お役所言葉というのは、わかりにくいというか、内部の人間でなければ理解できないことも少なくありません。
幸いにして、社会人になって早々から、民間の立場でいながらも霞が関の官庁との付き合いがあり、その関係を今まで続けてきたことから、そんじょそこらの表現をされても驚くことはありませんでした。
お役所言葉は、なにもお役所だけで使われているとは限りません。関連業界でも使われるようになるのは普通のことで、関連業界と付き合っていれば言葉がわからないでドギマギすることはないと考えていました。
ところが、2つの関連団体からの依頼で厚生労働省に業界出向したときに、初めに言われた「予算にない仕事をしてもらいます」というのは、耳を疑うほど驚きというか新鮮というか、困惑をしたというよりも「これは面白いことになるかもしれない」という感覚のほうが大きかったことを覚えています。
その特有の言葉を聞いたのは2001年1月6日のことで、厚生労働省が正式に発足した初日に霞が関の本省で顔合わせをしたトップの方から言われました。
多くの人が聞いたことがある「予算がない仕事」は、お金をほとんど使わずに始める仕事や、少ない予算の中で工夫をして成果を出す仕事(業務)を指しています。どちらにしても予算がないわけではなくて、資金が極めて少ないことを意味しています。
これに対して、「予算にない仕事」というのは、2つの意味があります。予算を立てるほどのことではない“お手伝い程度の業務と、もう一つは“予算の項目にはないので支払いのしようがない仕事”のことで、私へのミッションは後者でした。
業界出向は、出向をさせた側が仕事の対価を支払うのが普通のことなので、国からお金をもらうことは初めから考えてはいなかったのですが、「予算にない仕事」の意味するところは、5分ほど説明を受けただけで理解できました。
〔小林正人〕






