Medical Diet66 太るための入浴温度

入浴をすると10分間の全身浴で、100kcalほどのエネルギー消費が起こると一般には言われています。一般に、というのは計算どおりにいかないことが多いことを指しているのですが、それぞれの人の代謝、体脂肪量などのほかに、最も大きく影響するのは入浴の温度です。入浴温度で切り替えているのは自律神経の交感神経と副交感神経の働きです。
女子レスリングの体重コントロールのチームに参加したときには、他は多くは栄養と運動科学の専門家だったのですが、それ以外の手法については雑多な専門家に回ってきて、他に引き受け手がいなかったことから私が担当することになりました。入浴温度と自律神経の切り替えについては以前から明らかにされてきていたことで、42℃を超えると交感神経の働きが盛んになって代謝が高まり、38℃前後で副交感神経の働きが盛んになります。
心身ともにリラックスするときにはぬるめの温度で、活動力を高めるためには熱めの温度にして肩までお湯に沈める全身浴を10分を目処に続けます。通常は、その話で終わるところですが、ここからがメディカルダイエットの出番で、入浴後に食事をすると消化、吸収、体脂肪の蓄積が違ってきます。
今回のテーマが「太るための入浴温度」なので副交感神経のほうを説明すると、副交感神経の働きが盛んになった状態で食事をすると胃液とインスリンの分泌が盛んになります。胃液が増えて消化が進み、小腸の吸収を高めるのも副交感神経なので吸収も進みます。膵臓からインスリンを分泌させるのも副交感神経の働きです。インスリンは全身の細胞にブドウ糖を取り入れることを盛んにさせるのと同時に、肝臓での脂肪合成を進めて、脂肪細胞に中性脂肪を多く蓄積させます。だから、副交感神経の働きを盛んにさせたあとに、食事をすると体脂肪を増やすことができるということになります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)