発達公益支援8 用語を変えることの弊害

発達障害は、広く通じる共通の用語となっていても、共通の認識が得られているかというと、それは否定的に見るしかない状況があります。

子どもの10人に1人が発達障害という状況で、発達障害の特性は生涯にわたって続くという事実も、あまり理解されていません。

発達障害には差別的な感覚もあって別の呼び方をしようという動きがあっても、医学用語でも法律用語でもあって、障害の“害”をひらがなにして「障がい」とすることくらいで止まっていた時期があります。

発達障害(developmental disorder)は、以前から使われてきたものの、発達障害者支援法の施行(2005年)によって確定的に使われるようになりました。それが今では 神経発達症(Neurodevelopmental disorder)が医学界では使われるようになりました。

神経発達症は知的発達症(知的障害)を含めていますが、発達障害では知的発達症(知的障害)が含まれないなどの違いがあります。

障害ではなくて症状という感覚で説明されることが多いようですが、呼び方が違っても状態に違いはなく、対応にも違いがないという考え方が主流となっています。

実際に発達障害児(神経発達症児?)の支援に関わっている方の多く(私も含めて)は、呼び名を変えることで解決されるとは思っていないはずです。

3大発達障害と呼ばれる自閉症スペクトラム障害は「自閉スペクトラム症」と呼び替えられています。英語表記は、ともに「Autism spectrum disorder:ASD」です。

注意欠陥・多動性障害は「注意欠如多動症」と呼び替えられていて、ともに英語表記は「Attention-Deficit Hyperactivity disorder:ADHD」です。

学習障害はLD(Learning Disorder)と表示されますが、言い換えの「局所性学習症」は英語表記ではSLD(Specific Learning Disorder)と部分的な違いがあります。

これまで、私たちは発達障害を使い、神経発達症は使ってきていませんでした。

また、三大発達障害についても自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害を使ってきました。
〔小林正人〕