細胞がブドウ糖を取り込むためには、膵臓から分泌されるインスリンが必要となっています。インスリンは血液中のブドウ糖が多くなる高血糖状態で分泌されるので、ブドウ糖が少ない低血糖状態ではインスリンが分泌されないことになります。それでは細胞が重要なエネルギー源であるブドウ糖を取り込めなくなり、低血糖状態ではエネルギー不足から運動ができないことになります。しかし、血糖値が低めの状態でも、糖尿病になってインスリンの分泌量が減っていても、細胞がエネルギー切れするようなことはありません。
ブドウ糖の80%ほどは筋肉細胞に取り込まれていますが、筋肉細胞の中にはGLUT4というグルコース輸送体があり、通常はインスリンによって細胞の表面まで移動してブドウ糖を取り込んでいます。しかし、インスリンがない状態でも運動をすると、GLUT4が移動してブドウ糖を取り込む仕組みが備わっています。ということは、糖尿病の人でインスリンの分泌量が減っていたり、インスリンは分泌されていてもインスリンの働きがよくない人の場合でも、運動をすればブドウ糖が細胞に取り込まれて、血糖値が下げられるということです。
ブドウ糖が主に使われるのは筋肉トレーニングの無酸素運動ですが、有酸素運動でも10〜15分間はブドウ糖が優先的に使われます。代表的な有酸素運動のウォーキングは短い時間でもよいので、1日に何回か繰り返すのがよいということです。