負の歴史63 糖質制限の成否

適度な糖質制限は、さまざまな生活習慣病に対して、予防効果があり、改善(治療)効果もあることは今では常識として語られるようになっています。

その成否について、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2025年版)では、いくつかの報告を掲載しています。

日本人の2型糖尿病を対象に、6か月間130g/日の低炭水化物食の効果を観察した研究では、低炭水化物食群で体重減少とHbA1c値の有意な低下が認められましたが、同時に総エネルギー摂取量も減少していたことが確認されています。

また、エネルギー摂取制限食群と低炭水化物食群(130g/日未満)を設定して、6か月後に比較すると、総エネルギー摂取量が均しく減少して、体重変化も両群で同等であったものの、低炭水化物食群でHbA1c値と血中トリグリセライドの有意な改善が認められたとする報告もあります。

その一方で、非アルコール性死亡性肝疾患を伴う2型糖尿病を対象とした研究では、低炭水化物食群(70〜130g/日未満)は、エネルギー摂取制限食群と比較して3か月後の内臓脂肪面積の有意な減少は認められましたが、HbA1c値や総エネルギー摂取量、QOLに有意な差はなかったと報告されています。

このように、炭水化物制限による血糖指標と体重変化に対する効果には一定の見解が得られていないものの、2型糖尿病患者においては、約130g/日の炭水化物制限によって有害事象はなく、6か月後のHbA1c値の改善が認められたとの報告もあることから、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」では、2型糖尿病の血糖コントロールのために、6〜12か月以内の短期間であれば炭水化物制限は有用とされています。

この結果をみると、単純に糖質制限をすれば、誰もが同じ健康効果が得られるわけではないことがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕