体験談は、どんなに数多くの例があげられても、医学研究の世界では評価に値しないとされてきました。
エビデンス(科学的根拠)がないことは、どれだけ好結果が得られていても、体験者が多くても、これは効能効果ではなくて“個人の感想”でしかないというのは、医療関係者が当たり前のように口にすることです。
そのようにエビデンスが得られないことを指摘する医学者や科学者が多い中で、自らの身体のこととなると急に体験談レベルで語る専門家が多く存在していることも知っています。
「他人の体験談は言葉でしかない」と切り捨てて、体験談を裏付けるような検査結果が示されていても、医学的・科学的に理屈が合わないことは否定するというのは研究者の立場かもしれません。
自分が経験したこと、体験したことは真実であるという発想はわからないではないものの、なぜか患者の経験・体験となると真実とは認めないという医師は少なくありません(むしろ圧倒的に多い)。
いかに優れたと感じる体験であっても、商品に関わることは「個人の感想であって効能効果を示すものではありません」といったように、テレビ画面ではテロップが流されています。
わざわざ、そのような表示をするのは、効能効果を暗に示したいからのことです。しかし、時代によって評価が変わってくることはあります。
健康食品は機能性食品と呼ばれた時代もありましたが、その当時に厚生労働省の栄養担当者から「機能性食品は“うの字がいらない”」と言われたことがあります。“きのうせい”から“う”を抜いたら「きのせい」となって、機能性食品は「気のせい食品」だと揶揄されていました。
ところが、機能性表示食品制度が2015年に始まってから、科学的根拠を論文などで示せば、ある程度の機能性を表示できるようになりました。だからといって、体験談を信じてもよいということではないものの、消費者の感覚が大きく変わってきたのは事実です。
〔小林正人〕






