発達障害児は、すべての子どものうち10%にみられるといいます。発達障害児のうち半分は学習障害で、残りの多くが自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害とされています。学習障害が認められる子どもも10%は存在していることから、発達障害の学習障害とされた子どもだけでなく、さまざまな子どもに学習障害が起こることを示しています。
学習障害の特性とされる識字障害、書字障害、算数障害は脳の発達の違いによって起こることが知られていますが、それだけが学習障害の要因ではありません。集中するばかりに全体像が見えにくくなる自閉症スペクトラム障害でも、集中しにくい注意欠陥・多動性障害でも、学習がうまくいかないことがあります。どの発達障害であっても、決められた標準的な時間で理解することが苦手で、理解したことを書き記すにも時間がかかるという特徴がみられます。発達障害と診断されていなくても、グレーゾーンと呼ばれる子どもたちにも学習に影響が出ることもあります。
それ以外にも、学習に障害や困難さを抱えている子どもは多く、その子どもたちの支援は、学校や学習塾だけに期待するのは難しいところがあります。
学習障害は全般的な知的発達には問題がなく、視覚、聴覚にも問題がなく、さらに学習環境や本人の意欲にも問題がないにも関わらず、読む、書く、計算するなどの学習が習得できなかったり、うまく発揮することができないことによって、学業成績に困難が生じる状態を指しています。
理解ができないわけではなく、理解に時間がかかり、理解してから回答するまでにも時間がかかることから、通常の学習時間では間に合わず、このことによって成績が低く評価されることが起こっています。これは本人に適した教え方がされていないことが原因とされますが、それ以外にも理解して回答するために必要な学業技能が整えられていないことがあります。学業技能の向上と、それを支える栄養摂取と身体機能の調整は、学習のための最低条件条件であり、これを身につけるための支援が求められてきました。
私たちは、これまで子どもの栄養支援、運動支援に専門家の知見を得て取り組んできましたが、発達障害児支援、学習障害児支援の専門家との連携が整ったことから、学習障害を広範な知識によって資格認定講習を始めます。
資格認定は3段階方式を採用し、上級認定者は中級認定講習を実施、中級認定者は初級認定講習を実施して普及を加速させる講習システムとしています。このために支援の協会を設立して、まずは基金拠出による講習テキストの原稿作成に取り組んでいきます。
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脳細胞のエネルギー源はブドウ糖だけだと前回紹介しておきながら、今回は違う話からスタートします。ブドウ糖が唯一のエネルギー源となっているのは平常時であって、多くのエネルギーが必要になるときには脂肪酸から変化したケトン体を使うことがあります。
ブドウ糖が脳細胞のエネルギー源になるのは、血管と脳細胞の間にある血液脳関門という脳細胞に余計なものを通過させないためのフィルターのような役割をする物質交換を制限する器官があるからです。この血液脳関門をブドウ糖以外で通過することができるのがケトン体ということです。
体内にはブドウ糖が結合したグリコーゲンが400gほど補助のエネルギー源として蓄積されています。主に蓄積されているのは肝臓と骨格筋ですが、これをエネルギー量に換算すると、ブドウ糖は1gあたり約4kcalなので、蓄積されているのは1600kcalだけです。成人男性の平均的な1日の消費エネルギー量は2500kcalとされているので、900kcalも不足することになります。
脳細胞のエネルギー使用量は全体の23%とされるので、2500kcalのうち575kcalが必要です。蓄積されているグリコーゲンの1600kcalのうち23%は368kcalとなり、64%を満たすことができる量です。ということは残りの36%に当たる900kcal分の糖質、つまり225gのブドウ糖を摂らないと不足することになり、これをケトン体が補うことになります。ケトン体は血液中のブドウ糖が不足したときに、肝臓で脂肪酸から合成されるという仕組みになっています。
脳が疲れてきたときに甘いものを食べると疲れがとれるのはブドウ糖が補われた結果です。ちなみに砂糖はブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したもので、脳の機能を正常に保つためには砂糖に換算すると450gも摂らなければならないことになります。
カリウムは細胞の浸透圧を維持するほか、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしています。また、カリウムには腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して血圧を下げる効果があります。
1日の目安量と目標量については「日本人の食事摂取基準」(2020年版)に掲載されています。目安量は体の恒常性維持に適正と考えられる量で、目標量は高血圧を中心とした生活習慣病の予防の観点からの量です。
カリウムの女性の目安量は年齢によって異なります。
〔女性:カリウム目安量〕
1〜2歳:900mg、3〜5歳:1000mg、6〜7歳:1200mg、8〜9歳:1500mg、10〜11歳:1800mg、12〜14歳:1900mg、15〜17歳:2000mg、18〜29歳:2000mg、30〜49歳:2000mg、50〜64歳:2000mg、65〜74歳:2000mg、75歳以上:2000mg。
カリウムの女性の目標量は年齢によって異なります。1〜2歳の目標量は掲載されていません。
〔女性:カリウム目標量〕
3〜5歳:1400mg以上、6〜7歳:1800mg以上、8〜9歳:2000mg以上、10〜11歳:2000mg以上、12〜14歳:2400mg以上、15〜17歳:2600mg以上、18〜29歳:2600mg以上、30〜49歳:2600mg以上、50〜64歳:2600mg以上、65〜74歳:2600mg以上、75歳以上:2600mg以上。
女性は男性に比べて体が小さいことから目安量、目標量ともに少なくなっています。
カリウムの吸収率(利用効率)はほぼ100%ですが、腎臓から90%ほどが排出されています。カリウムは野菜に多く含まれていることから野菜が不足している人、塩分を摂りすぎている人は多めに摂ることがすすめられます。
満点といえば100点というのが常識的ですが、何も100点に限ることもありません。200点満点でもよいし、50点満点でもよいはずです。100点でなかったとしても、100点に近いほうがモチベーションは高まります。1問が3点、5点と初めから配分される点数が決まっていれば、○×で何点であるのかは簡単にわかります。
自分が解答した数よりも、採点数が少なかったら、これは計算間違いが考えられます。それ以外では低い点数になることはないということです。これとは逆に、解答した数よりも採点数が多かったら、これは“下駄を履かせる”という行為の結果と考えることができます。下駄を履かせるというのは、もともとは商業行為で数量や価格などを高く見せて偽ることを指していて、別の言葉では“上げ底”があげられます。
下駄を履かせたり、上げ底をしなくても、点数を高くつける方法があります。それは文章で回答する問題の点数配分を多くしていく方法で、例えば○×式、穴埋め式などの点数配分は50点にして、残りの50点は文章の回答で採点者が点数を決められるようにします。ここに忖度(そんたく)が生じるという指摘もされるところですが、入学の試験でなければ、このような採点法によってモチベーションを高め、学習意欲を高めていくという試験方法があってもよいわけです。
試験は優劣をつけることだけが目的ではなく、試験を通じて現状を把握して、改善点を図っていく目的もあります。学習障害がある子どもの場合には、高い点数が得られたという体験によって意欲を高めていくことも大切です。学習障害児の教育では、理解の度合いに応じて1〜2学年下のものを教えて、それで試験をするということも実施されます。しかし、これは子どもを傷つけることでもあり、別の方法を考える必要があるという提案として伝えさせてもらっています。
衣装というのはパッケージと同じようなもので、中身がよいもの、価値があるもの、価格が高いものを入れる箱も、その箱を包む紙も、それを入れる紙バッグなども高価な素材、価値がありそうに見えるものを選びます。高級ブランドがパッケージを安価な商品と同じにすることがないことから、包みを見れば中身の想像がつく、というのと同じ感覚で、高価な服装、凄いブランド商品を着ている子どもは、中身も立派そうに見えてきます。見た目と中身が一致しているのが一番よいわけですが、「孫にも衣装」という言葉が使われるようだと、見た目に対して実は中身は……という状態になってしまいます。
コロナ禍で子どもの学力は大きな変化がありました。学校で学ぶ時間が減ったことで学力が下がった子どもが増えた一方で、家や塾で学ぶ時間が増えたことから学力が上がった子どもも増えています。家庭の経済力が学力に与える影響は以前から言われていて、文部科学省の調査でも明らかでしたが、最新の調査では、その差がコロナ禍で広がり、裕福な家庭の子どもは高いレベルの大学に行き、卒業後の就職もよい条件のところに行けるという状態になりました。
そうでない家庭の子どもにとっては、コロナ禍と、それに続くコロナ後の社会は進学にも就職にも厳しい時代となり、ゆとり教育で競争が激しくなかった中を過ごしてきた世代にとっては天と地、天国と地獄の感覚にもなりかねない状況です。それだけに、中身と外見を一致させるような努力が必要となるということですが、コロナ禍の影響を直接的に受けた親の下に生まれた子どもにとっては自力だけでは一生懸命に学ぶことも難しい状況となっています。これを打開するには、社会的な支援が絶対に必要になり、もしも余裕があるなら、支援のために動いてほしい、動こうと思ったときに動ける仕組みを早く作ってもらいたいというのが、厳しい状況に気づいている人たちにやってほしいことなのです。
◎サプリメントの摂取タイミングを教えている
私のプロフィール(公式版と称している)では、健康食品・サプリメントの専門家であるサプリメントのアドバイザリースタッフ制度の構築に関わり、その制度の一つとして始まった国立健康・栄養研究所のNR(栄養情報担当者)の認定講習の法律講師をしたのが、健康食品・サプリメントの機能性についても講習するきっかけになったとしています。これは事実なのですが、それだけでは健康食品・サプリメントの業界と関わるようになったわけではありません。
平成12年に保健機能食品制度が公表され、平成14年には厚生労働省より「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方について」の通知が発表されました。保健機能食品というのは、ビタミン、ミネラル、脂肪酸について、ある程度の有効性を述べて販売することが許可されたものですが、通知では保健機能食品のあとに“等”という文字がついています。これは一般の健康食品も含まれることを示しています。
このアドバイザリースタッフ制度は、保健機能食品等に関する消費者の指導・教育を目指したアドバイザーの養成についての重要性を指摘したものです。この通知に従った教育をすれば、将来的に国が認める資格になるのではないか、という期待が抱かれたこともあるのですが、この制度を構築する会議の中では、そのようなことは話し合わせてはいません。どうして、そんなことを知っているのかというと、会議のサポートメンバーとして参加していたからです。
制度と表示の規制について健康食品業界は強い関心を抱いていますが、消費者となると制度にはほとんど無関心で、興味が向けられているのは有効性だけです。有効性については、妻の父が有名な薬学博士で、テレビの健康情報番組にも多く出演していたことから、ほとんどの健康食品と、その素材の情報を入手していました。
健康食品の素材の有効性がわかって、それを摂れば、望むような健康効果が期待できると思われがちですが、素材について徹底的に研究をすると摂取タイミングによって吸収の差があることがわかります。それもタイミングを間違うと、まったく吸収されないということがあります。さらに一つの健康食品の中に空腹時に摂る必要がある成分と、食後に摂る必要がある成分が使われているものあり、いつ摂ることを想定して作ったのかとツッコミたくなるような商品も存在していることがわかりました。
この最も知りたい情報が、法規制によって述べることができないのです。だから、私のサプリメント講習は素材別に特徴とともに、摂取タイミングを教えています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」の中から運動療法について前回に続いて紹介します。
◎1型糖尿病患者における運動療法
◉進行した合併症がなく、血糖コントロールが良好であれば、インスリン療法や補食を調整することにより、いかなる運動も可能である。
◉運動の長期的な血糖コントロールへの効果は不明であるが、心血管系疾患のリスク因子を低下させ、生活の質を改善させる。
◎薬物治療中の糖尿病患者における運動療法
◉インスリン治療をしている患者では血糖自己測定を行い、運動の時間や種類、量により、運動前や運動中に補食する。運動前後のインスリン量を減らす、などの調整が必要である。
◉経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)では投薬量を減らす必要がある場合もある。
◎糖尿病患者の運動療法における一般的な注意
◉両足をよく観察し、足に合った足底全体へのクッションのある靴を用いる。
◉血糖コントロールの悪いとき(特に1型糖尿病・2型糖尿病患者とも尿ケトン体陽性時)は運動を行わない。
◉インスリンや経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)で治療を行っている患者において、運動中および運動当日~翌日に低血糖を起こすおそれがある。特にインスリン治療中の患者では、運動前の血糖値が100mg/dl未満の場合には吸収のよい炭水化物を1~2単位摂取することが望ましい。
◉日常生活のなかで段階的に運動量を増やしていく。運動の前後に準備運動と整理運動を行う。
◉運動の到達目標としては、頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回、中等度の強度の有酸素運動を20~60分間行うことが一般には勧められる。
文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは家庭、技術・家庭の中学校の食に関連する内容を前回に続いて紹介します。
ウ 分野の食に関連する内容(家庭分野)
(ア)食に関連する内容
B 衣食住の生活
次の(1)から(7)までの項目について、課題をもって、健康・快適・安全で豊かな食生活、衣生活、住生活に向けて考え、工夫する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)食事の役割と中学生の栄養の特徴
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)生活の中で食事が果たす役割について理解すること。
(イ)中学生に必要な栄養の特徴がわかり、健康によい食習慣について理解すること。
イ 健康によい食習慣について考え、工夫すること。
(2)中学生に必要な栄養を満たす食事
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア)栄養素の種類と働きがわかり、食品の栄養的な特徴について理解すること。
(イ)中学生の1日に必要な食品の種類と概量がわかり、1日分の献立作成の方法について理解すること。
イ 中学生の1日分の献立について考え、工夫すること。
(3)日常食の調理と地域の食文化
ア 次のような知識および技能を身に付けること。
(ア)日常生活と関連づけ、用途に応じた食品の選択について理解し、適切にできること。
(イ)食品や調理用具などの安全と衛生に留意した管理について理解し、適切にできること。
(ウ)材料に適した加熱調理の仕方について理解し、基礎的な日常食の調理が適切にできること。
(エ)地域の食文化について理解し、地域の食材を用いた和食の調理が適切にできること。
イ 日常の1食分の調理について、食品の選択や調理の仕方、調理計画を考え、工夫すること。
可愛がられすぎ、甘やかされすぎの中で育てられた“ゆとり世代”は2021年時点では17歳から34歳で、上の年齢は子どもがいる年代です。ゆとり世代は親になり、ゆとり世代の親は祖父母にもなっています。自分が経験したことを、子どもには経験させたくないと言って、教育を受けさせ、よい生活ができるように自分を犠牲にしてでも応援してくれたのは戦中・戦後を生き残ってきた、今の祖父母世代の、もう一世代上の層です。
よい教育、よい職場に送り出すというのは優しい親心そのものだったわけですが、その親心のせいで厳しい競争社会に放り込まれた経験を、子どもにはさせたくないと思っていたところに、ゆとり教育を子どもが受けることになり、そのことが厳しい社会を生き抜く力を弱めることにもなりました。
そこに起こったのがコロナ禍で、今までと同じことをしていたら生き残れない、同業他社と仲良くしている状態ではなくなって蹴落としていかないと生きていけない社会に放り出されたようなものです。ゆとり教育では、運動会でも順位を決めず、みんなで手をつないで一緒にゴールを通過するということが行われていましたが、それは競争があっても、それほど厳しくはない、今と同じ状態が続くという前提のもとに実施されてきたことです。
それが急に大変化が起こり、生活面では前と同じことをしてはいけない、仕事では前と同じ状態になることを願いながらも実現は難しいという状況に追い込まれ、環境の変化だけでなく、意識を変化させないと乗り切れないことに気づきました。
子どものうちは親の環境の中で過ごせばよかったのに、子どもも意識を変えて、自分ができることから取り組んでいかなければならないというコロナ禍と、コロナ後の社会になっています。子どもを可愛がる気持ちには変わりはないものの、甘やかす「孫にも衣装」ではなくて、ある程度の厳しさをもって子どもを応援しなければいけない時代になったと認識しています。
私たちの身体は、すべての細胞の中で産生されるエネルギーによって働いています。細胞の中にはミトコンドリアというエネルギー産生の小器官が数多くあり、そのすべてを合わせると全体中の10%ほどの重量となります。それだけ重要な器官であり、細胞で産生されるエネルギーなしには一時たりとも活動することができません。
細胞のエネルギー源になるのは糖質、脂質、たんぱく質で、これ以外はエネルギー源とならないこともあって三大エネルギー源と呼ばれています。食品として摂った糖質は分解されてブドウ糖となります。同じく脂質は脂肪酸に、たんぱく質はアミノ酸となって細胞の中に取り込まれていきます。ミトコンドリアの中に取り込まれると、どれもアセチルCoAに変化して、その後はエネルギーを作り出すTCA回路に入り、化学変化をしながら一周するとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。このATPからリン酸が1個はずれるときにエネルギーが発生するという仕組みになっています。
細胞の中で発生したエネルギーは、その細胞の中でしか使われません。電気のように別のところに流れて行くということはなく、地産地消のような使われ方をしています。神経伝達も細胞の中のミトコンドリアで発生したエネルギーが使われていますが、神経は全身に張り巡らされていて、情報も全身に伝わっています。これはニューロンという神経細胞の端のシナプスまできた情報がグルタミン酸として放出され、それが別のニューロンに受け取られて情報として伝わり、次々にバトンタッチされていきます。
脳を正常に働かせるためには、脳細胞にエネルギー源が取り込まれて、細胞内でエネルギーが産生される必要があるわけですが、三大エネルギー源のうち脳細胞に取り込まれるのはブドウ糖だけです。ブドウ糖が含まれた糖質が不足すると、脳細胞を働かせるためのエネルギーを充分に作り出すことができなくなり、脳の機能も低下することになります。





