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“恩”には “恩”で応えてほしいというのは何においても同じことですが、“恩”のプラスに対してマイナスで返されることがあります。これを私たちは「オンをオフで返す」と表現しています。恩に対しては“仇”(あだ)となるところでしょうが、せっかくスイッチをオン(ON)にしてあげたのに、すぐにオフ(OFF)で切ってくる人もいるのです。
観光地なら季節の名所を楽しむことができるオンシーズン(多くの人が訪れる季節)に行きたいところですが、繁忙期は混雑していて宿も取れないので、オフシーズン(観光客が少ない季節)に来てほしいと地元の方々に言われることがあります。オフシーズンには観光客が少ないので、その時期に来てもらえると助かるという気持ちはわかります。しかし、観光地に空いているときに来てほしいというのは、宿泊地を儲けさせるためのことで、おもてなしの気持ちで言っているわけではないだろう、と普通に言われます。
ところが、あえて観光地でオフシーズンに集客をすることがあり、それは観光よりも健康を打ち出したツアーだったり、静かなところで発想を豊かにする研修ツアーだったりします。オンシーズンに満杯状態になっていない地域では、他の切り口で呼んだ旅行客にオンシーズンに来てほしいということになるのでしょうが、オンシーズンは来てもらっても泊まれないという地域では、四季の自然を楽しむことだけでなく、他の観光目的である文化や体験施設を売り物にしています。その中に私たちは健康づくりを目的としたツーリズムを加えています。
「自然の中を歩くだけで健康」とか「雑踏から離れてリラックスできるだけで健康」などと言うつもりはありません。健康づくりをするためには、ある程度の設備は必要で、温泉やウォーキング道、多目的に使える体育館やグラウンドなどがツーリストのためにも開放されていることが条件的には必要になってきます。こういった健康ツーリズムなら、シーズンのオンもオフも関係なく、いつでも実践できることになります。ただ、オンのシーズンに宿泊施設が観光客で満杯という場合だけは、オフシーズンで組み立てるしかないのが、ちょっと厳しいところではあります。

『日本人の食事摂取基準』では脂肪の摂取割合は全エネルギー源の中で20〜30%とされています。『日本人の食事摂取基準』は5年に1回更新されていて、現在の2015年版と次に予定されている2020年版では20〜30%なのですが、その前の2010年版では20〜25%となっていました。この変化は単純に脂肪を多く摂ってよくなったというよりも、肉類に多く含まれる飽和脂肪酸の割合を7%以下にして、魚類や植物油に多く含まれる不飽和脂肪酸を多く摂ることが健康増進に役立つということを示しています。
肉類でも飽和脂肪酸の割合は異なっていて、一般には牛肉には多く豚肉、鶏肉の順に少ないとされています。しかし、部位によって含有量は異なっていて、例えば牛肉(和牛)はサーロイン(脂身付き)が16.29g、バラ肉が15.54g、リブロースが14.92g、サーロイン(脂身なし)14.64g、肩ロース(脂身付き)が12.19g、肩ロース(脂身なし)11.88g、もも(脂身なし)4.64gと大きな差があります。
豚肉では、豚ばらが12.95g、豚ロース(脂身付き)が7.87g、豚肩ロース(脂身なし)が6.00g、豚ロース(脂身なし)が4.74g、豚もも(脂身付き)が3.59g、豚もも(脂身なし)が2.01g、豚ヒレが0.56gとなっています。脂肪の量が多いものは飽和脂肪酸が多いことがわかります。
鶏肉では、鶏皮が16.30g、鶏もも(皮付き)が4.30g、鶏むね(皮付き)が3.53g、鶏むね(皮なし)が0.39g、鶏ささみが0.17gとなっていて、皮には脂肪が多いことがわかります。
では、脂肪が少なければよいのかというと、牛は血液温度が高くて、その血液中で溶けている飽和脂肪酸は低い温度の中に入ると固まる性質があります。人間の血液温度は低めなので、どうしても固まりやすくなっています。豚肉と鶏肉は牛肉に比べると固まりにくいといっても、人間よりも血液温度は高いので、食べすぎると血液がドロドロになりやすいのは同じことです。

高血圧症や糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)になると運動をすすめられます。これは血液中のブドウ糖や中性脂肪を減らして血管を丈夫にしようというだけでなくて、血流を盛んにするためのことでもあります。高血圧症、糖尿病、脂質異常症は、どれも血管の老化を進めることなので、進行するほど血流が低下します。それを改善するために、血液サラサラ成分を摂ったりする人もいるのですが、血流を盛んにするという成分を摂って、それでゴロゴロしていたら効果は望めなくなります。身体を動かさないことには血流は盛んになってくれないのです。
立っているときと比べると、寝そべっているときには血流量は30%ほども低下します。身体を動かしているときと比べているのではなくて、立っているだけで何もしていない状態との比較です。立っているだけで心臓よりも上に血液を送り出さないといけないので心臓の働きが高まって血流が盛んになります。心臓よりも下の方はというと重力の関係で足に向かっては勢いよく進むのですが、下から上がってくるのに普段の心臓の力だけでは不足します。そこで立っている場合にも心臓の働きが高まって血流が盛んになります。
ただ立っているよりも、普通に歩くだけでも脚の筋肉が収縮して血管が圧迫されて血液は上へ上へと送られていきます。血流を盛んにするには普通に歩くだけでもよいことになります。サラサラ成分を摂るよりも歩くことが第一です。歩けないなら立つようにするということになるわけですが、立ちっぱなしでは脚がむくむようになります。これは脚の筋肉の収縮が少ないために、血液が上へと引き上げられず、血液が上がっていくときに血管の外から一緒に引き上げられる水分が血管の外の細胞の周りにたまっているからです。
これを解消するには、ふくらはぎのマッサージ、青竹踏みなども効果はあり、もちろんウォーキングも効果はあるのですが、一番に効果が認められているのは屈伸運動です。脚の筋肉を大きく動かすことによって血管が強く刺激されて、血液が勢いよく押し上げられ、水分が引き上げられていきます。それと同時に全身の血流が盛んになるので、血流が弱まっていると感じたときには、積極的に屈伸運動をやるようにします。そして、血流が高まった状態で歩くのが最もよい方法なので、ウォーキングの前の準備運動の一つに屈伸をすすめています。

「まごわやさしい」という言葉を聞いて、“わ”ではなくて“は”の間違いではないのかと突っ込んでくる人がいます。国語的には“は”が正しくて、孫が優しいほうがよいに決まっている、というような話をしているわけではありません。今どきの子供が好きな「オカアサンハヤスメ」からの反省で言われるようになったものです。「まごわやさしい」の前に「オカアサンハヤスメ」を説明しておくと、オムライス、カレーライス、アイスクリーム、サンドイッチ、ハンバーグ、ヤキソバ、スパゲッティ、メダマヤキの頭の文字をとったものです。
「まごわやさしい」は、まめ、ごま、わかめ(海藻)、やさい、しいたけ(きのこ)、いもの頭の文字で、食卓で不足しがちのものを並べています。「まごわやさしい」は食材で、「オカアサンハヤスメ」は料理なので、ネガティブな料理に対してポジティブの料理をということで「おかあさんだいすき」というものもあります。これは、おから、かば焼き、あずきご飯、さんまの塩焼き、だいず料理、いも料理、すのもの、きんぴらごぼうです。
「まごわやさしい」では子供の成長にも高齢者の健康維持にもたんぱく質が不足するということから、卵とチーズ(乳製品)を加えた「まごたちわやさしい」も言われるようになっています。さらに“に”を加えて「まごたちにわやさしい」を提唱する人もいます。肉は食べすぎはよくないとしても、ある程度は摂らないといけないので、動物性たんぱく質の雄である肉は入れておきたいという考えは当然のことです。
『日本人の食事摂取基準』では脂肪の摂取割合は全エネルギー源の中で20〜30%とされています。そのうち動物性食品でも肉類に多く含まれる飽和脂肪酸は7%以下とするのがよいとされています。摂ってはいけない、ではなくて、適度な量を摂ることをすすめているので、肉を食べることで「まごたちにわやさしい」にしてほしいものです。ただし、同じ肉類であっても、飽和脂肪酸が多めの牛肉ではなく、豚肉、鶏肉のほうを選んで食べるのがふさわしいということです。

椅子に座って脚を組むと楽だからといって、片側の脚の上に反対側の脚を乗せることをしている人がいます。この姿勢で楽になるのは、床に足をつけていると緊張する大腿部の負担が減って、緊張から解放されるからです。大腿部の筋肉が弱っている人ほど脚を組むようになりがちです。脚と足の文字の使い分けですが、足首から先が足で、足首と骨盤の間が脚となります。日本語では使い分けがされずに混同されることが多いようですが、英語では脚はleg、足はfootで、言葉を聞いただけでも区別がつきます。
脚を組むのは緊張を弱める方法だといっても、左右交互に組む側を変える人よりも、同じ側の脚だけを上に乗せる人が多くなっています。これは上にしているほうが楽だからで、反対側の脚を上にすると組みにくくなります。こういう状態になっている人は、脚を組む習慣によって骨盤が傾いていることが指摘されています。骨盤の左右の高さが違っていると、上がっている側の脚を上にして組むのは楽にできるのに対して、下がっている側の足を上にして組もうとすると骨盤の傾きに抵抗することになることから、組みにくくなるか、状態によっては組めないようになります。
これくらい骨盤の傾きがあると、普通にまっすぐに歩くのもきつくなります。まっすぐに引かれた線を前にして、目を閉じて線の上を歩くようにすると、本人はまっすぐに歩いているつもりでも、曲がっていくようになります。そのほとんどは骨盤が下がっている側に曲がります。脚を組む方法だけでなく、目を閉じて歩く方法でも骨盤の傾きがわかります。
骨盤が傾いていても、目を開けて歩くと視覚の情報に合わせて自然に曲がりが調整されます。目を開けて歩くと、骨盤の傾きはわからないものの、目を閉じて歩くと本人も周囲の人も簡単に確認することができます。骨盤が下がっているほうの脚は地面からの刺激を強く受けるようになります。この刺激の強さを吸収して調整しているのは膝ですが、刺激が長く続くと膝にダメージが蓄積していって、これが膝を傷める原因となるのです。

筋肉の量が減っているために体脂肪が増えても外見的に気づきにくいサルコペニア肥満は、もちろん筋肉が増えにくい高齢者に多くみられるものですが、運動不足の子供にもみられるようになっています。筋肉量が減ってくると筋代謝力が低下します。筋代謝力というのは、筋線維(筋肉細胞)がエネルギー源を使ってエネルギーを作り出す能力のことで、筋繊維の種類によって使うエネルギー源が異なっています。速筋という白い筋肉はブドウ糖を使い、遅筋という赤い筋肉は脂肪酸を使います。速筋は早く動くことができる筋肉で、強い力を出すことができるものの、長く力を発揮させることはできません。遅筋は小さな力しか出ないものの、長く動かすことができます。
遅筋が赤い色をしているのはミオグロビンとミトコンドリアが多いからです。ミオグロビンは赤血球のヘモグロビンが運んできた酸素を受け取る働きがあり、酸素を筋繊維に取り込む働きをしています。ミトコンドリアは筋繊維の中にあって、中に入ってきた酸素とエネルギー源(ブドウ糖と脂肪酸)をエネルギー化させる働きをしています。
無酸素運動をして速筋の量が増えれば、ブドウ糖をエネルギーとして使う能力が高まり、無酸素運動をして遅筋の量が増えれば、脂肪酸をエネルギーとして使う能力が高まります。肥満になるのは体脂肪の量が増えすぎている状態で、有酸素運動によって遅筋の量が増えれば脂肪酸が多く使われ、血液中の脂肪酸が減ります。これを補うために、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が分解されて、脂肪酸が血液中に放出されます。これが続くことによって、余分に蓄積された体脂肪が減っていくようになるわけです。
サルコペニア肥満を予防するためには遅筋を増やす有酸素運動をします。身体を動かすために必要な速筋を増やすには無酸素運動ということになるのですが、歩幅を広げて勢いよく歩くウォーキングなら遅筋と当時に速筋も増やすことができます。それもあって、私たちは速歩を取り入れたウォーキングであるインターバルウォーキングを紹介しています。

身体についている脂肪の割合は体脂肪率であることが有名になり、体脂肪計に乗るだけで測定して表示されます。男性の体脂肪率は20%以下なら、女性は30%以下なら正常ということも知られていますが、筋肉の割合のほうはあまり認識されていません。旧型の体脂肪計では体脂肪率くらいしかわからないのですが、進化系の体組成計では筋肉の割合も表示されます。表示されているのに関心が低いために、体脂肪率は覚えていても筋肉率は知らない、覚えていないという人が多いのです。体脂肪が増えると病気のリスクが高まるので関心が高くても、筋肉の割合が減ったからといって、すぐに病気に結びつくわけではないので、どうしても関心の高まりに欠けるということです。
平均値でいうと男性の場合は20歳代がピークで35%ほど、女性の場合は28%ほどとなっています。年々減り続けて、これが60歳代になると男性が30%、女性が23%ほどにも下がります。筋肉量が減ることによって筋力低下や身体機能低下を起こすサルコペニアのリスクが急激に高まる筋肉率は男性が27.3%、女性が22.0%とされているので、60歳代で運動不足の人は、かなりリスクが高まることになります。
筋肉量が減るというと、まるで筋肉そのものが減っていくような印象が抱かれがちですが、筋繊維(筋肉細胞)の数は生まれたときから変わっていません。1本ずつの筋繊維が運動による刺激を受けることによって太くなると筋肉量が増えて、刺激が少なくて細くなると筋肉量が減るということです。ということは、筋肉量は年齢を重ねてからでも、しっかりと運動を続けていれば増やせるわけです。とはいっても、運動をした割には高齢者の筋肉量の増え方は多くはありません。というのは、筋繊維は刺激を受けると傷ついて、これを修復するために筋繊維の周りにサテライト(衛星)細胞が集まり、これがタンパク質を多く取り込んで、筋肉を太くしていきます。
そのサテライト細胞が働くためには成長ホルモンに似たインスリン様成長因子(IGF-1)が必要です。これは肝臓から分泌されていますが、筋肉運動をすると筋肉からも分泌されます。その分泌量が年齢を重ねると減少していくので、運動の割に筋肉が増えないということになるのです。では、高齢者はどうすればよいのかということですが、一つは筋肉を効果的に刺激する運動をすることで、高齢者対象の筋肉運動が相当します。もう一つは細胞の活動を促進させるヒトケミカルを補充することです。ヒトケミカルはα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10のことで、詳しくは、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。

スリム型肥満という言葉は聞きなれないかもしれませんが、随分と前から言われてきたことで、見た目は太っていないのに、肥満の指針とされる体脂肪を測定すると肥満の範囲に達している人を指して使われています。体脂肪率から肥満を定義・分類すると、男性は軽度肥満が20%以上、中等度肥満が25%以上、重度肥満は30%以上となります。女性は男性に比べて体脂肪が10%ほど多いとされています。そのため、女性のほうが体脂肪率の基準は高くなっていて、軽度肥満が30%以上、中等度肥満が35%以上、重度肥満は40%以上となっています。男性の危険レベルの体脂肪率30%は、女性の場合には軽度肥満で、まだ改善が楽にできる段階となっているわけです。
スリム型肥満は少女に多くみられます。なぜスリムなのに肥満なのかというと、筋肉量が少なくて、全体的には普通の体型か比較的細身に見えても、実は体脂肪率が30%を超えているという状態です。その原因ですが、ダイエットの繰り返しをしている人が目立っています。正しいダイエット知識がない少女は、太るのは食べすぎが原因で、食べる量が少なければ太らないという思い込みもあって、食べる量を減らして、あまり運動をしないという傾向があります。中には、食事量を減らしておなかがすいているので運動ができないと言う少女もいます。運動をしないで1kgの体重が減ると、筋肉は25%ほども減り、その後に太ると増えているのは体脂肪だけです。このようなダイエットを繰り返していると、筋肉は減り続け、体脂肪が増え続けて肥満に向かうだけということです。
そんなダイエット法にはまってしまう理由ですが、最も多いのは「母親のようになりたくないから」というものです。その恐怖(?)から運動をしない無理な食事制限をしてしまうということですが、筋肉が脂肪を燃焼させるので、運動をして筋肉を増やしておかないと燃焼機関が小さくなって、運動をしても、なかなか体脂肪が減らないということにもなるのです。
もう一つのサルコペニア肥満は高齢者に多くみられるもので、筋肉量は50〜60歳代でもピークの20歳に比べると30%は減少して、70歳代では50%も減少します。その減り方が大きいと、筋肉量が少ないために体脂肪が増えていても、見た目は変わらないので気づかないということです。

“乳酸は疲労物質”ということが長らく言われ続けてきました。それは間違いである、というのは今時の考え方となっているものの、その風潮にも疑問を投げかける人がいます。細胞の中のミトコンドリアの中では脂肪酸とアミノ酸を材料として代謝を起こしてATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質が作り出されます。その過程で、不完全燃焼が起こると乳酸が作られます。乳酸が細胞の中でも身体を動かす骨格筋の中に蓄積されると筋繊維(筋肉細胞)の中のpH(ペーハー:酸性とアルカリ性のバランス)が低下することで酸性化が進んで、筋繊維がエネルギー不足になって、筋肉が動きにくくなります。このメカニズムによって疲労を起こす物質となっているわけです。
この説明は、今では否定されるべきだという考えが主流となっています。乳酸が増えるほど筋肉の動きが悪くなり、それが最後まで進むと心臓の筋肉が動かなくなって最悪は死にも至ります。しかし、乳酸によって筋肉の動きが低下しない動物もいることから、乳酸が筋肉の動きが低下するわけではないと主張されています。これは、そういう動物が存在しているというだけで、人間での運動機能の低下を否定するものではないのですが、なぜか否定的な考えが今もまかり通っています。
乳酸は疲労物質で決まりなのかというと、そうとも言い切れません。乳酸は脂肪酸とアミノ酸が完全燃焼しないままの状態の物質なので、酸素が与えられて正常に燃焼すればエネルギー源として活用されることになります。そして、乳酸が使われれば、筋線維のpHが正常な状態に戻っていくことになります。どうやって酸素を与えるのかというと、最も効果的なことは有酸素運動です。不完全燃焼は酸素不足によって起こっているので、酸素を充分に与えることで完全燃焼とすることができるのです。その有酸素運動として最も効果があるのはウォーキングです。ウォーキングの中でも中強度の速歩きをすると、体内に多くの酸素を取り込むことができて、筋繊維に多くの酸素を取り込んで、ミトコンドリアの中でエネルギー産生を行うTCA回路の働きを盛んに回転させることができるようになるのです。

日本人の平均寿命は世界2位で、現在も平均寿命は延び続けています。以前のように世界1位に返り咲けるのかというと、それは難しいとされています。その理由は健康寿命の延びが小さくて、平均寿命との差が縮まらないからです。平均寿命が延びた分だけ健康寿命が同じように延びると、高齢になってからの医療費が増えることを見ても、病気の重度化が進み、これが寿命の延びを止めることになるからです。わかりにくいことかもしれませんが、現在の生涯医療費は2700万円に達していて、その半分は70歳以降に使われています。高齢になればなるほど医療費がかさむようになり、病気が寿命に影響を与えるようになるので、これが平均寿命の延びを鈍化させているというのです。
日常生活を制限されることなく過ごせる期間の健康寿命は3年ごとに厚生労働省より発表されていて、現在の発表データは2016年のものです。次に発表されるのは2019年のデータなので、統計処理をした翌年に発表される予定となっています。2016年の健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳で、当時の平均寿命(男性80.98歳、女性87.14歳)と比べると、男性は8.84年、女性は12.35年の差があります。この期間には医療費、介護費ともに多くかかることから、いかに健康寿命を延ばすかが健康対策の重要項目となっています。
厚生労働省は2040年までに2016年に比べて男女ともに健康寿命を3年以上延ばすことを目標に掲げています。その目標は男性が75.14歳以上、女性が77.79歳以上とされています。「日本人の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、2040年の平均寿命の推計値は男性が82.82歳、女性が89.55歳となっています。これをもとに計算すると、健康寿命との差は男性が7.68年、女性が11.76年となります。この数字だけを見ると、現状との差は男性が1.16年、女性が0.59年となり、あまり大きな短縮ではないように感じます。
しかし、この分だけ健康状態が続き、医療費、介護費が使われる時期が短くなるのは、高齢者全体の数から考えると、非常に大きな金額となることがわかります。なにしろ生涯医療費は3000万円にも増えて、2040年には70歳から平均寿命までは男性が12.82年、女性が19.55年にもなるので、2年以上の高額医療費、高額介護費のプラスは大きな国家的な損失とみられているのですからです。