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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目的に応じた活用上の留意点を説明しています。その中から食事改善の計画と実施を紹介します。

食事改善の計画と実施は、食事評価を行い、その結果に基づいて行うことが基本です。そのためには、対象とする個人の特性を十分に把握しておくことが重要となります。

ここでいう特性とは、性別、年齢、身体活動レベル、その他の主要な生活環境や生活習慣を指しています。また、目的に応じて臨床症状や臨床検査のデータを利用します。

エネルギーの過不足に関する食事改善の計画立案と実施には、BMIまたは体重変化量を用います。BMIが目標とする範囲内に留まることを目的として計画を立てます。体重の減少または増加を目指す場合は、定期的に体重を計測記録して、16週間以上フォローを行うことが勧められます。

例えば、食事制限もしくは運動、またはその両方を用いて体重減少を目的に行われた493の介入研究のメタ・アナリシスによると、介入前の平均BMIは33.2kg/㎡、平均介入期間は16週間であり、平均11kgの体重減少であったと報告されています。

推奨量が算定されている栄養素については、推奨量を用います。推奨量付近か、それ以上であれば現在の摂取量を維持させ、それ未満である場合は推奨量に近づくように計画を立てます。

ただし、実施可能性や他の栄養素の摂取状態を考慮し、総合的に判断します。目安量が算定されている栄養素については、目安量を用います。

現在の摂取量が目安量付近かそれ以上であれば、この水準を維持させます。一方、目安量未満の場合は、不足の有無や、そのリスクが判断できません。なお、大幅に下回っている場合には、エネルギーや他の栄養素の摂取量、身体計測や臨床検査の結果などを考慮した総合的な判断によって、摂取量の改善の必要性を検討します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

整腸薬・消化薬は、腸などに働きかけて、便の状態を正常にしたり、食べ物の栄養素の吸収を高める効果があります。

便は腸内に長くとどまっていると水分が吸収されすぎて、便が固くなって排出しにくくなります。整腸薬は、腸の機能に作用して便の水分状態を正常にするので、軽い便秘のときに向いています。

整腸薬には、生薬(ゲンノショウコなど)が主成分のものと、整腸生菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)が主成分のもの、または生薬と整腸生菌の両方を配合したものがあります。生薬には下剤として使われるものもあり、腸に比較的優しく、穏やかに便通を促進するのは整腸生菌のほうです。

消化薬は消化素薬ともいわれ、食べ物の消化と吸収を助ける効果があります。食べ物から摂取した糖質、脂質、たんぱく質は、体内から分泌される消化酵素の働きによって消化されますが、食べ過ぎなどで酵素の働きが低下した場合には、消化薬で酵素の働きを補います。また、脂肪を分解する作用がある胆汁酸の分泌を促す利胆薬も、消化薬に分類されています。

止瀉(ししゃ)薬は、腸管に作用して下痢を改善します。子供や高齢者が服用すると脱水症状を起こす可能性があるので、使用量を控えるか、スポーツドリンクなどによる水分補給も必要となります。

その反対に便秘を改善する薬を瀉下薬といい、一般的には下痢、便秘薬などと呼ばれています。瀉下薬は重い便秘の対策には向いていますが、刺激が強いので、あまり頻繁に服用すると、体が慣れてきて効きにくくなります。体にも悪影響を与えやすいので、便秘が慢性化しているなら、薬よりも食物繊維を増やすか、整腸薬などで対処するほうがよいでしょう。

下痢も便秘も、食生活の乱れやストレスが原因であることが少なくありません。薬を服用するのと同時に、これらの原因を取り除くことも重要となります。

胃腸薬を服用しても痛みが改善されない場合には、胃腸鎮痛鎮けい薬が用いられることもあります。胃腸鎮痛鎮けい薬は、胃粘膜の神経に直接作用して、痛みを軽減する薬です。局所麻酔のような効果があります。

どちらかというと、急に激しい痛みを生じた急性期に対応する薬で、胃腸鎮痛鎮けい薬を服用しても痛みが続くような場合には、専門医への相談が必要となります。また、妊娠中の女性や循環器疾患のある人は、服用を禁止されているので、特に注意が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

胃腸薬には、総合胃腸薬のほかに、健胃薬、制酸薬、消化薬、整腸薬、止瀉薬などがあります。

総合胃腸薬は、食前・食後ともに胃が痛むときに適しています。総合の名のとおり、いろいろな痛みや不快感を感じるときに飲んで効果があるように、複数の薬剤が組み合わされて使われています。

健胃薬は、唾液の分泌を促したり、胃の機能を高める効果があるので、胃の調子が悪い、つまり胃の働きが低下したときに使用します。食欲不振や胸やけ、アルコールの飲み過ぎによる不快感があるときに飲むことで、症状を抑えることができます。

また、ビール酵母にも健胃薬に近い効果があるとされています。ビール酵母は、ビールを発酵させる酵母で、お店で飲むことができる生ビールには豊富に含まれています。ちなみに、お店の生ビールから酵母を濾過して取り除いたものがビンや缶の生ビールとなっています。

お店の生ビールは頑丈なアルミ缶で保存されるので破裂することはありませんが、ビンや缶の生ビールで酵母が残っていると破裂しかねません。そのため、ビンや缶の生ビールは発酵したあとに酵母を取り除いています。

制酸薬は、胃酸の過剰分泌による障害を緩和する薬です。胃酸は、食べ物や口から入ってきた菌などを殺菌するために強酸性になっています。胃壁が健康な状態で、粘膜から粘液が充分に分泌されていれば、それに守られて酸の強い刺激を受けることはありません。

しかし、胃の粘膜の抵抗力が低下していたり、胃液が過剰分泌したりすると、胃壁が酸の刺激を受けます。そして、炎症、痛み、不快感(胃重、げっぷ、むかつき、もたれ、胸やけ、膨満感)などが現れます。空腹時に胃腸などの症状が出たときは、胃酸の刺激による症状が疑われるので、制酸薬が使用されます。

制酸薬は、①胃液の過剰分泌を抑える、②胃液の酸を中和する、③胃粘膜を保護する、の3種類の効果に大きく分けられます。

また、スイッチOTCの胃腸薬のH2ブロッカーは胃酸の過剰分泌を抑制する働きがあるので、なかなか治まらない症状のときに使われます。スイッチOTCは医療用医薬品から一般医薬品になったもので、購入には薬剤師の指導が必要とされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

胃と腸は構造的につながっていることから、胃の症状の変化が腸の症状を引き起こすなど、強い関連性があります。胃について知ることは、腸を理解するためにも大切なことです。また、胃に影響を与える胃腸薬については有効性だけでなく、誤った使い方をすると危険性があることも知っておきたいものです。

胃と腸はストレスなどによるダメージを受けやすい臓器です。精神的なストレスだけでなく、過労や喫煙などの身体的なストレスによって症状が出ることもあります。

胃にとってタバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は身体にストレスを与える存在そのものです。喫煙すると胃が激しく動き、充分に消化されないまま小腸へと送り出します。これは、胃を傷つける原因となる有害物質を早く胃から運び出すために起こっていることです。

胃と腸に起こる症状は、食前などの空腹時の痛みと、食後に感じる痛みの2種類に大きく分けることができます。

食前や空腹時に起こる痛みは胃炎または胃酸過多症(胃液の酸の過剰分泌)が原因であることが多くなっています。食事をした後に出る痛みは、胃の機能低下などが原因となっています。

また、胃と腸は痛みだけでなく、もたれやむかつき、便の状態の悪化など、さまざまな症状が出やすいところです。そのため、胃腸薬は、それぞれの症状に合わせて選び、的確なタイミングで飲まないと、効果が出ないので注意が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

腸内環境を整えるための、もう一つの方法として注目されているのはプレバイオティクスです。これはプロバイオティクスが働きやすい環境に整える役目をするもので、糖質や乳製品などといった善玉菌のエサや食物繊維などが、それに当たります。

ビフィズス菌を増やすものとして知られているのはオリゴ糖です。オリゴ糖には、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィニース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸などがあります。

こういったプレバイオティクスを摂ることによって、乳酸菌の増殖が促進された結果、腸の状態をよくする整腸作用、腸壁からのミネラル吸収促進作用、炎症性腸疾患の予防・改善作用など有益な効果が認められています。

食物繊維は、人間の体の中の酵素では消化されない食物成分のことで、消化されないために吸収もされず、ほとんど形を変えずに大腸まで届き、腸壁を刺激しながら排泄されます。

植物性の食物繊維には不溶性と水溶性があります。

不溶性食物繊維は水に溶けないタイプの食物繊維で、穀類、イモ類、野菜に含まれているセルロース、ヘルセミロース、リグニンなどがあり、硬くて、ボソボソした食感が特徴です。

もう一つの水溶性食物繊維は水に溶けるタイプの食物繊維で、胃の中でドロドロに溶けたゲル状になって余分な脂肪や糖質を包み込みます。包み込まれたものは吸収されずに排泄されます。

また、ゲル状になった水溶性食物繊維は、胃から小腸にゆっくり運ばれるために、糖質がゆっくりと運ばれ、糖質に含まれるブドウ糖もゆっくりと運ばれるために、血糖値が上昇しにくくなっています。これが水溶性食物繊維のダイエット効果につながります。

この水溶性食物繊維が含まれるのはコンブやワカメなどの海藻類、キノコのほか、果物に含まれるペクチンがあります。

以前は、コンニャクも水溶性食物繊維に分類されてきましたが、凝固剤によってコンニャク粉を固めたあとには変化をしないので、水溶性食物繊維ではなく、今では不溶性食物繊維の扱いとなっています。

不溶性食物繊維には便を硬くする作用があり、水溶性食物繊維には便を軟らかくする作用があります。不溶性食物繊維を増やしすぎると、かえって便通が悪くなることもあるので、水溶性食物繊維も同時に摂るようにしたいものです。

水溶性食物繊維は水分を吸って3~5倍にも膨らみ、発酵を進める作用もあって便量を増やし、便を軟らかくして便通をよくしてくれます。さらに、水溶性食物繊維には腸内の有害物質や食事で摂った余分な脂肪などを包み込んで一緒に運び去り、排泄するという働きもあります。

水溶性食物繊維というと、水に溶ける性質があるので、分解されるという印象が抱かれがちですが、水に溶けてゲル状になったとしても、分解されるわけでもなく、それ以上に変化をするわけではありません、

これは植物性の食物繊維だけでなく、三重螺旋構造のコラーゲン繊維のように、動物性の食物繊維でも、繊維の形状では消化もされず、吸収もされないのは同じことです。

プロバイオティクスとなる乳酸菌などを摂るのと、プレバイオティクスを摂るのと、どちらが効果的かという議論もありますが、より腸内環境を整えるためには、両方を一緒に摂るほうが有効だということは当然に考えられることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

腸の状態がよいことは健康づくりの基本です。腸は栄養素を吸収するとともに、40歳以降には全身の抵抗力を高める免疫のセンターともなっているので、腸の状態を整えることは重要となります。

その腸の健康を保つために、まず対処しなければならないのは、腸内細菌の善玉菌を増やすことです。腸内細菌は善玉菌と悪玉菌、そのほかに腸内環境によって善玉菌にも悪玉菌にもなる日和見菌に分けられます。

腸内細菌の総数は約1000兆個と、ほぼ決まっているので、善玉菌を増やすことで、有害な物質を作り出す悪玉菌を減らすことができます。

腸内細菌は、もともと体内にいたものではなく、生まれてすぐに母親から受け継いだもので、その腸内細菌が増殖して腸内に定着したものです。女性は皮膚に棲みついている常在菌の乳酸菌が多く、これが善玉菌のもととなっています。

そのため、女性が糠漬けを混ぜると皮膚の乳酸菌が入って、ますます発酵が進むのに対して、男性が糠漬けを混ぜると乳酸菌が少なく、雑菌が多いために腐敗が進むといいます。

女性の常在菌で多くを占める乳酸菌は、もともとは膣内に棲みつく乳酸菌の一種の乳酸桿菌で、それが体外にも出てきた者です。膣内では雑菌を防ぐために、乳酸桿菌によってヨーグルトのような発酵物が作られています。

腸内に、体の外から入ってきて定着した腸内細菌が増殖するためにはエサに当たるものが必要です。腸内細菌は、胎児のときには腸内には存在せず、誕生してから定住したものだけに、活動するためにはエサに当たる栄養源が必要となります。

善玉菌のエサとなっているのは、主には糖質、乳製品、食物繊維です。乳製品は胃の中で乳糖分解酵素によって乳糖になり、これを善玉菌がエサとします。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とがあり、善玉菌が好むのは不溶性食物繊維のほうです。

研究によって、水溶性食物繊維も善玉菌のエサとなることが確かめられています。しかし、水溶性食物繊維を摂ることで善玉菌が増えるとして販売していたサプリメントが、厚生取引委員会によって、不当な表示をしているとして排除命令を出されてから、水溶性食物繊維が善玉菌のエサになるということが語られなくなりました。

腸内の善玉菌が多いのか、それとも悪玉菌が多いのかは、トイレで確認することができます。

腸内の善玉菌が多くなると、発酵が進むことによって便の色は黄色くなり、臭いも弱くなっています。また善玉菌の発酵によって便の量も多くなります。

それに対して悪玉菌は主には動物性たんぱく質と脂肪をエサにしているので、成長につれて食生活が変わると悪玉菌が増えていきます。現在の食事は洋食が多く、肉類と脂肪という悪玉菌を増やしやすいものが増えているだけに、善玉菌を増やすものを多く摂らなければなりません。

そのために積極的に摂るべきものは、プロバイオティクスと呼ばれています。

その代表的なものはビフィズス菌などの乳製品や発酵食品に含まれている微生物です。ビフィズス菌は腸内にも多く棲みついていますが、ヨーグルトやサプリメントとして摂り入れたビフィズス菌は腸内では1日か2日ほどしか棲息することができません。だから、少量でもよいので、毎日、摂ることがすすめられます。

腸内には定着しないものの、腸内に一時的にビフィズス菌が増えたことで、腸内での発酵が進み、腸内は酸性傾向になっていきます。その結果、酸性傾向の環境の中で増殖しやすい善玉菌が増えていくようになります。

つまり、腸内環境を酸性傾向にして、善玉菌を増やすためには、少量でもよいので、継続してプロバイオティクスを摂るようにすべきだということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

自宅で便秘を解消できるタイプ別の入浴法があります。 

弛緩性便秘と直腸性便秘では、腸の働きを活発にすることが大切なので、副交感神経の働きを高めるために、40℃前後のぬるめのお湯での入浴が適しています。

身体が充分に温まったら、お湯の中で腹部のおへそを中心に、右から左へ時計回りに「の」の字を書くように、手のひらでゆっくり5~10分間マッサージします。お湯の中で腹部をふくらませたり、へこませたりする腹筋運動を10~20回行うのも効果的です。

痙攣性便秘は、腸の緊張が強すぎるので、リラックスできるように、好きな香りのハーブや入浴剤を入れて、ぬるめのお湯で半身浴をします。しばらく使った後に追い炊きして、お湯の温度を徐々に上げて42℃くらいで止め、3~5分ほどつかります。

お湯から上がって少し休息し、腸の緊張を解消するために、42℃のシャワーを腹部にあてながら、「の」の字を書くようにマッサージするのもよいでしょう。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

下痢は便に含まれる水分が多くなりすぎて軟便や水様便となって出るものを指します。病気が原因になっている下痢もありますが、ほとんどの場合には暴飲暴食や不規則な食生活、ストレス、体の冷えなどが原因となって起こっています。

便秘では改善に威力を発揮する食物繊維は、下痢の場合には消化が悪く、腸を刺激するので量を少なくしなければなりません。また、コーヒーやアルコール、炭酸飲料などの刺激物は禁止されます。冷たい飲み物と食べ物も腸を刺激するので、温かいものを、ゆっくりと噛んで食べるようにします。

下痢の原因として注目されているものに過敏性大腸症候群があります。消化器科受診の60%を占めるほど増えてきているものですが、ストレス性下痢とも呼ばれていて、精神的なストレスによって自律神経の調整がうまくいかなくなり、大腸と直腸の間にあるS状結腸の収縮が低下します。

大腸では水分を吸収して、適度な硬さの便にしているわけですが、S状結腸の収縮が低下すると、まだ水分の多いままで便が通過して下痢になるというものです。

下痢になると腸内細菌の善玉菌も悪玉菌も排出されますが、悪玉菌は増殖しやすいので腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。悪玉菌は有害物質を多く作り出し、これを排出するために、再び下痢を起こすことになります。

過敏性大腸症候群は、下痢だけでなく、自律神経調整が乱れることで逆にS状結腸が収縮して便秘になる例もあります。便秘になると悪玉菌が多くなり、悪玉菌が作り出した有害物質(毒素)で大腸が刺激される時間が長くなって、便秘のあとに下痢が起こることになります。

下痢によって腸内細菌のバランスが崩れることで、便秘になり、また下痢になるといったように便秘と下痢を繰り返すようになる人が多いのも、この過敏性大腸症候群の特徴です。

便秘と下痢では、食事の内容が異なるわけですが、過敏性大腸症候群では、そのときの状態によって食事を切り換えなければいけません。過敏性大腸症候群になったら専門家の治療と栄養指導も必要となってきます。

便秘は、腸管の炎症や腫瘍、甲状腺機能の低下などの病気によっても起こります。また、下痢は腸管の炎症、ウイルスや細菌による疾患、分泌液の異常、糖尿病や膠原病などによっても起こります。

たかが便秘、下痢と軽く考えて放っておいたために症状が悪化することもあるだけに、原因に思い当たることがなかったり、便秘や下痢が長く続くようなら、専門医で早めに診断を受けることをすすめます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

常習便秘を原因別に分けると、便を先へ送る腸の蠕動運動が弱くなるために起こる弛緩性便秘、直腸の神経が鈍くなって便が直腸まで下りてきても腸から大脳への排便のシグナルが鈍いために便意を感じなくなる直腸性便秘、腸の蠕動運動が強すぎるために起こる痙攣性便秘の3種類があります。

弛緩性便秘は、腹筋力が低下している人、内臓下垂の人、高齢者などに多く見られます。食事で食物繊維をたくさん摂る、大腸を刺激して蠕動運動を促す、腹筋を鍛えるといったことが、このタイプの便秘解消には大切です。

直腸性便秘は、便意を我慢しがちな人、高齢者、便秘解消のために浣腸を常用している人などに多く見られます。食物繊維を多く摂るほかに、毎日トイレに行く習慣をつけることと、水分の摂取などが大切です。

痙攣性便秘は、精神的なストレスが原因と考えられています。過敏性腸症候群の一つで、便秘と下痢が交互に発症することもあり、若い人などに多く見られます。

刺激性の少ない食事や飲料を摂ることが大切なので、消化が悪いもの、冷たいもの、熱いもの、脂肪の多いもの、香辛料などは避けて、ストレスをかけないようにします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

便秘の認識は人によって、さまざまです。毎日便通がある人は、1日でも出ない日があると強い不快を感じて、これを便秘だと認識しがちです。欧米人のように出ない日が週に2~3日もあるのが便秘と考える人もいます。また、出ない日があっても不調がなければ便秘としないという専門家もいて、判断しにくさに拍車をかけています。

医学的には、食べ物を食べてから便が排出されるには24~72時間かかるので、このことから3日以上、便が出ないときに便秘としています。これは平均して週に7回の便通がある日本人の場合で、週に5回の便通が普通である欧米人とは異なる基準です。

このほかに、排便回数が少ないだけでなく、便がとても固くなり、腹痛や排便するときに苦痛を感じる状態を指していることもあります。

便秘には十二指腸潰瘍や腸閉塞といった病気によって起こる急性便秘と、特に病気がないのに起こる慢性便秘とがあります。

一般に多い慢性便秘には、弛緩性便秘と痙れん性便秘とがあります。弛緩性便秘は大腸の緊張が低下したり、大腸を運動させる力、特に腹筋の筋力が落ちているために排便機能が低下するもので、日本人の慢性便秘の70%ほどは弛緩性便秘だといいます。

弛緩性便秘は便量を増やして、腸への刺激を高めることで改善していくことができます。そのために役立つのは食物繊維です。牛乳には消化されにくい乳糖が含まれていますが、日本人は成人になると乳糖分解酵素が減っていく人が多く、それが軟便や下痢につながっています。このデメリットを利用して、便を軟らかくするのに役立ちます。

痙れん性便秘はストレスや過労などで神経障害を起こし、そのために大腸が痙れんして便通が阻害されることで起こります。痙れん性便秘は腸に対する刺激が強くなると、かえって症状が悪化するので、食物繊維の多い食品や冷たい牛乳は避けなければいけません。

アルコール飲料やカフェイン、炭酸類は弛緩性便秘の場合には普通に摂っても特に問題ありませんが、痙れん性便秘の場合には禁止されます。

このように便秘は、起こっている症状は同じようでも、その理由は異なっています。その理由によって対処法も異なってきます。
慢性便秘の原因は、主に5種類に分けられています。

仕事や家庭、旅行などの環境の変化による精神的な影響、ダイエットを始めて急に食事量や水分が減ったなど一過性の原因による単純性便秘。

腸閉塞、大腸がんや大腸ポリープ、肝臓、膵臓の炎症など病気が原因で起こる症候性便秘。この便秘は、薬の副作用によって起こる場合もあります。その他には、慢性の常習便秘といわれる便秘があります。

ここでは病気でない常習便秘の解消法について説明していきます。

紹介されたことを実践しても便秘がよくならない場合には、病気が原因となっていることも考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕