き始めることにしました。
〔小林正人〕