205 介護予防のための脳の活性化

生理活性物質のt−PAは30分ほどの運動をすると分泌量が増えます。t−PAには血栓を溶かす作用があり、血栓は脳血管を詰まらせて脳血管疾患(脳梗塞、一過性脳虚血発作)の原因となることから、認知機能の維持には重要な因子となります。
軽度認知障害のリスクを高めることとしては加齢に加えて脳卒中(隠れ脳梗塞を含む)、心疾患(心筋梗塞など)、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満、甲状腺機能障害、頭部外傷、正常圧水頭症、喫煙歴、アルコール・薬物の影響、ビタミンB₁₂欠乏、過度のエストロゲン、テストステロン欠乏、不健康な食生活、ストレスや不安、うつ病、社会的孤立、そしてエクササイズの欠如があげられています。
エクササイズは一般には身体運動として認識されていますが、精神機能や脳機能の向上にも有効となっています。リスクが高い人は、そのリスク(マイナス要因)を減らすことと同時に、有酸素運動の時間を増やすことが重視されています。それもあって、厚生労働省の『介護予防マニュアル』では、ウォーキングは運動器の機能向上の項目ではなく、認知機能低下予防の項目に採用されています。