副作用と副反応の決定的な違い

新型コロナウイルスのワクチン開発の話題で使われる言葉に「副反応」というものがあります。「副作用」という言葉なら聞いたことがあり、ある程度は理解しているという人も多いかと思いますが、副反応と副作用の意味の違いとなると、まだまだ理解はされていないようです。
副作用は医薬品を使用したときに起こる望ましくない作用のことで、主反応と関わることであったり、治療効果がある反面で起こることが不快のレベルであれば医薬品を避けるようなことをしないで済むとしても、主反応とは異なる望まない作用が起こったとすると、この医薬品は避けるべきものとして扱われることになります。
これに対して副反応はワクチンの接種によって起こる、免疫を付与すること以外の反応を指しています。例えば、局所の赤み、発熱、腫れなどの反応で、ワクチンによる化学的な反応ではありません。ワクチンによって抗体が作られ、その抗体によって引き起こされていることです。その主な原因は炎症性サイトカインによって起こっていることで、その反応には大きな個人差があります。副反応が起こらない人がいる反面、副反応が強く現れる人もいます。
医薬品の副作用の場合には、化学的な反応によって起こっていることなので、どんな副作用なのかということは初めからわかっています。その副作用を避けるために、別の医薬品を使用するということができます。ところが、ワクチンによる副反応のほうは、使用した人の免疫によって起こっていることなので、予想がつかない反応が起こる可能性は常につきまとっています。試験ではわからなかった副反応が、実際に使用してからわかるということも少なくありません。このことがワクチンの使用をためらわせることにつながります。
新型コロナウイルスのワクチンは少しでも早く使用して感染を防ぎたいという考えがある一方で、他の人が実際に使用して副反応について知って、安心できる状態であれば使うようにしたいという考えもあるのが実際のところです。