「情けは人の為ならず」は、「他人にかけた親切は巡り巡って自分に返ってくることから、結果として自分のためになる」という日本人の精神性を表した諺(ことわざ)です。
それなのに、「他人に親切にすると、その人のためにならない」という意味だと勘違いしている人が少なくありません。
“少なくない”という表現をするときには、「少なくないどころか、かえって多い」ということを言いたくて発言することが多いのですが、文化庁の「国語に関する世論調査」では、正しい意味で使っている人と、間違った意味で使っている人は、ほぼ同じという結果が出ています。
それくらい、どちらが正しいのかわからないという悩ましい状態を引き起こしている、珍しい例としてあげられています。
言葉の意味としては、正しい使い方の方に軍配をあげるところですが、自らの身に情けをかけてほしい状態、これまで情けをかけるだけかけてきたので、少しくらいは返してくれてもよいのではないか、という状況になったときに、わざと「親切にすることは為にならない」という解釈をしてくる人が、あまりにも多すぎます。
それくらい、他人に情けをかける余裕がない、むしろ“自分に情けをかけてほしいと思っている人が多い時代ならでは”の結果かもしれません。
〔小林正人〕






