バカは漢字では馬鹿とも莫迦とも書かれます。
馬鹿は知能が劣っていたり、役に立たないことを表すために使われることが多く、莫迦は道理や常識から外れていること、社会常識の欠如、度が過ぎることを指していることは前回紹介しました。
莫迦は、無知・愚かさを意味するサンスクリット語の「moha」(モーハ)に由来する仏教用語で、前回の説明を端的に示すと“真理を理解できない愚かさ”ということになります。
見た目の行動や言動ではなく、一見する正しいことを言っている、実践しているという人であっても、真理を理解しないままの行動・行為は莫迦と言われかねないのです。
では、馬鹿は、なぜ馬と鹿なのかというと、これは中国の故事「指鹿為馬」(しろくいば)に由来しています。出典は『史記』(司馬遷による歴史書)の「始皇帝記」で、秦の始皇帝の死後に権力を握った趙高(ちょうこう:秦の宦官)は自分の威光を試すために二世皇帝(胡亥)に鹿を馬として献上しました。
皇帝が「鹿ではないのか」と聞きましたが、趙高を恐れた臣下たちは「馬である」と嘘の返答をしています。そして、真実を言った臣下は、趙高によって処罰されました。
誰も逆らえない状況を作り出し、自身の権力を確固たるものにしたというエピソードで、権力者が真実を捻じ曲げ、周囲が同調する恐ろしさを伝える恐怖政治を今に伝えています。
そこから「指鹿為馬」(鹿を指して馬と為す)は、明らかに間違っていることや不合理なことを権力や権威、経済・金銭の優位を使って、正しいこととして押し通すこと、故意に事実を歪曲する行動を非難する際に使われています。
このような性質は“死んでも直らない”とされることで、その真意については、次回に続きます。
〔小林正人〕






