発達公益支援4 将来の活躍の場1〔IT業界の人材活用〕

発達障害がある人であっても、特性を活かすことができるようになっています。発達障害はコミュニケーションが苦手で、従来のピラミッド型組織(階層型組織)は生きにくい社会そのものにも感じます。

組織内ではコミュニケーションは重要で、仕事の成果よりも上下関係が重視されて、上にも下にも気を遣うばかりという状態では、そこを活躍の場にしようという気持ちが起こりにくいのは仕方がないことです。

コロナ禍は発達障害がある人にとっては、接触を避けるということで交流が減った一方で、マスクをしているために他人の表情が見えないために相手の気持ちが読めないというデメリットが生じました。

一つだけよかったことをあげるなら、オンラインでの会議や仕事が当たり前の世の中になって、日々のコミュニケーションへの負担が減ったことかもしれません。

発達障害の自閉症スペクトラム障害は閉じこもりがちな性質で、周囲が見えなくなるところがあるものの、集中して長時間の作業でも平気で取り組める能力に優れています。その特徴を活かす学習と仕事を見つけることができれば、他の人よりも優れた能力を発揮することが可能となります。

注意欠陥・多動性障害は集中ができずに、多くの情報が入りすぎるために落ち着いて行動することができないというマイナス面が強調されるものの、こだわりがなく周囲に目配りができる性質、多様なものを取り入れようとする行動は業種・職種によってはプラスにもなります。

適材適所の配置ができれば他の人にはない能力が引き出されるというものの、生産労働の人材として活用することによって、どれくらいの利益があるのか、経済損失につながっているのかということは明らかにはされてきませんでした。

民間シンクタンクの野村総合研究所が、2021年3月30日の世界自閉症啓発デーに合わせて、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害を人材として活用できていないことによる経済損失が年間2兆3000億円になるとの推計を発表しました。

少子・高齢化が急速に進む我が国では、今後40年間で生産労働人口が大きく減少すると推計されています。2020年の生産労働人口は7406万人ですが、これが2060年には4793万人にも減少するとみられています。

成長市場であるIT業界では2030年でさえ、需要数約192万人に対して供給数は約133万人と、約79万人不足すると試算されています。

それを補ってくれるのが発達障害がある人であり、適材適所の働く場所さえ見つけることができれば、働く人にとっても働く場を提供する人にとっても大きなメリットが得られる絶好のタイミングが到来したということができます。
〔小林正人〕