脳の栄養源として必須脂肪酸のアラキドン酸があげられます。アラキドン酸は肉類(特にレバー)や魚介類、卵などに含まれていて、脳と身体の発達に必要不可欠な成分で、記憶力を向上させ、免疫機能を調整する効果が知られてから、アラキドン酸が使われたサプリメントが注目されるようになりました。ただ、アラキドン酸の研究は乳児の脳の研究から明らかになったもので、脳の健康寿命が気になる高齢者にとって、同じような結果が得られるかについては確証が得られていない段階です。
必須脂肪酸は“必須”という用語がついているので、必ず摂る必要があり、不足している人は補わなければならないというのは正しい認識といえます。必須脂肪酸はアラキドン酸のほかにα–リノレン酸、リノール酸があげられています。
“必須”はアミノ酸にもつけられていて、体内では合成されないために食品から摂らなければならない9種類が必須アミノ酸です。必須アミノ酸が一つでも必要量に達していないと、たんぱく質としての栄養評価(アミノ酸スコア)が下がってしまいます。アミノ酸スコアが高い食品としては肉類、魚類、豆類、卵類、乳製品があげられ、これらが良質なたんぱく質と呼ばれています。
三大栄養素の脂質(脂肪酸)とたんぱく質(アミノ酸)では“必須”がついているのに、糖質には“必須”がついたものはありません。糖質制限を推奨する専門家(医師、栄養士など)の中には、「必須と名がついた糖質はない」ということを根拠にして、糖質は制限してもよいということを語っている方もいます。
なぜ必須という名称の糖質がないのかというと、必須、非必須と分ける必要がないだけで、すべての糖質がエネルギー源として必要となるからです。糖質を摂ることで健康に影響があるという人は摂りすぎが問題であって、糖質そのものが悪いわけではありません。血糖値を上昇させて糖尿病の要因となるとされるブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源で、ブドウ糖が不足したのでは脳の機能が正常に保たれなくなるので、必須の糖質となっているのです。






