日本肥満学会は、新たな症候群の対策として体重を増やすことを主とした発表を行いました。
それは「閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題」で、これまでの体脂肪を減らすメタボリックシンドローム対策とは逆という印象があります。
その発表の中から、新たな症候群の概念の「疾患概念確立の必要性と注意点」を紹介します。
〔疾患概念確立の必要性と注意点〕
このワーキンググループの目的は、閉経前までの成人女性における低体重や低栄養に関連する健康障害を体系的に整理して、新たな概念(症候群)として提示することです。
この症候群の概念に構築にあたっては、メタボリックシンドロームの考え方が参考にされています。
具体的には、メタボリックシンドロームでは、高血圧・高血糖。脂質代謝異常といった個々の疾患は氷山の一角であり、その背景にある内臓肥満が根本的な病態であることが、さまざまなエビデンスを元に概念化されました。
このような概念の構築によって、介入するポイントが明確になっただけではなく、誰もが広く病態を理解しやすくなり、個人レベルでの認識が深まることで、適切な行動変容を促すきっかけとなりました。
同様に、今回の疾患概念の提唱においても、貧血、月経周期異常、倦怠感といった表面的な指標のみではなく、低体重・低栄養という根本的な病態に着目することで、より包括的な健康リスクの評価と介入の枠組みが構築されます。
これによって、健診や診療の場で活用されるだけでなく、広く一般に認識されることが期待されます。
一方で、低体重に関連する疾患や症状は、必ずしも低体重の人にのみ認められるものではなく、栄養摂取の不足によって生じる場合もあります。
そのため、疾患概念に低体重を必須とした場合には、「痩せていなければ問題はない」という誤解を与える可能性もあり、疾患概念の設定には慎重な検討が必要と考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






