全国展開しているプライベートジムの草創期に、理論武装のためにアドバイスを求められたことがあります。その当時の日本メディカルダイエット支援機構の理事がコンサルタントをしていたことと、以前の会社がダイエットを売り物にした食品の販売で法律講習をした関係があったのがきっかけでした。
アドバイスの一つは糖質制限でしたが、糖質制限は短期間では効果があるものの、長期間続けることで心臓の負担が高まるリスクがあることを伝えて、適度な制限に止めたほうがよいと伝えたのですが、徹底した糖質制限が食事指導のメインになってしまいました。
もう一つは筋肉トレーニングとウォーキングの組み合わせについてで、ジムでは筋肉を鍛える運動をしていて、ウォーキングによって脂肪の代謝を高めることをすすめていました。その割合についてのアドバイスが求められましたが、根本的な間違いを指摘しました。
筋肉を強化することによって太くなるのは白筋で、この筋肉はブドウ糖をエネルギー源としています。すぐにエネルギー化されるブドウ糖を取り込んで、瞬発力を生み出しています。無酸素運動でもエネルギーを作り出すことができます。
ウォーキングによって脂肪を代謝させるのは赤筋で、赤筋を鍛えて太くするには持久運動が必要です。脂肪の代謝には酸素が多く必要であるので、有酸素運動のウォーキングが効果的ということです。ジムでのトレーニングで赤筋を鍛える方法もあるのですが、実際に行われていたのは無酸素運動で、鍛えられるのは白筋のほうでした。
筋肉は基礎代謝の30〜35%を消費するので、筋肉が多いほどエネルギー代謝がよくなるのは事実であるとしても、そのときに使われるエネルギー源はブドウ糖です。減らしたいという要望される脂肪(脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪)を減らすための筋肉強化法ではありません。
そのアドバイスも届かずに、今もきつい筋トレとウォーキングという、あまり効率的とは言いにくい方法が続けられています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
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日本人の血液温度が低いのは、多くのエネルギーを作り出す脂肪の摂取が歴史的に少なかったことが関係しています。脂肪はエネルギー量が高くて、これを細胞の中で代謝させることで多くのエネルギーが作り出されます。全身の細胞で作り出されたエネルギーのうち半分ほどは熱エネルギーとして身体を温めることに使われています。
生命維持のための基礎代謝は全エネルギーのうち70%ほどで、基礎代謝の70%ほどが体熱産生なので、「70%×70%=49%」で、これを根拠としてエネルギーの半分が熱に使われるとしているのです。
細胞で作られた熱によって細胞が温められると、細胞の中で起こる生化学反応が盛んになります。生化学反応には酵素が必要で、その酵素は一定の温度になることで活性化するので、温めることは重要です。
脂肪のエネルギー量の高さについてですが、脂質(脂肪)は1gあたり約9kcal、糖質とたんぱく質は約4kcalと、脂質は2.25倍のエネルギー量があります。寒い地域では、多くの熱エネルギーを作り出さなければならないことから、脂肪が多く含まれるものを食べ、その脂肪を効果的にエネルギー化させるために脂肪の代謝能力が高まっていきました。
それに対して暖かい地域では、体熱の産生が少なくて済みます。1日に必要なエネルギー量(男性)はロシアでは3000kcalとされるのに対して、インドでは1500kcalとされ、日本では2200kcalとなっています。食事で摂る摂取エネルギー量が少なくて、エネルギー代謝の能力が低い日本人は、脂肪を多く摂らなくても生き延びることができたことから、全身の細胞で作られる熱エネルギーが少なくて、そのために血液の温度が低くなっているのです。
それだけ日本人は、全身の細胞が温まりにくくて、細胞の働きも低くなっています。若いときには、それでも活動ができたのですが、年齢を重ねるほど細胞の働きが低下して、これが健康度を大きく低下させる結果になっているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
人間の身体にはホメオスタシス(生体恒常性)が備わっています。これは環境が変化してもそれに適応して身体の状態を一定に保つ機能のことで、自律神経調整、ホルモン分泌、免疫機能まで、全身のシステムがコントロールされています。そのコントロールの根幹となっているのは脳で、その中でも間脳と呼ばれる呼吸、心拍、体温などの生命維持を司っている部分となります。
脳細胞のエネルギー源はブドウ糖だけです。脳以外の全身の細胞はブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸をエネルギー源として取り込むことができるのですが、脳細胞はブドウ糖しか取り込むことができません。それは脳細胞と血管の間には血液脳関門というゲートがあって、必要なもの以外は通過させない仕組みがあるからです。
間脳と、記憶に関わる海馬は多くのブドウ糖を必要とすることから、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を一定に保つことが大切になります。低血糖だけでなく、高血糖になっても脳細胞に取り込まれるブドウ糖が低下することから、血糖値を正常範囲に保つことが重要です。
エネルギー源があっても、睡眠に時間が充分に確保されていて、さらに睡眠の質も高いことで脳の疲労が取れて、脳は正常な働きをすることができるようになります。
睡眠の質は熟睡していることを指していて、そのためには自律神経の調整が大切になります。夕方以降の時間帯は自律神経の副交感神経の働きが盛んになります。この時間帯に交感神経の働きが盛んになると、副交感神経の働きが抑えられるようになり、リラックスできなくなって、熟睡しにくくなります。テレビ画面、パソコンやスマホの画面、LED照明はブルーライトとなっています。ブルーライトは朝日に含まれる光で、交感神経の働きを盛んにする作用があります。
ブルーライトには、睡眠を調整するホルモンのメラトニンの分泌を抑える作用があるため、寝つきが悪くなり、入眠したとしても熟睡しにくくなり、寝た割には疲れが取れない、脳が疲労したままということが起こります。
食物繊維の量が多いほど咀嚼の回数は増えていきます。野菜の摂取量が少なく、咀嚼回数が少ない状態では、唾液の分泌量が減ります。充分に咀嚼することによって、胃での消化を助ける作用があります。唾液の量が不足すると、それだけ胃は多くの胃液(消化酵素)を分泌させないといけなくなることから胃にも余計な負担をかけることになります。
噛む回数の推移については、さまざまな報告がありますが、弥生時代の日本人は1回の食事で約4000回は噛んでいたといいます。鎌倉時代には約2500回、江戸時代には約2000回になり、第二次世界大戦前には約1400回、食べるものが大きく変化した戦後には600回くらいになり、今では300回を下回る人も少なくありません。
噛むことのメリットについて多くの研究が重ねられ、消化吸収の促進から虫歯の予防、生活習慣病や認知症の予防、免疫の強化など全身の健康に及んでいることがわかってきています。咀嚼して唾液が分泌されると、その連鎖反応として消化器官が働き始め、たんぱく質や脂質(脂肪)を分解する消化酵素が充分に分泌されるようになります。消化酵素を直接的に多く分泌させることは難しくても、唾液は咀嚼によって分泌を進めることができるため、よく噛むことで消化吸収を全般的に高めていくことができるわけです。
唾液の中には、リゾチームやラクトフェリンといった抗菌作用のある成分や唾液の消化酵素でもあるカタラーゼも含まれています。ラクトフェリンは鉄を含んだ糖たんぱく質で、腸内細菌の善玉菌を増やし、免疫を高める作用も認められています。
また、唾液には免疫の抗体の働きを強めて、発がん物質の働きを弱めるラクトペルオキシターゼという酵素も含まれています。また、唾液の消化酵素でもあるカタラーゼには活性酸素を消去する作用もあります。活性酸素を消去するためには、30秒間は必要だといわれます。1回噛むのが1秒とすると一口について30回は噛むのが健康のためによいということがわかります。
(4)体験談の使用方法が不適切な表示
・実際には、体験者が存在しないにも関わらず、体験者の存在を捏造したり、体験者のコメントを捏造する場合
・実際には、食事療法や薬物療法を併用しているにも関わらず、その旨を明瞭に表示せずに、健康食品を摂取するだけで効果が得られたかのような体験談を表示する場合。
・一部の都合のよい体験談のみや体験者の都合のよいコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている場合。
・メリットとなる情報を断定的に表示しているにも関わらず、デメリットとなる情報(効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果がえられにくいこと等)が示されていない、または消費者が認識しがたい方法で表示されている場合。
(5)体験結果やグラフの使用法が不適切な表示
・実際には、試験対象者がBMIの数値が25以上の者に限定されているにも関わらず、当該試験条件を明確に表示しないことにより、標準的な体型の者にも同様の効果があるかのように表示するなど、試験条件(対象者、人数、摂取方法等)を適切に表示しない場合。
・試験結果を示すグラフを極端にトリミング(スケール調整等)することにより、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示すること。
・実際には、複数の試験結果があるにも関わらず、有意差の大きい試験結果のみを広告等において使用することにより、すべての試験結果において有意差のある結果が得られたかのように表示すること。
(6)行政機関等の認証等に関する不適切な表示
・「消費者庁承認済みのダイエット用健康食品です」
「世界保健機関(WHO)認可」
(7)価格等の取引条件について誤認させる表示
・「今月末までの限定キャンペーン! 定期購入の初回分を無料で提供します!」と表示しているにも関わらず、当該月末経過後においても、同様のキャンペーンを継続している場合。
・「通常3,000円で販売している商品ですが、初めて申込みをしていただいた方には、特別に980円で提供します」と表示しているにも関わらず、実際には、当該商品を最近相当期間にわたって3,000円で販売したことがない場合。
下半身の筋肉を鍛えるスクワットは、主には白筋を強化するために行われます。筋肉には白い色をした白筋と赤い色をした赤筋があります。白筋は速筋とも呼ばれていて、筋収縮力に優れています。大きな力を発揮するのが白筋です。それに対して赤筋は筋持久力に優れていて、長く筋肉の力を発揮します。
白筋と赤筋は、それぞれの筋繊維が組み合わされていて、その構成も数も生まれたときから変化していません。運動をすると、それぞれの筋肉が刺激されることで太くなっていきます。そのため、筋肉は年齢を重ねてからも太く、強くしていくことができます。
白筋と赤筋はエネルギー源が違っていて、白筋はブドウ糖を使い、赤筋は脂肪酸を使います。脂肪細胞に蓄えられた脂肪(中性脂肪)を減らすためには、赤筋を刺激する有酸素運動が有効となります。
通常のスクワットは、ゆっくりと腰を低くして、ゆっくりと腰をあげていく、少なくとも大腿が平らに近くなるように腰を沈めるのが基本となります。この方法によって強化されるのは白筋です。では、スクワットを早く繰り返すと赤筋が鍛えられるのかというと、スクワットは相当に早く繰り返しても赤筋は鍛えにくくなっています。最も効果的に赤筋が鍛えられて、脂肪酸を消費できるのはウォーキングです。
ところが、スクワットで脂肪酸を消費できる筋肉を増やす方法があります。その筋肉というのはピンク筋で、筋肉のパワーと持久力の両方がある筋肉です。ピンク筋は白筋が繰り返し刺激されることで、赤筋に多い酸素を使うミオグロビンが増えていってピンク色になっていきます。白筋と赤筋の両方の特性がある筋肉です。
このピンク筋を増やすには、速度の速いスクワットが有効となりますが、ピンク筋に変わりやすい白筋は下半身と背中にあります。そこで両手のひらを合わせて、ナタを振り下ろす感じで腕を使いながら腰を上下させます。少なくとも大腿が45度の角度になるくらいのスクワットを目指します。これを10回で1セット、1回に3セット、これを1日に2〜3回繰り返すようにします。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
「ない袖は振れない」が元々の言葉であって、「ない袖は触れない」で打ち込んだらAI判定では間違いと判定されて、修正を求めるマークが出ます。わざと「触れない」と打ち込んだので無視してほしいのですが、最新のソフトは無視してくれません。
「ない袖は振れない」というのは、袖がないのだから振りようがない、条件が整っていないのだから求められても応じようがない、という意味です。だから、求めないでほしいという思いが暗に込められています。「ない袖は触れない」は、求められても答えようがないので、触れないでほしい、講習会では質問もしないでスルーしてほしいという気持ちが込められているのですが、聞きたいことがあって、その質問に答えるというコーナーがあったら、講演者が知っていることであろうと、なかろうと受講者や聴衆は質問をします。
健康に関する講演の場では、テーマが医療であろうと運動であろうと介護であろうと、栄養に関する質問が寄せられます。特に医師が講演者だと病気の予防や改善のための栄養の質問は、必ずと言ってよいほど質問者から投げかけられます。
それは、医師は最も難しい医学を学んできて、国家試験に合格しているのだから、栄養の知識は当たり前に知っていると思われているからです。医師を養成する医学部がある大学は82校ありますが、そのうち栄養学の講座があるのは23校だけです。それ以外の70%の大学では、栄養学を学びたくても講座がないので学べないということです。
ある国立大学の卒業生である医師と仕事をしたときに、栄養学講座があったというので、その内容について話を聞いていたら、栄養素が不足したときに起こる疾病者症状については詳しいものの、栄養素の有効性や機能性については詳しくないどころか、一般レベルの知識から抜け出ていない状態でした。その理由について話をする中で探ってみたら、大学で学んだのは各疾病の栄養素不足で起こる症状であって、栄養学として全体的に学んでいなかったということがわかりました。
詳しくないのだったら、「ない袖は触れない」ということで話さなければよいのに、勢いで話したり、自分の知識と想像だけで話をする方が実際にはいます。医師のあとで話をする私たちが、その後始末をさせられることも何度もありました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
日本人は世界でも健康度が高いと考えられていて、平均寿命は女性が世界1位(87歳)、男性が世界2位(81歳)にもなっています。その分だけ健康寿命との差が目立つようになっていて、男性で9年、女性で12年もの期間が自由に活動できない期間となっています。男性でいえば、70歳を少し過ぎたところで、活動範囲が狭められるということです。
これは平均寿命が一気に延びたことが関係しています。日本人の平均寿命が50歳に達したのは1947年(昭和22年)のことで、その当時はアメリカは65歳、北欧は70歳を超えていました。いわゆる先進国の中では最下位に位置していたところから、一気に世界のトップ(クラス)まで延びたのは、もともと健康度が高まったためだとも考えられるところですが、日本人は体質的な大弱点を抱えたまま健康づくりに励んできました。
その大弱点というのは、血液温度が低いことです。日本人の血液温度は37〜38℃で、この温度の血液が送られてくることで平熱の36〜37℃が保たれています。欧米人や北方アジア人などの血液温度は38〜39℃となっています。わずか1℃ほどの差ですが、これが健康度の大きな影響を与えているのです。
健康に関して最も大きな影響を与えているのは血管の状態です。血管の老化を進めるものとして中性脂肪やコレステロールが知られていますが、中でも動物性の脂肪である飽和脂肪酸は血液中で固まりやすくなっています。動物の血液温度をみると、羊は約44℃、鶏は約42℃、牛と豚は約40℃となっていて、この温度で溶けている脂肪は、それよりも低い温度の血液の中では固まりやすくなります。日本人は血液温度が低いので、より固まりやすく、その結果として動脈硬化になりやすい体質となっています。
これを改善するためには、全身の細胞で作り出されるエネルギーを増やして、熱エネルギーを多くして、血液が温まるようにすることが、今後の健康づくりには重要なテーマになってくるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)
すべての歯を使って食べ物をよく噛んで、消化しやすい形にしてから飲み込む一連の動作は咀嚼(そしゃく)といいます。
口から入った飲食物は、口腔の中で唾液腺から分泌された唾液と混じり、咀嚼によって細かく刻まれ、咽頭を経て、食道を通り、胃へと運ばれます。咀嚼は、歯を使って食べ物を消化しやすい形にするためのもので、門歯(前歯)で粗く噛み、奥の臼歯ですり潰してから嚥下されます。嚥下は食べたものを飲み込むことを指します。
咀嚼というと食べ物を噛み砕くことによって胃腸での消化・吸収を助ける働きが初めに注目されますが、咀嚼をすると歯の歯根膜やあごの咬筋から中脳にある咀嚼中枢に神経伝達として伝わり、神経ヒスタミンが分泌されます。神経ヒスタミンには満腹中枢を刺激して、満腹感が得やすくなります。それによって食べすぎを抑制することができます。また、神経ヒスタミンには脂肪細胞から分泌される食欲を抑えるホルモンのレプチンも増えることによって、余計な食べすぎを抑えることができます。
アメリカの研究では、咀嚼の時間を普段の1.5倍にすると、10%ほど少ない食事量でも普段と同じ満腹感が得られると報告されています。しかし、噛む回数は全体的に少なくなっています。
咀嚼のためには、前歯で粗く7〜8回噛み砕いてから、奥の臼歯で10回以上細かくするように噛むことを本来は指しています。以前は1口について30回以上噛むことが推奨されていました。しかし、全体的に軟らかな料理が増えて、野菜の中でも食物繊維が多くて硬いものが避けられる傾向から、20回ほどの咀嚼で充分な食事内容になっています。しかし、それは正常な状態とはいえません。
2歳の幼児は噛み方を教えていなくても、1口あたり17回は噛んでいるといいます。2歳児よりも硬いものを食べているなら子どもでも大人でも20回以上は噛んでもよいはずです。しかし、実際には多くても7~8回で、軟らかなファストフードやハンバーグ、カレーライスなどだと4~5回くらいと粗噛みの段階で飲み込んでいる人が多くなっています。これでは胃液の少なさを唾液で補うことができずに、食品に含まれる栄養素が分解されにくいために吸収も悪くなりかねません。このような食べ方だと、よく噛んだ場合に比べると10%ほども栄養吸収率が低下するとの報告もされています。
体内には数多くの神経伝達物質がありますが、認知機能に最も影響するのはセロトニンです。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから5‐ヒドロキシトリプトファンを経て、セトロニン(5‐ヒドロキシトリプタミン)に合成されます。セロトニンは体内には約10mgがあり、腸内に約90%、血小板中に約8%、脳内の中枢神経系に約2%が存在しています。
セロトニンは脳の神経伝達物質であることから脳幹の縫線核で合成されますが、多く合成されるのは腸内です。腸内細菌の善玉菌の働きによって合成が進むことから、善玉菌を増やすことが重要とされています。しかし、腸で作られたセトロニンは血液脳関門を通過することができません。血液脳関門は血管と脳の間で物質を交換する部分で、脳に有害となるもの、必要でないものは通過させないようにして、脳の正常な働きが保たれています。
それにも関わらず、腸内環境が整えられると脳内のセロトニンが増加して、認知機能が高まることが確認されています。その理由として考えられているのは、セロトニンの前駆体である5‐ヒドロキシトリプトファンのまま血液によって血液脳関門まで運ばれることで、5‐ヒドロキシトリプトファンは血液脳関門を通過することが確認されています。
脳内で合成されるセロトニンと腸内で合成される5‐ヒドロキシトリプトファンを増やすためにはトリプトファンが含まれる食品を摂ることが必要になります。トリプトファンは肉、魚、豆(特に納豆)、チーズ、そば、アーモンドなどに多く含まれています。これらの食品を食べてトリプトファンを多く摂っていれば脳内でセロトニンが多く合成されると一般に説明されていますが、血液脳関門はアミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニンと共通の輸送体によって脳内に取り込まれます。
バリンはマグロやカツオ、レバー(豚・牛)、牛肉、チーズ、豆腐に多く含まれています。ロイシンはカツオ、レバー(豚・牛)、鶏むね肉、鶏卵に多く、イソロイシンはマグロ、豚ロース、鶏卵、牛乳に多く含まれています。フェニルアラニンは牛レバー、マグロ、鶏むね肉に多く、メチオニンはマグロ、鶏むね肉、豚ロース、豆乳に多く含まれています。ここまでは体内で合成できないために食品から摂取しなければならない必須アミノ酸です。チロシンは体内で合成される非必須アミノ酸で、マグロ、豚ロース、豆腐に多く含まれています。





