医薬品の種類や使い方を記録する“お薬手帳”に対して、“健康食品手帳”というものがあります。お薬手帳のほうは、これに記録をすることで、他の医療機関で処方された医薬品についても知ることができて、重なって出されていたり、副作用が心配されるものを避けることを薬剤師の判断でできるようになりました。お薬手帳は、紙の手帳だけでなく、電子版もあってスマホを持ち歩くだけで、お薬手帳を出し忘れることがなくなりました。
お薬手帳の認知度に比べると、健康食品手帳のほうは、あまり知られていない、というよりも、ほとんど認知されていないのが現状のようです。
健康食品手帳に書き入れるのは摂取している健康食品の名前、摂取量、体調不良などで、体調不良の欄があるのが、お薬手帳との大きな違いです。健康食品手帳は自治体が発行していて、内容、特に体調不良の欄は簡単な記載からチェック式まで、さまざまです。
健康食品手帳に記録されていると、もしも体調不良があったときに健康食品のアドバイザリースタッフや薬局などの薬剤師に見てもらい、体調不良の原因が健康食品によるものなのか、それとも他の原因があるのか、医薬品と健康食品の飲み合わせのせいなのかを確認することができます。
飲み合わせのほうは、それなりの知識がないことには対応のしようがありませんが、その知識の基本となっているのは英語圏の国々で用いられている「ナチュラルメディシン・データベース」(natural medicine database)です。これはアメリカのNIH(国立健康研究所:国立衛生研究所とも訳される)が民間の研究機関に資金を提供して、健康食品素材の有効性の分析と、医薬品との飲み合わせの結果を蓄積したものです。
その日本対応版は日本健康食品・サプリメント情報センターが管轄して発表しているもので、日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会の総監修を受けて、それぞれの会員に公表されています。これを読み込んでいれば飲み合わせの問い合わせがあっても対応できるのですが、まだすべての医師や薬剤師などが理解しているわけではないのが現状です。
しかし、医薬品と健康食品の飲み合わせによる体調不良や健康被害があることが広まっているのは意義があることで、健康食品手帳の普及とともに、もっと広まっていくことを願っています。






