サプリメントの成分と医薬品の摂取によって起こる相互作用は複数の報告がされていますが、中でも重篤な結果をもたらすものとして報告が相次いでいるのはイチョウ葉エキスです。イチョウ葉エキスはイチョウの緑葉から抽出した化合物で、ドイツでは医薬品の成分として使用されています。
医薬品としての作用としては、以下の薬理効果が認められています。
・活性酸素の消去による抗酸化作用
・血小板凝集抑制および血栓形成抑制による微小循環改善作用
・気管支収縮阻害作用
・アレルギー症状抑制作用
・冠血管や末梢血管の拡張作用
・脳代謝改善作用
・記憶障害改善作用
イチョウ葉エキスには複数の成分が含まれていますが、その中で中心となっているのはギンコライドという香り成分です。ギンコライドはイチョウの英語名の「Ginkgo」に由来していて、これはイチョウの漢字表記を銀杏(ぎんきょう)と読むことからつけられました。
相互作用が確認されている医薬品の代表的なものは、抗血栓薬(バイアスピリン、ワルファリン、プレタール、NOACなど)で、イチョウ葉エキスの血小板凝集抑制作用によって出血傾向になります。
血管の傷をふさぐ血小板が剥がれると、この周りに脂肪などが付着して血栓ができます。大きな血小板が剥がれると血栓が大きくなりやすいことから、その前に剥がす作用が抗血栓薬にはあり、イチョウ葉エキスにも同様の作用があります。そのために毛細血管からの出血が起こり、表皮からも出血が見えるようになります。
降圧薬との相互作用としてはイチョウ葉の血管拡張作用によって、血圧が低下しやすくなります。血糖降下薬との相互作用では、イチョウ葉エキスには膵臓からのインスリン分泌を増やすことから、低血糖を起こす可能性があります。
このほかに、抗てんかん薬との相互作用も認められています。
具体的な相互作用と注意点は個別にアドバイスすることになりますが、医薬品の種類と機能によっては昏倒や場合によっては命に関わることにもなります。
そのため、処方された医薬品によっては、イチョウ葉エキスの使用は禁止されます。「イチョウ葉エキスはドイツでは医薬品」というキーワードが使われ、効果があることが紹介されています。
医薬品として使われているイチョウ葉エキスと同じ成分を用いた製品が日本でも販売されていますが、効果が期待される反面、医薬品同士の相互作用と同様のことも起こりかねないだけに、特に注意が必要な組み合わせとして取り上げています。
〔サプリメントデザイン推進機構 小林正人〕