自分の今を知るためのウォーキング

長時間、長距離を歩いたあとには膝や足首などに痛みが出ることがあっても、その状態が治まってくると、また懲りずに歩いてしまうところがあるのですが、これは何も歩かないと健康が維持できないとの脅迫観念に襲われているからではありません。日本ウオーキング協会の仕事を東京にいたときにサポートしていましたが、そこで知り合った学問としてウォーキングを研究している人の中には、健康科学というよりも「歩けば健康」「歩けるうちは健康」ということを口にしている方もいました。
ウォーキングの話をしているときに、急に喫煙の話が出てきますが、これは本論の前振りです。以前に厚生大臣(厚生労働省になる前の時代)の就任会見で、記者からヘビースモーカーであることを指摘されて大臣になったのをきっかけに禁煙しないかと問われたときに、「風邪をひくとタバコがまずい。健康のバロメーター」と言ったことから、タバコは健康によいと発言したと報道されたことがあります。
その衆議院議員と、東京農林年金会館の中華レストランの最終日のイベントで一緒になり、そのときの真意を聞いたことがあります。その会館を運営する農林漁業団体職員共済組合の理事長が、たまたま子どものときに住んでいた家の隣のお兄ちゃんだったことから機会を得たのですが、元厚生大臣の真意は想像していた通りのことでした。
なにもタバコがよいと言っているわけではなくて、自分にとっては身体に負担がかかることであってもプラスになっているもので、それが今の健康状態を把握して、他の健康づくりに気を使うことができる、という意味でした。
私にとっては、ウォーキングは健康づくりのためのもので、その健康づくりの部分にスポットライトを当てて、無理をしないウォーキングをすすめてきました。多くの方々への普及はそれでよいと思っていますが、普及する自分が歩く能力だけでなく、身体機能全般、脳の機能も含めて、どのような状態なのかを把握するために、できる限り歩く機会があったときには距離と時間を延ばすようにしています。
一般にわかりやすいのは歩数なので、活動量や消費エネルギー量などのデータが得られる歩数計は自分のためだけに使い、歩数だけがわかるシンプルな万歩計の結果だけを、ときどき示すようにしています。これを見て、歩数と健康度についてツッコミがあったときには返答しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)