前回のお題は「メディカルダイエット×エネルギーコントロール」で、今回はコントロールが代謝に変わっただけです。エネルギーコントロールは飲食で摂取するエネルギー量を制限することを意味しています。それに対してエネルギー代謝は、1日に使われるエネルギー量を代謝によって考えていくもので、単に食事量を減らせば、エネルギー量が少ないものを食べればよいということではありません。
1日の消費エネルギー量のうち大きな割合を占めているのは基礎代謝量で、これは身体を動かさずに安静にしていても消費される必要最低限のエネルギー量のことを指します。体温の維持のほかに身体に必要な成分を作り出し、筋肉や内臓、脳などを働かせるために使われています。その割合は個人差があるものの、一般には70%ほどとされています。
身体を動かしたときに使われるエネルギー量は、活動代謝といって20%ほどを占めています。残りの10%ほどは食事誘導(誘発)性熱産生といって、食事をしたことによる体温の上昇や消化・吸収に使われるエネルギー量となっています。
年齢を重ねていくとエネルギー代謝が低下していきます。エネルギー消費が減る分だけ太りやすくなり、生活習慣病にもつながると一般に認識されています。
それはエネルギー代謝の一面であって、全身の細胞の中で作られたエネルギーを、その細胞の中の生化学反応を進めるために効果的に使うことによって、さまざまな悩みや不調の改善につなげていくことができます。
代謝は、一般にはエネルギー源を材料にしてエネルギーを作り出すことを指していますが、定義的にはエネルギーを作り出す「異化」と、それとは逆にエネルギーを使って物質を作り出す「同化」に分けられます。
エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を使って、全身の細胞の中にあるミトコンドリアでエネルギーを作り出すことが「異化」です。
これに対する「同化」は、細胞の中で作り出されたエネルギーを細胞の中で使うことによって、全身の細胞の働きを高めて、筋肉や骨、内臓や器官などが正常に働くようにしていくことを指します。それぞれの細胞を構成する成分の合成、酵素やホルモン、神経伝達物質、代謝促進成分などの合成なども同化によるものです。
全身には36兆個以上の細胞がありますが、細胞の中で発生したエネルギーは、その細胞の中だけで使われます。電気のように他のところに流れていくようなことはありません。
全身の健康は、すべての細胞の中で作り出されるエネルギーの量と、そのエネルギーを用いた細胞内の生化学反応によって保たれているということです。
このことは健康を考えるときの重要な基礎知識ですが、それよりも何を食べればよいか、どんな栄養素を補えばよいかということが注目されています。それは“お金になる情報”だからで、エネルギー代謝の仕組みを知ったからといって、稼げるものではないという考えもあって、「予算にない仕事」扱いされています。
〔小林正人〕






