投稿者「JMDS」のアーカイブ

膝の軟骨がすり減っているために痛みが生じている人は、膝を動かさないようにすること、膝に負担がかからないようにすることが大切と思われがちですが、実際には歩いて膝を動かすことが大切です。というのは、膝の軟骨を再生させるために必要な成分は、膝を曲げ伸ばしして、膝の周りの血管から、その成分を膝の軟骨まで送り届けるようにしなければならないからです。
膝関節は滑膜という袋状の膜の中に包まれ、滑膜の中の関節液に有効成分が溶け込んでから膝関節に届けられます。この作用を進めるためには、膝が動くことによるポンプ作用で、滑膜とつながった血管から成分が引き込まれていきます。
膝軟骨成分のグルコサミン、軟骨の潤滑成分であるコンドロイチンは体内でも合成されますが、軟骨がすり減った状態の人には、それだけでは充分とはいえません。そこで健康食品として摂ることも痛みの改善のためにすすめられます。しかし、有効成分を摂っただけでは膝軟骨までは届けられないため、痛みがあるからといって体を休めているだけでは効果を得ることができなくなります。
有効成分を膝軟骨まで届けるためには膝の曲げ伸ばしが必要であるといっても、深く曲げるとトゲ状になった骨が神経を強く刺激するようにもなるため、あまり膝を深く曲げないで、普通の歩き方をして軽い曲げ伸ばしを続けるようにします。膝関節を適度に動かすことは、周囲の筋肉を強くして、膝関節への負担を減らす効果もあります。筋肉をコルセットのようにつけていくわけです。
歩いて治すというと、歩くほど効果があると思い込み、中には歩きすぎてしまう人もいますが、膝の軟骨に成分を送り続けるために毎日、少しずつでもよいので継続して歩くようにすることが大切です。

発達障害があると力加減がわからず、何事にも全力で立ち向かおうとする特性があります。教師や講師は学習に全力で取り組むということを口にしますが、発達障害児にとって全力で取り組むというのは手加減しないことで、文字を書くときでも全力で取り組もうとします。
そのために力が入りすぎて、鉛筆の芯が折れてしまうために、ひらがなでも一文字が一気に書ききれないということも起こります。そのために指が疲れるだけでなく、痛みを感じていても力が抜けない状態もあり、例えば突き指をしていても、その指を使い続けるというようなことにもなります。
1回の講習時間で、鉛筆の芯を何本も折ってしまうので、ペンケースに多くの本数が入っていないと学習にならないという子どももいますが、中には力が入りすぎて、鉛筆そのものを折ってしまう子どももいます。大人でも鉛筆を折るには相当の力が必要ですが、それを意識しないでなってしまうのが、力加減がわからない子どもの実態です。
鉛筆は芯が折れることを気にしなければ、力を入れすぎようと文字を書くという結果は変わりはしません。そこで鉛筆よりも芯が細くて、力を入れすぎると折れやすいシャープペンシルを使わせることもあります。それも0.3mmの太さのものを使って、芯を折ったら書くのに時間がかかって遅れてしまうということを教えようとします。そもそも学習障害の子どもは理解したことを文字として表現するまでに時間がかかるので、芯を折っていたら時間制限で回答できないことになってしまいます。
鉛筆の芯だけでなく鉛筆を折るくらいに力が入ってしまう子どもには、箸の持ち方も力が入りすぎて上手に食べられない、指先の感覚で細かな作業ができないということが多くなっています。どの方法なら鉛筆の持ち方、使い方を教えられるということよりも、その子どもが楽しく続けられる指先を繊細に使うことができる遊びや日常生活の工夫などから身につけさせることも必要になってきます。このテクニックを教えるのが学業技能向上を目的とした塾の役割です。

地方の優れた食材、珍しい料理は集客のキラーコンテンツです。他に楽しめるところがないとしたら、それを目的に訪れる人は必ずいます。長引くコロナ禍で、旅行を楽しもうというモチベーションが低下して、全体的に移動客が減ったとしても、受け入れる店舗や施設が減ってしまったので、計算上は前と同じくらいの集客は見込める、というのが地方創生を手がける会社が打ち出している勝ち残り策のポイントとなっています。
観光による地方創生を実施してきた自治体では、料理に力を入れ、料理人も変え、献立はコンサルタントに依頼するということで、それなりの魅力的なメニューを打ち出していました。そういったところを訪ね歩く調査活動をしていて、どこに行っても、なぜここに力を入れない、と感じたのがお酒でした。ここでいうお酒は日本酒のことで、ワインの産地ではワインと洋食の組み合わせもありましたが、ほとんどの地域は日本食をベースにしていて、お酒といえば日本酒でした。
地元の食材で作った料理には地元の日本酒ということで、自治体は地元に酒造会社があれば、それを採用するのは当たり前のことです。日本酒の味は地域の料理から生まれる、逆に地域の料理から日本酒の味が変わってきたということがあるので、地元の料理には地元の日本酒という組み合わせは当然のように出てくる発想です。ところが、必ずしも地元の日本酒が旨いとは言えないことがあり、せっかくの料理を台無しにしてしまうこともあります。
地元の酒造会社がない場合には、周辺の地域から探してくることになりますが、地元の歴史的な人物や観光名所のラベルを作り、既存の日本酒にラベルを貼って、オリジナル商品にしているところも増えてきています。全国各地を巡り、その地域の日本酒の特徴を知り、これなら全国各地から訪れた人でも納得するであろうものを「旅は道連れ要はお酒」の心構えで探してきていることから、その日本酒を提案します。しかし、どんな背景があるのか明らかにされないまま、提案は拒否され、お客さんが満足しない日本酒を出し続けているところも多いのが現状です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で国民の健康度が低下したことについては、いろいろな機会に指摘してきました。外出自粛での歩行不足と、室内にいる時間が長いことによる食べ過ぎ・飲み過ぎ、ストレスも強まった上に、マスク着用による酸素吸入の低下、そして通院の減少など、この状態が長く続いたら、回復が困難なほどの体力も筋肉も気力も低下してしまうことにもなりかねません。
国民的に健康度が低下するというと、自分が病気になること、介護を受けるのが早まることなどを考えがちですが、そんな国民が増えてきたときに、それを支える医療と介護の人材もパワー不足が心配されます。厚生労働省が発表している、2040年には医療と福祉で働く人材が全労働人口の20%になるという推計は、コロナ禍の前の状況で実施されたもので、コロナ禍での健康度の低下は、もちろん組み込まれていません。
支えられる側の高齢者の健康度が低下したら、それだけ介護の負担が大きくなります。それなのに介護する側の健康度が低下して、なかなか回復しないようでは、海外からの人材が期待できない中にあっては、自力での克服に頼るしかありません。コロナ禍で外出自粛を要請したのと同じ口で、今度は健康度を高めるために外出して歩いて健康になってくれ、と言うしかないという状況です。
1年半以上の期間とはいっても、外出の時間が減っただけで、そんなにも健康度が低下するものだろうかという疑問も湧いてくるかもしれませんが、筋肉の量だけに注目しても高齢者は特別な運動をしなければ1年で1%の筋肉が減っていくとされています。2日間だけ寝たきりの状態でいると1%の筋肉が減っていきます。出歩かなかった期間に筋肉を減らさないように、それなりに動いていた人はよいとしても、あまり動かなかったという人は筋肉がかなり減っているはずです。
筋力は筋収縮力(筋肉の強さ)、筋持久力(長く動かす能力)のほかに、筋代謝力があげられます。筋代謝力は筋肉がブドウ糖や脂肪酸をエネルギー源として消費してエネルギーを作り出す能力のことで、これが筋肉を動かさなかったことによって低下すると、血糖値や中性脂肪値が上昇して生活習慣病のリスクが高まっていきます。だから、歩くだけでもよいので、まずは体を動かすこと、そして歩き慣れてきたら積極的に生活習慣病を予防する健康ウォーキングに取り組んでほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

運動をすれば筋肉が強化されていきます。歩くだけでも腰の筋肉が使われ、強化することはできるものの、腰痛が起こりやすい人の場合には、普通に歩くだけでは刺激が不足しています。腰痛は、腰が痛いということで背筋が弱っているものと思われがちですが、腹筋とのバランスが重要で、腹筋も背筋も刺激することが必要になります。
腹筋が弱っていると腹が出た状態になりやすく、歩く姿勢も前屈みではなく、直立か後ろに反るような感じになります。これでは勢いよく歩いて、筋肉の刺激を強めることができなくなります。
腹筋と背筋を鍛えるには、少し前傾姿勢になり、胸を反らす感じにして、腹筋と背筋を意識して歩くようにします。胸を反らす感じというと、アゴが前に出てしまう人もいますが、アゴは引きぎみにして腕を大きく振って、歩幅を広げるようにして歩きます。
筋肉が硬くなった状態で歩くと、刺激が強くなりすぎて、痛みを引き起こすことにもなりかねないので、腰痛が心配な人は柔軟体操をしてから歩くことが大切です。
ただし、腰に軽くても痛みがある人は、少し身体を起こしぎみにして、背筋にかかる負担を減らすようにします。
腰痛は血液の流れがよくないために起こることが多くなっています。立ちっぱなし、座りっぱなしの人は、歩く時間を増やすことで筋肉の収縮を進め、全身の血流を盛んにして腰にかかる負担を減らすようにします。
筋肉は、無酸素運動では筋繊維を太くしてパワーを高めることができますが、筋肉がブドウ糖や脂肪酸を燃焼させてエネルギーにする代謝を高めることには向いていません。代謝を高めるのは有酸素運動です。有酸素運動のウォーキングを続けることで、筋肉は大きくは増えていないようでも筋肉を刺激し続けることで代謝力は高まっています。
代謝力が高まるとともに酸素を多く取り込むことで、細胞内のミトコンドリアの中での燃焼が盛んになり、疲労物質の乳酸も発生しにくくなります。このことによって腰痛の予防と改善ができるようになります。

文部科学省の「食に関する指導の手引」では教科ごとの食に関する指導を各論として掲載しています。ここでは家庭、技術・家庭の小学校の食に関連する内容を前回に続いて紹介します。
⑤展開(4時間)
〔主な学習活動〕
*1週間分の給食の献立(写真)を見て、気づいたことを話し合う。
・たくさんおかずがあるね。
・毎日たくさんの食品が使われているね。
・ごはんやパンは必ずあるね。
*給食の献立の主食、主菜、副菜に使われている食品を調べ、三つのグループに分け、気づいたことを話し合う。
・どのグループにも食品があるね。
・主食には「主にエネルギーのもとになる」食品が含まれているね。
〔指導上の留意点〕
*給食の献立を取り上げ、1食の食事にはたくさんの食品が使われていることやご飯やパン、めん類などの主食が必ず含まれていることなどに気づくことができるようにする。
*食品を三つのグループに分けることにより、主食には「主にエネルギー」となる食品、主菜には「主に体をつくるもとになる」食品、副菜には「主に体の調子を整える」食品が含まれているため、主食、主菜、副菜を組み合わせることで、三つのグループの食品がそろった献立になることを理解できるようにする。
・栄養教諭が給食の献立などを活用し、主食、主菜、副菜の組み合わせにより、栄養のバランスがよくなることを確認する。

いくら新型コロナウイルス感染を防ぐためだとは言っても、一人だけで外出をしたり、身近な人とだけに限られて行動するのは楽しいことではありません。コロナ後の行動制限解除も、全面的な解除ではなくて、1台のバスに多くの人が乗り込んで、車窓を楽しみながら、お酒を飲む、好きに話をするという「旅は道連れ要はお酒」ということまでが許されるわけではありません。収束ではなくて、ほとんど感染確認者がいないような状態になっても、まったく以前のような飲めや歌えという旅行は望めないというのが多く人の認識です。
旅行ということでは、昔から「旅は道連れ世は情け」という諺(ことわざ)が使われてきました。これは旅行のことを直接指しているわけではなくて、旅をするときに道連れがいると心強いのと同じように、世の中を渡っていくには人情をもって仲良くやっていくことができる道連れがいることが大切だということを指しています。
これは、コロナ禍で萎んでしまった地方創生の活動でも同じことで、一緒に道連れとして、これからの地方創生に取り組んでくれる人がいたら、どれほど心強いかと感じます。しかし、コロナ前に計画していたことが中止となり、途中まで実施していたことも中断となって、もう懲りてしまったという道連れ候補も少なくありません。
ある地方の温泉・宿泊施設を自治体が持っていて、これを活用して集客をすることで途中まではうまくいっていました。施設の職員が自治体に関係する人たちということで、サービスの質ということでは疑問符があったのですが、喜んで参加してくれる人の姿が従業員の気持ちも変わってくるはずという好意をもって見ることとしていました。
ところが、感染拡大のために途中で中断になりました。民間の持ち物ではなくて、自治体の施設で何か事が起こったら大変なことになるというので、複数年で計画していたイベントは中止となりました。それだけでは済まずに、宿泊施設は閉鎖状態で、働く人も正職員ではなくて自治体からの出向以外はパート採用となりました。正職員はフルタイムで、お客さんがいてもいなくても、ずっと施設にいて、仕事があってもなくても給与は変わりません。それに対して、パートタイムは働いた時間だけの給与となります。
これでは、モチベーションが上がらず、終息ではなくて収束したとしても、以前と同じようなサービスができるのか、以前と同じように集客してよいのか、先が見えない状態となっています。受け入れ側が変わらないことが、以前と同じ集客の大前提であるので、「旅は道連れ要はお酒」と楽しんでもらうことが計画しにくくなった例も少なくないのです。

ビタミンB₆は水溶性ビタミンで、多くの量を摂っても体内では長くは保持されず、その多くはエネルギー代謝で使われることから毎日摂る必要があります。ビタミンB₆の保持時間は12時間ほどであるので、1日に2回の摂取が必要になります。1回だけの摂取では充分な量を摂ったとしても不足することがあるわけです。ただし、耐容上限量が定められていて、過剰症が起こるため、これを超える量の摂取は控えるべきです。
1日に摂取すべき量については「日本人の食事摂取基準」(2020年版)に掲載されています。
ビタミンB₆の女性の推奨量は年齢によって異なります。
〔女性:ビタミンB₆推奨量〕
1〜2歳:0.5mg、3〜5歳:0.6mg、6〜7歳:0.7mg、8〜9歳:0.9mg、10〜11歳:1.1mg、12〜14歳:1.3mg、15〜17歳:1.3mg、18〜29歳:1.1mg、30〜49歳:1.1mg、50〜64歳:1.1mg、65〜74歳:1.1mg、75歳以上:1.1mg。
〔女性:ビタミンB₆耐容上限量〕
1〜2歳:10mg、3〜5歳:15mg、6〜7歳:20mg、8〜9歳:25mg、10〜11歳:30mg、12〜14歳:40mg、15〜17歳:45mg、18〜29歳:45mg、30〜49歳:45mg、50〜64歳:45mg、65〜74歳:40mg、75歳以上:40mg。
推奨量、耐容上限量ともに女性は体が小さい分だけ少し少なくなっていますが、大きな差はありません。
ビタミンB₆の吸収率(利用効率)は75%ほどとされています。糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に必要なビタミンであることから、多くの量を食べる人、運動をする人は多めに摂ることがすすめられています。

ウォーキングは“背筋を伸ばして腕を大きく前後に振って歩く”というイメージがありますが、実際に歩いている人の姿勢を見ると、初めのうちは胸を張って肩を大きく動かしていても、疲れてくると徐々に首が曲がって、頭が前に出てくる人がいます。これは年齢を重ねた人に多く見られます。
顔が前に出ると首のカーブが大きくなり、上体も前屈みになり、肩も狭まってきます。これは書類やパソコンの作業を長く続けているときになりやすい姿勢と同じで、筋肉が緊張しやすく、肩も胸も開かなくなっているので、血流が低下しやすくなっています。
首が曲がって頭が前に出るのは上半身の筋肉が弱くなっているためであり、疲れてくるとよい姿勢が保てなくなることと、腹筋が弱っていることもあげられます。
そこで、背筋を伸ばしたときに、腹筋を意識して腹筋と背筋を締める感じにすると、自然と首の骨がきれいなS字を描くようになってアゴが引かれた状態になります。腹筋と背筋を締めるためには、前傾姿勢になって腕の振り幅を大きめにします。
ウォーキングは全身の筋肉が動くことから、全身の血流を盛んにしてくれます。腕を振ることで肩の筋肉を大きく動かすことができるため、筋肉の中を通っている血管の収縮が大きくなって肩の血流も盛んになります。普通に歩いても血流が盛んになって、疲労物質の乳酸も流れるようになるので、肩こりの解消に役立ちます。
その効果を高めるためには、肩の動きがスムーズになるように、歩く前に腕と肩のストレッチをして、肩を前まわし、後ろ回しして、肩の可動域を増やすようにします。肩の周りの筋肉の動きをよくするには、右腕は前回し、左腕は後ろ回しにします。左右の動きを逆にして何度か繰り返します。左右の腕を逆回しすることで、肩が大きく動き、背中の筋肉も大きく動かすことができます。
これによって、歩くだけで肩の動きが大きくなり、肩の周りだけでなく上半身の血流を盛んにすることができます。

学習障害児のための学習指導をしているときに、急に実力行使に出る子どもがいます。未就学の子どもでは他の子どもを叩くといった行動が多いものの、小学生になると集団行動を取らされていることもあって暴力的な行動は少なくなります。その代わりに、自分の思いを強く出したいがために、大声で叫ぶ、机を叩くなど大きな音を出す、立ち上がってうろつくといった、周囲からすると妨害行動かと思われるようなことが出てきます。
これは妨害しようとしてやっていることは少なくて、自分に注目してほしい、理解してほしいという気持ちを上手に表すことができずに、これまでやってきたことの中から本人として効果があったと感じたことをしているというのが多く見受けられることです。
その行動の理由としては、思ったような結果が出なかった、講師の教え方が気に入らなかった、こんな学習塾では学びたくない、学びたくないところに連れてきた保護者への反発などさまざまです。幼い子どもは、自分にとって身に危険なことがあると無闇に腕を振り回して何も近づいてこないようにする行動がみられますが、発達障害がある子どもには、その感覚が改善されずに、小学生になってからも逃げ出したい気持ちになったときに、全力で逃走しようとする、それを止めようとする人を排除しようとすることがあります。
これが妨害行為、暴力行為と見えたら、危険が周囲に広がらないように止めにかかろうとするのは当然のことです。無分別になった子どもは手加減なくぶつかってきますが、発達障害があると手加減の感覚がわからずに常に全力でぶつかってくるところがあります。ある程度の実力行使は必要ではあるものの、そのときに全員の大人が押さえにかかるのは子どものためにはよくないことです。
周囲とのコミュニケーションが苦手で、居場所がないと感じている発達障害がある子どもには、最悪と思われる行動をしたときでも逃げ場が必要です。クラス全員で無視をしたり、教師も一緒に責めるようなことをしたら、状態を悪化させるだけです。学習塾では1人だけでも冷静に見守り、子どもの逃げ場になる人が必要です。できればトップの人が相応しくて、最も地位がある、力があると子どもが感じている人が見守り、あとで落ち着いてから対応をしてあげるということが大切です。
だから、発達障害児のための学習塾では複数のスタッフが必要になるのです。そのような対応をしているのに、職員から「トップは何もしないで見ているだけだった」との批判の声が出ることもあるのですが、発達障害がある子どもを預かっているときには、全員で押さえにかかるようなことはしてはいけないという、当然の対応であることを知っておいてほしいのです。