「五十歩百歩」をもじった「五十歩五十一歩」は、コロナ禍からの回復を目指したテーマにしてほしくて、わざわざ一歩違いの五十一歩を比較対象として出しました。経済的な回復を目指すとしたら、たった一歩の前進では意味がないという印象を抱くのは誰しも同じことでしょうが、これが健康づくりの取り組みの場合には、今日の目標の50歩を達したところで止めるのではなくて、まだ体力や気力に余裕のあるときには、もう1歩、もう10歩と伸ばしていくという意識は大切です。
三密回避の外出自粛は日常での歩数を大幅に減らし、これが健康度を低下させる大きな要因となりました。歩かなかったために低下した健康度は、歩いて回復させるのが手っ取り早い対策ですが、そのときに目指す歩数は、もちろん100歩、200歩というレベルではありません。かといって以前から言われてきた1日1万歩を目指すこともありません。
国民健康・栄養調査によると、国民的な歩数は1日7000歩ほどですが、これがコロナ禍で1000歩以上は減ったとされています。1000歩を歩くためにかかる時間は平均して10分間です。そのことから厚生労働省は以前から健康づくりの目標として「+(プラス)10」を掲げてきました。1日に8000歩というのは、高齢者が健康度を保つために必要な歩数として実証された歩数と同じです。
まずは、10分間のウォーキングの時間を確保して、以前と同じような歩数に近づいてきたら、次には、もう10分間のウォーキングの時間を追加することを目指します。合計で20分、2000歩を増やそうということですが、ただ歩くといっても、きっかけがないと外出する機会は増やせません。コロナ禍で家の中ですることが増えたということもあるのですが、ウォーキングのイベントが減って、モチベーションが上がらなくなったという人も少なくありません。他の人が開催してくれるウォーキングの機会を探し、始まるまで待つのではなくて、自分が中心になってイベントを開催するということがあってよいはずです。
そのイベントで他に遅れをとらないように、リーダーとして引っ張っていくためには日常の歩行習慣で体力を回復させることが大切という意識で、朝晩に10分ずつのウォーキングの時間を増やすことから始めるべきではないでしょうか。