1日は24時間ですが、人間の体内時計は、それよりも長くなっています。一時期は体内時計は25時間と言われ、今でも多くの書籍でもネット情報でも25時間と書かれたものが多くなっています。しかし、実際には多くの研究によって24時間11分だということが明らかにされています。
以前のように25時間と1時間も長いとなると、24日で24時間になるので、このズレは大きいという印象がありました。それに対して11分だと24時間になるのは130日もかかることになります。4か月ちょっと(10日くらい)ということですが、だからといってズレたままでよいというわけにはいきません。
海外に旅行をして、大きな時差のズレがあると時差ボケが起こって、脳を正常に働かせようとしても、うまくいかなくなります。脳は全身をコントロールしているので、全身の機能に影響が出てきます。時差ボケがあるときには、どれだけ長く寝ても身体の疲労が解消されないのは脳の負荷が強くなっているということです。
1日の時差(11分の分差)では、本人が気づくほどの違いではないとしても、ズレを修正しておかないと脳の負荷は高まったままです。このズレを解消するためには、当たり前の健康法のように聞こえるかもしれませんが、早起きをすることです。
ただ、早起きすればよいというわけではなくて、起床したら日光を浴びるようにします。日光に含まれるブルーライトによって、すぐに目覚めるということではなくて、朝日を浴びてから約15時間後に睡眠のリズムをコントロールするホルモンのメラトニンが多く分泌されるようになります。曇りであってもブルーライトは晴天の50%ほどの量はあるとされます。
そして、起きてから、あまり時間がたたないうちに朝ごはんを食べることです。食事をすることで自律神経の調整が始まります。メラトニンの材料はトリプトファンという必須アミノ酸で、肉、魚、卵、乳製品、大豆に多く含まれています。これを朝に摂ることでメラトニンの分泌が高まります。代表的な朝食のメニューは理にかなっていたのです。
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代謝促進成分のL‐カルニチンのLはLevorotatoryの頭文字で、左旋性の意味があります。物質を通過する光の振動面を左に回転させる性質を表しています。これとは逆の右旋性もあって、立体異性体としてL型とR型に分けられます。立体異性体というのは、構造式は同じだが、原子の立体配置が違っているものを指しています。
カルニチンのL型、つまりL‐カルニチンには代謝促進成分として脂肪酸と結びついて細胞の中のエネルギー産生器官のミトコンドリアの膜を通過させる働きがありますが、R型には、そのような働きはありません。
カルニチンは必須アミノ酸のリシン(リジン)とメチオニンを材料にして肝臓で合成されるアミノ酸の一種で、体内でタンパク質の形にならない遊離アミノ酸の一種になっています。カルニチンという名称は、筋肉の中にある成分として発見されたことから、肉を意味するラテン語のcarnis(カルニス)にちなんで命名されました。Carnival(カーニバル)は謝肉祭のことですが、これもcarniから名付けられています。
L‐カルニチンは肉類の筋肉の中に多く含まれていて、成人では体内に20g(2万mg)ほどが含まれています。前回、1日に肉食によって60〜180mgを摂取していると説明しましたが、肉食が全体的に少ない日本人は体内の保持量が少なく、そのために脂肪酸の代謝能力が低いことが指摘されています。
立体異性体ということでは、同じ代謝促進成分のα‐リポ酸が例としてあげられます。α‐リポ酸にはS型とR型があり、体内で合成されるのはR型です。サプリメントにはS型もR型も使われていて、ともに体内で作用します。R型は胃液で分解されやすいために、サプリメントの種類としてはS型が多く使われています。しかし、S型は動物試験では害が確認されたことからペット用のサプリメントでは使用が禁止されています。人間の場合には、危険性を調べる試験が行われていないために、S型の使用が続いているという実態があります。
子どもは「意味もなく走る」と言われますが、意味もなく走っているわけではありません。その意味と理由を当人はわかっていなくて、周囲の人もわかっていないことから、意味もなく走ると言われているだけです。この理由として、感覚統合が使われることがあります。子どもは全身を使って、刺激を受け、神経を発達させていますが、その刺激を得るために走っているのだという説明が広まっていて、テレビ番組でも放送されていました。
しかし、私たちは多くのエネルギーを作り出すために激しく身体を動かしているのだと考えています。3〜5歳でも1日に消費されるエネルギー量は1300kcal前後で、成人の半分ほどになっています。身体の大きさからすると非常に大きなエネルギーが必要となっています。
これは身体を大きくするためにエネルギーが使われるからで、多くのエネルギーを作り出さないと成長することができません。食事から摂ったエネルギー源は、吸収されて血液中に入り、これが使われます。1日の消費で余ったものは脂肪合成されて脂肪細胞にエネルギー源として蓄積されます。このエネルギー源をエネルギー化するためには、運動をするのが一番で、これは子どもも大人も同じことです。子どもは特に多くのエネルギーを作り出さなければならないので、エネルギー代謝を盛んにするために走るという行動をするのです。
それに対して、大人は生活の中で走り出すのは難しいので、歩くことを多くのエネルギーを作り出す方法として選択することになります。これを「意味もなく歩く」とは言わないでしょうが、歩くことで多くのエネルギーを作り出して、身体の活動や新陳代謝、疲労回復のために使うことをメディカルダイエットでは提案しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
いろは歌留多の“い”といえば、「犬も歩けば棒に当たる」ということに一般的にはなっていますが、これは江戸歌留多で、大阪では「一を聞いて十を知る」、京都では「一寸先は闇」と、三者三様です。もとは「色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ、有為の奥山今日越えて、浅き夢見し酔ひもせず」という涅槃経の仏教精神を和文で表したもので、いろは歌留多は京都で生まれました。
そこから大阪、名古屋、江戸と伝わっていったということで、京都版を中心とすべきなのでしょうが、全国的に知られているのは江戸版のほうです。
今回のテーマの「六十の三つ子」は大阪版の“ろ”の言葉で、中京版でも同じものが使われています。「六十の三つ子」は、老齢になると幼児のような言動をすることを指していて、無邪気になったり、聞き分けがなくなるというのは、自分のことだけでなくて、家族を思い浮かべても納得できるところがあります。三つ子は3歳児ではなくて、数え年なので2歳です。一方の60歳も、江戸時代のことなので60歳といえば長生きで、今で言えば80歳でもおかしくありません。
これだけ平均寿命が延びているのに、高齢者の年齢はいまだに65歳です。この年齢が定年退職の基本であり、年金支給の基本ともなっています。今は65〜74歳は前期高齢者、75歳以上が後期高齢者となっていますが、高齢者を75歳以上にしようという提言が日本老年学会と日本老年医学会によって2017年に発表されました。これは今の高齢者が若返ってきていることが根拠になっています。あまりに早い高齢社会に対応するために、年金の支給時期を遅らせる意図が隠れているのではないかとも言われています。
74歳までは“三つ子”と言われるほど衰えてはいないということなのでしょうが、健康寿命は平均寿命よりも男性で9年、女性で12年も短く、認知症が700万人(高齢者の5人に1人)という時代には、いつ三つ子のように手間がかかるようになってしまうかわかりません。65歳以降の健康状態は50歳代の健康状況が大きく影響しているだけに、少しでも早い健康対策を訴えているのですが、なかなか届いていないのが実態です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
全身には60兆個以上の細胞があり、細胞はエネルギー源を取り入れて、エネルギー代謝を行って、生命維持のためのエネルギーを作り出しています。細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中だけで使われます。そのエネルギーが、電気のように他の細胞に流れていって使われることはありません。
神経伝達は一つの神経細胞から隣の神経細胞に伝わって、全身に情報が伝達されています。この場合もエネルギーが電気のように流れているのではなくて、神経細胞の端から神経伝達物質が出て、これを次の神経細胞が受け取って情報を伝えています。
エネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質ですが、たんぱく質は身体を構成する重要な成分であるので、エネルギー源として使われないほうがよいわけです。糖質と脂質は細胞の中のエネルギー産生の小器官であるミトコンドリアに取り込まれて、この中にあるTCA回路でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られています。
糖質はブドウ糖に分解されたあとミトコンドリアに入ってアセチルCoAという高エネルギー化合物に変化しますが、そのときにはビタミンB₁、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸が必要になります。脂質から脂肪酸に分解されるときにはビオチンが必要になり、脂肪酸からアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要になります。このように水溶性のビタミンB群が充分にあることで、代謝の前段階が整えられるのです。
エネルギー源の脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過するときには、L‐カルニチンと結びつく必要があります。L‐カルニチンなしでは脂肪酸をエネルギー化させることができないということで、肝臓で必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料にして合成されています。しかし、その合成にピークは20歳代前半で、その後は年齢が進むほど合成量が減り、脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みが低下していきます。
このことが加齢による代謝低下の原因であり、日本人の血液温度が低いという体質の弱点を生み出しています。体質的なものでは改善は難しいという時代もありましたが、今ではL‐カルニチンをサプリメントとして摂取することができるようになり、体熱の産生を進められるようになっているのです。
L‐カルニチンを例としてあげることが多くなるかと思いますが、これは日本メディカルダイエット支援機構の副理事長がL‐カルニチン研究の第一人者で、代謝科学の研究者でもあることから、私たちも関心をもって研究を進めていることが関係しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
しっかりと噛んで、味わってから飲み込むというのは、食品・料理のおいしさを感じるためにも、消化・吸収を進めるためにも大切なことです。その基本を日本人は和食の食生活の中で身につけてきました。その象徴となるのが「口中調味」という言葉です。
辞書的な意味としては、口の中で食べ物を噛んで混ぜ合わせることによって味を変化させることを指しています。食べ物には一つひとつに味があっても、それが口の中で混ざると違う味になるので、複数の食品を使った料理は、口の中に入れた量によって違う味を感じていることになります。
ここでいう「口中調味」は、その意味も含んでいるものの、さらに進めて「体調に合わせた味わい」を指しています。初めに口に入れるのは、ご飯、おかず、汁物と順番は人それぞれではあるものの、おかずの味を濃く感じた場合にはご飯を口に入れて薄め、薄く感じた場合には汁物を口に入れます。最終的には食卓のものをすべて食べるにしても、こうやって味覚を鍛えながら味わって食べることで、その時々の体調に合わせた食べ方ができるようになります。疲れているときや病気のときには薄味を求めるようになり、元気がほしいときには濃い味になるということですが、年齢を重ねていくと、だんだんと薄味傾向になっていって、肉よりも魚を好み、味付けも淡白になっていきます。これが日本人の味覚の最大限の特徴となっています。
欧米人やアジア大陸の人たちは青年期に食べた味わいが一生涯続き、食べるものも料理も大きくは変わりません。青年期と変わらない食事を食べ続けた場合には中高年になってから塩分や脂肪を多く摂ることになり、これが体調を乱し、生活習慣病を増やす原因にもなります。それに対して日本人は口中調味の食べ方を続けたおかげで、だんだんと脂肪が少ない食品を選び、塩分が少ない料理を好むようになります。
子どものときに和食が多く、薄味に慣れた人は、成人以降にも薄味に慣れやすく、健康的な食生活を過ごせるようになっていきます。
広く健康に関わる記念日について紹介します。
6月28日 パフェに使われるフルーツの出回り時期が6月で、パーフェクトゲームがプロ野球史上初めて達成された1950年6月28日にちなんでパフェ愛好家が「パフェの日」と制定。T&GJapan(東京都品川区)がニュージーランド産のJAZZりんごが初めて日本に輸入された2011年6月28日にちなんで「JAZZりんごの日」と制定。毎月28日は「にわとりの日」(日本養鶏協会)。
6月29日 全国調理食品工業協同組合が佃煮発祥の地の東京佃島の守り神の住吉神社の大祭の6月29日にちなんで「佃煮の日」と制定。JR東日本スポーツが夢(6)中でトレーニン(2)グ(9)の語呂合わせで「夢中でトレーニングの日」制定。毎月29日は「ふくの日」(日本アクセス)、「Piknikの日」(森永乳業)、「クレープの日」(モンテール)、「肉の日」(都道府県食肉消費者対策協議会)。
6月30日 日本リンパ協会が、む(6)くみ(3)ゼロ(0)の語呂合わせで「リンパの日」と制定。米穀安定供給確保支援機構が夏越しの日に1年の前半を祓い、残り半年の無病息災を願う夏越しごはんの普及を目指して前半の最終日を「夏越しごはんの日」と制定。渡辺酒造店(岐阜県飛騨市古川町)が酒酵母に感謝することを目的に酒造年度の最終日の6月30日を「酒酵母の日」と制定。毎月30日は「サワーの日」(宝酒造)、「EPAの日」(日本水産)、「みその日」(全国味噌工業協同組合連合会)。
7月1日 アマタケ(岩手県大船渡市)がサラダチキン専用工場の竣工の日(2016年7月1日)にちなんで「アマタケサラダチキンの日」と制定。ヨコオデイリーフーズ(群馬県甘楽町)が1999年7月1日に月のうさぎおさしみこんにゃくを発売したことから「さしみこんにゃくの日」と制定。三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会(秋田県三種町)が英語で6月を意味するジューンと31でさいの語呂合わせで6月31日としたが、存在しないことから7月1日を「じゅんさいの日」と制定。前田屋(福岡県北九州市)が釜飯専門店の釜めしもようの創業日(1995年7月1日)にちなんで「釜飯の日」と制定。井村屋グループが暑さの増す7月の初日で、毎月1日にあずきを食べる習慣があったことから「井村屋あずきバーの日」と制定。毎月1日は「あずきの日」(井村屋グループ)、「釜飯の日」(前田家)。
7月2日 香川県製麺事業協同組合が農繁期が一段落する半夏生にうどんを食べて労をねぎらう習慣があったことから「うどんの日」と制定。北海道米販売拡大委員会がブランド米ななつぼしの全国普及を目指して、なな(7)つ(2)ぼしの語呂合わせで「北海道米ななつぼしの日」と制定。ニップンが1年のほぼ真ん中の半夏生の頃で夏の健康管理にふさわしい日として「アマニの日」と制定。
7月3日 塩事業センターが塩と暮らしを結ぶ運動のPRの一環として塩の原材料の海水の波(73)の語呂合わせで「塩と暮らしの日」と制定。向井珍味堂(大阪府大阪市)が七(7)味(3)の語呂合わせで「七味の日」と制定。大塚製薬がオロナミンCのナミ(73)の語呂合わせで「オロナミンCの日」と制定。毎月3日は「くるみパンの日」(カリフォルニアくるみ協会)、「みたらしだんごの日」(山崎製パン)。
7月4日 キユーピーが1924年7月4日にメキシコのシーザープレイスホテルでシーザーサラダの起源となるサラダが出されたことから「シーザーサラダの日」と制定。毎月4日は「みたらしだんごの日」(山崎製パン)。
サプリメントは1日あたりの摂取の上限量が定められています。水溶性の性質がある栄養素は体内に長くは保持されず、その多くは1日ほどで排出されます。だから、どれだけの量を摂っても問題はないと考えられることもあるのですが、保持されている期間に過剰症が起こるものもあります。
体内促進成分のL‐カルニチンは水溶性の性質で、いつ摂っても吸収され、長期間は保持されないのは他の水溶性の成分と同様です。しかし、代謝に必要な成分であることから腎臓に保持される性質があるので、食事やサプリメントによる摂取がなくても不足することは一般にはありません。1日に肉食によって60〜180mgが摂取されています。この違いは食事による肉の摂取量に影響を受けています。多く含まれているのは牛肉で、豚肉、鶏肉の順で少なくなっています。乳製品の牛乳やチーズなどにも含まれています。
肉をまったく食べないビーガン(完全菜食主義)の場合には、L‐カルニチンの摂取量は10〜12mgとなります。ちなみに、食品に含まれるL‐カルニチンの吸収率は54〜86%とされています。この差はL‐カルニチンが含まれている食品に関係していて、もともとは肉に多く含まれている成分であるために、たんぱく質の量に影響されています。
L‐カルニチンのサプリメントの吸収率は、たんぱく質が多く含まれる食事と一緒に摂ったときに高くなります。そのため、肉類や乳製品と一緒に摂ることがすすめられます。
L‐カルニチンのサプリメントの1日の上限は1000mgとされていて、この量を継続的に摂取しても過剰症が起こることはありません。過剰症が認められるのは1日に3g(3000mg)を摂取したときで、吐き気や嘔吐、腹部痙攣、下痢などが起こる可能性が指摘されています。
メディカルダイエットは、エネルギー代謝を高めて、効果的に体脂肪を減らすことをメインに講習していますが、それと同時に、逆のことをして太る方法についても教えています。そんなことは知りたくないという人も中にはいるのですが、そんな声があっても構わずに話を続けています。
というのは、いくら効果がある生理学に基づいたダイエット法を実践しても、その一方でダイエット効果を妨げることや、太る生活を続けていたのでは、せっかくのメディカルダイエットの手法が通じにくくなってしまうからです。
そのことを説明するのに例としてあげているのは、高血圧と喫煙の関係です。喫煙すると血圧は上昇します。これはタバコに含まれる化学成分が血管を収縮させるのが主な原因です。高血圧症で医薬品の降圧剤を使っている人が、血圧が下がってきているからといって安心してタバコを吸ったら、血圧が上がってきて降圧剤の効果が出にくくなります。糖尿病の人が血糖降下剤を使っているから、インスリン注射を使っているから血糖値が上がりにくいといって甘いものを食べているのも、同じようなことが言えます。
メディカルダイエットのエネルギー代謝を高めて体脂肪を減らす方法は、身体的なメカニズムを活用しているわけですが、そのメカニズムは体脂肪を減らすだけでなく、逆に体脂肪を増やすことにもなります。そんな体脂肪が増えるメカニズムに合致した生活をしていたら、頑張ってダイエットとしての食事法、運動法をしても、その効果を妨げることになります。そんなに勿体無いことはありません。
だから、代謝のメカニズムを話すときには、ダイエット効果とマイナスの作用の両方を伝えるようにしているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
全国展開しているプライベートジムの草創期に、理論武装のためにアドバイスを求められたことがあります。その当時の日本メディカルダイエット支援機構の理事がコンサルタントをしていたことと、以前の会社がダイエットを売り物にした食品の販売で法律講習をした関係があったのがきっかけでした。
アドバイスの一つは糖質制限でしたが、糖質制限は短期間では効果があるものの、長期間続けることで心臓の負担が高まるリスクがあることを伝えて、適度な制限に止めたほうがよいと伝えたのですが、徹底した糖質制限が食事指導のメインになってしまいました。
もう一つは筋肉トレーニングとウォーキングの組み合わせについてで、ジムでは筋肉を鍛える運動をしていて、ウォーキングによって脂肪の代謝を高めることをすすめていました。その割合についてのアドバイスが求められましたが、根本的な間違いを指摘しました。
筋肉を強化することによって太くなるのは白筋で、この筋肉はブドウ糖をエネルギー源としています。すぐにエネルギー化されるブドウ糖を取り込んで、瞬発力を生み出しています。無酸素運動でもエネルギーを作り出すことができます。
ウォーキングによって脂肪を代謝させるのは赤筋で、赤筋を鍛えて太くするには持久運動が必要です。脂肪の代謝には酸素が多く必要であるので、有酸素運動のウォーキングが効果的ということです。ジムでのトレーニングで赤筋を鍛える方法もあるのですが、実際に行われていたのは無酸素運動で、鍛えられるのは白筋のほうでした。
筋肉は基礎代謝の30〜35%を消費するので、筋肉が多いほどエネルギー代謝がよくなるのは事実であるとしても、そのときに使われるエネルギー源はブドウ糖です。減らしたいという要望される脂肪(脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪)を減らすための筋肉強化法ではありません。
そのアドバイスも届かずに、今もきつい筋トレとウォーキングという、あまり効率的とは言いにくい方法が続けられています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)





