食育の伴歩8 食生活指針の意味と意義

食生活の指針といえば、厚生労働省の主導という印象があるかもしれませんが、2001年に中央省庁再編によって厚生省と労働省が統合して厚生労働省になる前から、当時の厚生省だけの主導ではなくなっていました。

厚生省による「健康づくりのための食生活指針」は1985年に発表されていましたが、これを改定した「食生活指針」が2000年に発表されました。厚生労働省が発足する前年のことです。

従来の指針は「健康づくりのための食生活指針」とあるように、健康が最重要とされていました。それが新たな「食生活指針」となって、これまでの指針と比べると食品の話や食べ方、廃棄量のことまで触れられています。

従来の指針を見慣れていた人には違和感を与えることにもなりました。

これは厚生省に加えて、農林水産省、文部省(現:文部科学省)との連携で、各省庁の取り組みとして発表されたからです。

食生活の大切さを伝える食生活指針は、厚生省時代には「健康づくりのための食生活指針」とのタイトルからもわかるように、あくまで“健康=食生活”の考えに立って定められていました。

しかし、食事には食材の大切さや子どもたちの教育の側面も重要であり、それぞれの所管が別々に出すのではなく、共通した指針を打ち出すことは以前から言われてきたことです。

そういった表向きの総論だけではなくて、当時は食生活に関連する広報予算は、農林水産省は厚生省の10倍、文部省は農林水産省の10倍と言われていました。つまり、厚生省単独の広報の100倍の規模であり、予算確保のために範囲を広げたと言われていました。
〔小林正人〕