血糖値は血液中のブドウ糖の量を示す数値なので、血糖値が上昇するのはブドウ糖が含まれる糖質の摂りすぎが一番の原因と考えられます。二番目はブドウ糖を消費して減らすための運動不足です。日本人の食事は、ご飯が中心というのが国民的な伝統で、以前の食事はご飯の量が多くて、おかずが少ないというものでした。その時代には糖尿病の人は少なくて、糖質の摂取の割が減ってきた現在は糖尿病患者が約1000万人、その予備群が約1000万人と、国民(成人人口)の5人に1人が糖尿病か予備群となっています。
本当に糖尿病はブドウ糖の量が関係しているのかと疑問の声もあがりそうですが、ご飯が減っても他のもの(パン、麺類、砂糖)でブドウ糖の摂取量が急激に増えたということはありません。急激に増えたのは脂肪の量です。終戦直後の食糧難のときと比較しても仕方がないので、食糧事情が安定してきた昭和22年の調査結果(戦後初めての国民栄養調査)と比べてみると肉の消費量は6倍にもなっています。それだけ脂肪の摂取量が増えています。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの主な働きはブドウ糖を細胞に取り込むことなので、インスリンが正常に分泌されていれば血糖値は下がることになります。インスリンには、もう一つ大きな働きがあって、それは肝臓で脂肪を合成することです。欧米人やアジアでも北方の人は歴史的に肉食が多かったことから、脂肪を蓄積するためにインスリンの分泌量が多くなっています。だから、かぼちゃのような体型に太ることも可能なのです。
日本人は歴史的に糖質も脂肪も多く摂ってこなかったことから、インスリンの分泌量が少なくなっています。それなのに脂肪を多く摂るとインスリンが多く必要になります。そのために、もともとインスリンの分泌が少ないのに膵臓が働きすぎて、疲弊した状態になると急にインスリンの分泌量が減ってしまいます。これが糖尿病の始まりです。世界的には脂肪摂取は糖尿病の原因にはなっていないのですが、日本人に限っては糖尿病の大きな原因となっているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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歩くと全身の毛細血管の血流が盛んになって、皮膚の温度が上がると同時に、腸の温度も上がります。皮膚と違って腸の温度の上昇は確認しにくいのですが、歩く時間が長くなるほど腸の毛細血管に送られる血液量が増えて、腸の温度も高まっていきます。腸内細菌の善玉菌は高めの温度で増殖しやすくなっています。それに対して悪玉菌は腸内が温かくても冷えた状態でも増えやすくなっています。
腸内が冷えていたら、悪玉菌が増えるのに善玉菌は増えないということになります。腸が温まっていると善玉菌も悪玉菌も増えることになるものの、善玉菌が増えれば腸内環境は整えられていきます。だから、歩けばよい、とだけ言うのは正確ではありません。善玉菌も悪玉菌も栄養源(エサ)が必要で、いくら温度の環境が整えられていても、肝心な善玉菌の栄養源がなければ腸内環境は整えられません。
善玉菌の主な栄養源は糖質と食物繊維です。食物繊維は糖質が固く結びついたもので、胃液では分解されないのですが、大腸では善玉菌によって分解されて、善玉菌の栄養源となります。この栄養源を使って、善玉菌が活性化して、増殖もしていきます。それに対して悪玉菌の主な栄養源は動物性たんぱく質と脂肪です。その両方が悪玉菌の栄養源になり、悪玉菌を増殖させます。
腸内細菌は1000兆個もいると言われていますが、総数はほぼ決まっていて、善玉菌が増えれば悪玉菌が減り、悪玉菌が増えれば善玉菌が減るという関係になっています。そのため、善玉菌の栄養源を多く摂り、悪玉菌の栄養源を減らすことによって、善玉菌を増やしていくことができるのです。それと同時に、腸内が温かく保たれていれば、どんどんと善玉菌が増えていってくれるというわけです。
文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは家庭、技術・家庭の中学校の食に関連する内容を前回に続いて紹介します。
⑤展開(5時間)
〔主な学習活動〕
*地域または季節の食材やそれらを用いた調理のよさについて話し合う。
*事前のインタビューや広告などを基に、身近な地域で生産されている食材についてグループで調べる。
・家の周りでは、○○が育てられていたよ。
・スーパーには地元で生産された○○が売っていたよ。
・給食の献立表にも書いてあったね。
*地域または季節の食材を用いた料理や通気に伝わる料理についてグループで調べる。
・地域の祭りのときにいつも食べている料理があるね。
・私の家では、お母さんがおばあちゃんから教わったと話していたよ。
*学級全体で、グループで話し合ったことを発表し合う。
〔指導上の留意点〕
*栄養教諭が、給食に取り入れている地域または季節の食材やそれらを用いた調理について説明する。
*事前にインタビューなどを行うことで、地域の食材に関心をもたせ、主体的に学習に取り組めるようにする。また、地域のお店の広告なども活用して調べることができるよう助言する。また、地域のお店の広告なども活用して調べることができるよう助言する。さらに地域の人材を招いたり、インタビューのVTRを視聴したりすることも考えられる。
*学級全体で話し合ったり、カードなどでまとめたものを提示したりして、地域の食材や地域に伝わる料理について、生徒が共有できるようにする。
“人は血管とともに”という言葉が出たら、それに続くのは“老いる”という言葉がくるのは常識的なところですが、今回のコロナ後を考えるために打ち出したのは“オイル”です。もとの言葉の「人は血管とともに老いる」は、医学教育の基礎を築いたアメリカの内科医のウイリアム・オスラー博士(1849-1919)が残したもので、国内外を問わず多くの医学者が健康の話をするときに引用しています。
血管が老化すると病気にもなり、寿命も短くなる、といった意味で使われていて、だから血管の健康には注意が必要という主張が多くなされています。その注意の多くは脂肪摂取を戒める内容となっているのですが、本当に脂肪がよくないのかということを考えるために「人は血管とともにオイル」というダジャレのようなことを掲げました。
血管といっても動脈もあれば静脈もあり、どこの臓器の血管かということも気になります。そこでオスラー博士の言葉を原典であたってみたら、「A man is as old as his arteries」となっていました。「人は動脈と同じ年齢だ」ということで、これを「人は血管とともに老いる」と訳した人は(誰かはわからないのですが)ある意味で天才かもしれません。「暦の年齢ではなく、血管年齢こそが、その人の年齢だ」ということで、いかに血管の状態をよくしておくかで、寿命の延伸に影響してくるということを示しています。
この場合の血管というのは動脈のことです。心臓から送り出された血液は動脈によって全身に運ばれていくわけですが、動脈には強い力がかかり、丈夫ではあるものの、傷みやすくもなっています。動脈の老化に関わるのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)で、その原因は食事の内容が大きく関係しています。中でも脂肪は血管を傷める大きな要因で、血液検査で中性脂肪値が高いことが確認されたら、脂質摂取を控える食事指導が行われます。しかし、初期段階では自覚症状がほとんどないことから、そのまま放置する人が少なくありません。
新型コロナウイルス感染症の拡大による運動不足、食べ過ぎ、飲み過ぎで血液中の中性脂肪が増えすぎた人も多く、これが動脈硬化の要因となって、今後の血管に関わる心疾患(心臓病)、脳血管疾患につながる危険性を高めているのです。
発達障害者支援法の第二条の二の「基本理念」には、国や地方公共団体(自治体)が発達障害者を支援する団体との連携を進めることが示されています。連携を進めるということは、発達障害者の支援を自治体に期待するだけでなく、民間の団体にも期待されているということで、自治体の協力を得ながら、市民活動として取り組むべきである、ということが示されています。
そのような取り組みをしようと考え、国や自治体にアプローチしても、なかなか応えてくれないと感じている人も少なくありません。自治体の理解が得られて、いざ進めようとしたときに、関係する機関が期待どおりに動いてくれないために、歩みが鈍いと感じることもあります。
この点について、発達障害者支援法の第二条の二では続けて、以下のように示されています。
「国及び地方公共団体は、発達障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に対し、個々の発達障害者の特性に配慮しつつ総合的に応ずることができるようにするため、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を行うものとする。」
自治体は家族からの相談に乗ることも、支援を応援しようとする団体などからの相談に乗ることも積極的に進めなければならないということであり、発達障害という特性から医療、保健、福祉、教育、労働などの幅広い業務に関わる機関とも民間団体とも連携することが求められています。すぐに関係機関や関連する民間団体と一緒に行動することは難しくても、少なくとも相談には乗ってくれて、活動の応援だけはしてもらえるということです。
さらに続けて、「国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活、警察等に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとする。」とあり、協力体制も整備することが求められているのです。
老化による物忘れと認知症では、同じ忘れたという状態であっても、各状態が大きく異なっています。この状態の違いを知ることで、認知症であるのか、それとも単なる老化による物忘れなのかを確認することができます。
まず原因から見ていくと、老化による物忘れでは「脳の整理的な老化」であるのに対して、認知症では「脳の神経細胞の変性や脱落」が起こります。物忘れの状態にも違いがあって、老化による物忘れでは「体験したことの一部分を忘れる(ヒントがあれば思い出す)」という状態で、認知症では「体験したことを丸ごと忘れる(ヒントがあっても思い出せない)」という違いがあります。
症状進行としては、老化による物忘れでは「あまり進行しない」という特徴があるのに対して、認知症では「だんだん進行する」という特徴があります。
ただ忘れるというだけでなく、判断力にも違いがあって、老化による物忘れでは判断力が「低下しない」のに対して、認知症では判断力が「低下する」という結果になっています。
一般には忘れたことを忘れていないのが老化による物忘れで、忘れたことを忘れているのが認知症と分類されています。そのため、自覚状態は、老化による物忘れでは「忘れっぽいことを自覚している」のに対して、認知症では「忘れたことの自覚がない」のが特徴となっています。
そして、最後は日常生活についてですが、老化による物忘れでは「支障がない」のに対して、認知症では「支障をきたす」という結果になっています。
鉄は赤血球のヘモグロビンに多くあり、酸素を結合して全身に酸素を運ぶ作用があります。鉄には肉や野菜に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高くなっています。不足すると鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。
1日の目安量と許容上限量については「日本人の食事摂取基準」(2020年版)に掲載されています。鉄の男性の推奨量は年齢によって異なります。
〔男性:鉄推奨量〕
1〜2歳:4.5mg、3〜5歳:5.5mg、6〜7歳:5.5mg、8〜9歳:7.0mg、10〜11歳:8.5mg、12〜14歳:10.0mg、15〜17歳:10.0mg、18〜29歳:7.5mg、30〜49歳:7.5mg、50〜64歳:7.5mg、65〜74歳:7.5mg、75歳以上:7.5mg。
鉄の男性の許容上限量は年齢によって異なります。
〔男性:鉄許容上限量〕
1〜2歳:25mg、3〜5歳:25mg、6〜7歳:30mg、8〜9歳:35mg、10〜11歳:35mg、12〜14歳:40mg、15〜17歳:50mg、18〜29歳:25mg、30〜49歳:50mg、50〜64歳:50mg、65〜74歳:50mg、75歳以上:50mg。
鉄の吸収率はヘム鉄が約30%、非ヘム鉄が約5%となっています。ビタミンCによって吸収率が高まりますが、それは非ヘム鉄に対してです。鉄は血流が盛んになって赤血球が傷つくことで赤血球から失われやすくなります。運動をする人は多く摂る必要があります。レバー、赤身肉、赤身魚、貝類などに多く含まれますが、これらの食品が不足している人は多く摂ることがすすめられます。
発達障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つに大きく分類されています。この3つは三大発達障害とも呼ばれていて、このほかにトゥレット症候群、チック障害、吃音(症)なども発達障害に含まれます。
発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、身体や学習、言語、行動において幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかない状態を指しています。発達障害というと知的な遅れや障害があるものと勘違いされることがありますが、認知機能は平均以上で、知的な遅れがないのが大きな特徴となっています。
精神面、運動面の発達が遅れている部分があるために、対人コミュニケーション能力や気を利かせる能力、問題解決能力などの低下が認められています。日常生活に支障があり、周囲と違った行動をすることから、社会適応に向けての支援が必要となります。その社会適応の一つで、重要な部分を占めているのが学習面での遅れに対する支援です。
発達障害児は全児童の10%ほどにみられ、そのうち半分ほどは学習障害(LD:Learning Disabilities)であることが確認されています。学習障害は単独で起こるだけでなく、学習障害と自閉症スペクトラム障害、もしくは注意欠陥・多動性障害が同時にみられることもあり、さらに3種類が複合的にみられる場合もあります。
学習面での困難さがあるのは学習障害だけでなく、自閉症スペクトラム障害においても、注意欠陥・多動性障害においても起こります。学習面で障害が起こることによって、充分に学ぶことができず、持って生まれた能力が発揮できないということもみられます。そのことから、学習障害の支援対象は、学習障害児だけでなく、自閉症スペクトラム障害児、注意欠陥・多動性障害児も含まれています。
個人的にウォーキングの機会を増やすことを前回は伝えましたが、コロナ禍で大きく低下した地域の健康度を高めるためには、地域での活動も大切になります。地域の健康づくりは自治体の責務ではあっても、「五十歩」の目標が掲げられたら、もう一歩増やすという意識の高まりがないことには、掛け声倒れで終わることにもなりかねません。
ここでは諺(ことわざ)の「五十歩百歩」をもじった「五十歩五十一歩」をテーマとしていますが、“一歩の価値”について紹介させてもらいます。
一般社団法人スマートウエルネスコミュニティ協議会(SWC)の研究発表によると、運動を中心とした健康づくりによって暦年齢が58歳の人の体力年齢が3か月後に65.4歳から60.9歳に4.5歳、若返っていました。健康づくり実施群は対照群(平均年齢70歳)に比べて4年後の医療費は1人当たり約9万円抑制されたとの結果が報告されています。
これまでのSWCの研究成果から歩数増加による医療費抑制への貢献が割り出されています。それによると1歩の価値が0.061円となり、1日に2000歩を増やした場合には1万人が参加すると1年間で4億円以上の抑制になると計算されています。
また、個人の成果では1年間、毎日3000歩ずつ増やすと入院医療費は約21,000円の抑制、通院医療費は約40,500円の抑制になると報告(筑波大学)されています。自治体の高齢者のうち、1000人が1日に歩数を1000歩増やしたとすると、1年間で2000万円を超える医療費が抑制される計算となります。SWCの研究は筑波大学大学院の久野譜也教授が実施したもので、新潟県見附市の健康教室参加者の医療費抑制効果が基本となっています。
このほかに東北大学大学院の辻一郎教授の1日10分間歩行(1000歩)を1か月継続すると1,341円の医療費抑制につながるとの研究成果から1歩あたり0.045円と算定した例や、慶應義塾大学の駒村康平教授の1日あたり歩行量が1歩違うことによる年間の医療費(入院外医療費)との研究成果から1歩あたり0.030円と算定した例もあります。
しかし、SWCで採用され、全国的に実施されて成果が得られていることから、ここでは「1歩あたり0.061円」を採用しています。
血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値はブドウ糖の量を示しています。血糖値が高いというのはブドウ糖の量が基準値より多いことになりますが、ブドウ糖は食品の糖質(ご飯、パン、麺類、砂糖などの糖分)に含まれています。だから、糖質の摂取量を減らせば血糖値が下がるのは当然のことです。糖質制限をすれば血糖値が下がるというのも当然のことです。
では、糖質制限で糖尿病が治るというのも事実なのかというと、そこには疑問があります。何をもって糖尿病と診断するのかということですが、血糖値だけに注目するなら糖質制限で血糖値が下がるのは事実なので、糖尿病が改善するというのは事実のようにも思われます。しかし、判断基準となっているのはヘモグロビンA1cという赤血球の中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものを指します。
ヘモグロビンは赤血球の鉄を含む赤いタンパク質で、酸素を結合して全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収する役割をしています。赤血球の主な役割が酸素と二酸化炭素を運搬することなので、赤血球の最も重要な部分といえます。そのヘモグロビンにブドウ糖が結合してヘモグロビンA1cになり、その量が多くなると全身の細胞の酸素不足、二酸化酸素過剰となり、全身の60兆個以上とされる細胞が正常に働かなくなります。
糖尿病の恐ろしさは、血管がもろくなり、合併症の網膜症、腎症、神経障害が起こるだけでなく、全身の血管が徐々に傷んできて、細胞が酸素不足になることなのです。
赤血球の寿命は125日(約4か月)とされています。ヘモグロビンA1cは1〜2か月の血糖値の変化を示す数値となっています。ヘモグロビンA1cが糖尿病の検査で重要視されるのは、血糖値は1日だけ極端な糖質制限をすれば下がって、ごまかしができることから、正確性を期すためには、どうしても必要になるのです。
そこまでのことがわかっていて、糖質制限をして血糖値の変化に一喜一憂しているのならまだしも、そうではない人が多いことを知っているだけに杞憂しているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)





